- まえがき
- T 中学生って何?─"人生のモンスター期"を紐解く
- 1 ある女子生徒の日記から見えるもの
- 2 中学生への対応,その核となるもの
- U "学校&教師"に対する中学生のつぶやき
- 1 "学校&校則"に対する中学生Voice
- 先生たち何とかして!/ こうだったらいいのにな〜/ こんなこと知らないでしょ?/ 生徒はこんなこと考えているのに/ いじめがあるのに知らないフリですか?
- 2 "教師"に対する中学生Voice
- 先生がぼくをひいきしている?/ 授業をツブスのはおかしいのでは?/ 学校のこんなとこがヤダな/ 先生たちって矛盾ありすぎだ!/ 先生がちょっと頼りない…
- 3 "部活"に対する中学生Voice
- V "将来"に対する中学生のつぶやき
- 1 "将来の夢"に対する中学生Voice
- 夢が叶うなら努力するゾ/ 将来の夢を選ぶアドバイスを
- 2 "将来への不安"に対する中学生Voice
- 進学への不安あれこれ/ 就職と進学はベツモノでは?/ なりたい自分が見えてこない私…/ 人は何のために生きているの?
- 3 "将来への不満"に対する中学生Voice
- 将来"大人になりたくない"私なのだ/ 政治がヒドスギないか!
- W "保護者"に対する中学生のつぶやき
- 1 "同性親"に対する中学生Voice
- 少々カチンときた親の一言/ 親のここがキライです!
- 2 "異性親"に対する中学生Voice
- 3 "両親"への中学生Voice
- ちょっとここを何とかしてヨ/ ちゃんと相手にして下さい!/ 自分のことしか考えてないのでは?/ 時代がちがうのに押しつけないで
- X "友情・恋愛"に対する中学生のつぶやき
- 1 "友人関係"に対する中学生Voice
- ホンネでは仲良くしたいのに/ こんなことで悩んでます!/ オモテウラのあるのが人生?!/ いつでもどこでもツルンデいるのはなぜ?/ 友だちがいないってことは…
- 2 "友人がいない悩み"に対する中学生Voice
- アニメのキャラが友だち?/ こんなことに気を遣うの面倒…
- 3 "いじめ"に対する中学生Voice
- 4 "恋愛"に対する中学生Voice
- 好きなのか…わからない/ モテない私って…/ なんで私じゃダメなの
- Y 中学生を前にして="教師のつぶやき"
- 1 学校,保護者への"不満? つぶやき"=動向分析編─世論調査的? 統計処理から見えてくる中学生の実像─
- "ビックリ"したこと/ "なるほど"と思ったこと/ "おまえ大丈夫?"と思ったこと/ "昔も今も変わらない"と思ったこと
- 2 学校・保護者への不満・つぶやき 動向分析編
- 3 「学校,親への不満」は山ほどあったでも,その不満が今の礎になっている部分もある
- 中学生だったころの自分/ 「純情編」/ 「情熱編」/ 「受験生編」/ つぶやきというより,むしろ,叫びだったあの時代
- 4 自分に自信がなかった中学時代
- 部活が生き甲斐だった/ 生き甲斐を失う/ 自分を救ってくれた先生たち
- 5 「恋愛」 沢山の経験をすること 「本当の友情」 中学生の永遠の課題
- 「恋愛」も「友情」も山ほどの経験が必要/ 「弱い自分」を自覚していることが成長への一歩だから,そばにいる大人が必要/ 恐れず,自分が動いてみる勇気を与えるのが大人の役目/ 子どもも大人も,関心を持って関り続けてほしい……
- 6 23歳教師が語る 友情と恋愛の青春ツイッター
- 初めての恋愛/ 私が求めているのは何?/ 友情と恋愛の青春シーソー/ いじめと友情と恐怖心/ 本当の友達なら……
- 7 こんな時はどうすれば良いの? つぶやきを授業活用するヒント
- つぶやきを活用したアサーショントレーニング/ リフレーミングトレーニングの活用/ 一つぶやきで50分授業
- 8 この本にある500Voiceを授業活用するヒント
- 子ども達の未来への不安/ 職業について知る
- 9 「学校・親への不満」から道徳の生き方の原理・原則を学ぶ道徳の授業を展開する
- 「不満」は未来への希望の叫び/ 不満から新しい行動を生みだす授業/ 反面教師としてつぶやきを読む/ 番外編
まえがき
2006年からサービスが開始されたコミュニケーション・サービスTwitter(ツイッター)。2011年3月11日に起きた東北地方太平洋沖地震を通して,一気にメディアとしての認知度が高まった。
「ツイッター」は「さえずり・興奮」「無駄話」という意味である。「ツイート」は「鳥のさえずり」の意味で,日本では「つぶやき」と意訳されて定着している。個々のユーザーが短文をネット上に投稿し,それらを閲覧したり,返信したりできるもので,その単純さや瞬時性,反応が返ってくる,すなわち人とつながれるという面白さから,多くの利用者を生んでいる。
実際,私の目の前の中学生にもこのサービスを楽しんでいる生徒が複数いる。
さて,「物は試し」と私がこのサービスを始めた,ちょうどその頃のことである。
明治図書の樋口雅子氏から「中学生ツイッター」という企画をいただいた。
およそ13歳から始まる思春期の真っ只中で,人生で最も多感な時期と言われる中学時代。その時代を生きる若者達に,今感じる楽しさや抱える悩み,不安を「つぶやいて」もらうのはどうか。
そのつぶやきの中には,教師として,あるいは親として,大人として把握しておくべき,理解しておくべき「声」が存在するのではないか。
共感した。
数々のつぶやきの中に,私達が受け取るべき「中学生の本音」が隠れている可能性もある。
その本音に,私達自身が気付かされ,反省させられ,行動変革をせざるを得ないような,そんな「出会い」があるかもしれない。
もちろん,本音のやりとりのすべてが無条件で良い,とは思わない。学校もまた社会であるから,言いたいことを言いたい時に言いたいように言っていては成り立たない。それはわかっている。
言うべきことを言うべき時に言うべき形で言いなさい。
私は必ず,これを生徒に教える。
だが,本音のやりとりが必要な場面が,学校現場にはある。教師が本音を話し,生徒が本音をぶつけてくる。受け止めて,さらに返す。それなくして一歩たりとも前進できないという事態が,試練として,私達の前に立ちはだかることがある。
集団で何か大きな事を為し遂げる時,あるいは一人の生徒が大きく変容する時,そこには本音のコミュニケーションが存在する。本気のぶつかり合いの先に大きな成長のドラマが生まれる。そんな事実は,枚挙に暇がない。
しかし,である。現実はこうだ。
中学生の本音を引き出せる教師は,それほど多くない。
生徒の本音を引き出すとは,そのような人間関係を築けるということである。
本当に関係が築けていれば,これが可能となる。
マイナスの情報でさえも,生徒がこちらの耳に入れてくれる。
褒められたい,評価されたい,認められたい。そんな思いから,生徒が努力していることやうまくいったことなどのプラスの情報は,教師の耳に入ってきやすい。
もちろん,そういう情報があちらから入ってくる関係を築くことも大事である(入ってこなくとも,褒め認めることを見つける目を持つことが重要なのは言うまでもない)。
だが,教師としてすべての生徒を,一人の例外もなく教え育むためには,それだけでは足りない。
悩み,苦しみ,不安,焦燥,葛藤。
こういったマイナス情報をも,生徒に語ってほしいのだ。
このような情報があちらから入ってくればこそ,私達教師は,たとえば過ちを犯させる前に指導ができたり,学校を休むほど落ち込む前に支えたり,自傷行為から救ったりすることが可能となる。私など,生徒自身が私宛に話したり書いたりするこのような情報のおかげで,不登校や非行問題行動を未然に防いだり,また即座に解決できたりしたことが何度もある。
そんな話をすると,「自分にはできない」という反応に出くわす。9割以上の教師がそういう言葉を返してくる。
生徒の内面を知りたいが,知るすべがない。
主催する研修会で,またはメールや手紙,SNSで,生徒との人間関係に悩む声が初任者・ベテラン問わず山のように届く現状を踏まえると,そういった関係を築くことができない教師が多くいると判断せざるを得ない。
確かに,思春期の子どもたちを相手にするのは大変だ。我が子ですら手を焼き,時には虐待やネグレクトにも及ぶような親もいるくらいだ。血のつながりのない「赤の他人」が,疾風怒濤の時代を生きる子どもたちの内面にどこまで迫れるか。私自身も,心許ない。
自分自身も悩み,あるいは仲間の悩みの一つひとつに答える過程で,生徒の内面を知るためのツールが幾つも幾つも必要だという考えが強まっていった。
そこで,中学生が抱く憧れ,悩み,不安などを「つぶやき」の形で集めることとした。
全国各地で日々奮闘するTOSS中学の仲間たちに調査を依頼し,4000名の中学生の声を集めた。
それをカテゴリー分けし,さらに取捨選択して,本書に収録した。
ここにあるつぶやきが,今この時を生きる中学生の生の声である。
多くの内容が,読者の目の前の中学生の本音とも重なっているはずである。
中には,「ただのわがままじゃないか」「こんな自分勝手なことを言わせておいてどうするんだ」というものもあろう。
だが,相手はまだ子どもだ。たかが15歳だ。どれだけ突っ張ろうが,どれだけ背伸びしようが,15歳なのだ。
こちらは大きな心で受け止めて,次のように考えようではないか。
この子に対して,自分だったら何をどう語るだろうか。
このつぶやきに対して,自分に何ができるだろうか。
こういう思いで日々生きている中学生に,何を教え何を育もうか。
自分自身が変われば,この子の心を支えることができるかもしれない。
どうか「教師の目」で,一つひとつのつぶやきを読んでほしい。
「いまどきの中学生」のどこがどう「いまどき」なのかを見極めて,明日からの指導に活かしていこう。
/長谷川 博之
この本を読んでドキッとしましたが、本に書かれたことと逆のことをやれば良いということにも気づきました。
こういう本は初めてです。
読んでいて「子どもの悩みと真剣に向き合っていただろうか」と改めて考えさせられました。
悩みや学校、教師に対しての思いがストレートに書かれています。
中学校や小学校高学年の学級経営に役立ちます。
冒頭の著者と生徒との日記でのやりとりに感動しました。
子どもと、生徒と関わるということはここまでやるのかとイメージが持てました。
二学期子どもへの対応が変わりそうです。
本音を理解することから指導を始めようをと思った。
ぜひ、たくさんの人に読んでもらいたい。
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