- はじめに
- 日々の小さな言語活動と,組織された大きな言語活動の両者が相まって1年間の子どもたちの言葉の力の成長がある
- 第1章 すべての子どもたちに確かな「言葉の力」を
- 筑波大学附属小学校/二瓶 弘行
- @ 教師である私が子どもたちに託す「願い」
- A 3冊の詩集
- B 言語活動「詩の語り」の意義
- C たくましく,優しき学級集団を
- 第2章 今日からできる言語活動のアイデア72
- 【1年】
- 「いつ・どこゲーム」で楽しく文のしくみを知ろう!(文法)
- 「お話リレー」でストーリーをつなごう!(創作)
- 「ことばあつめゲーム」で言葉をたくさん知ろう!(語彙)
- 「ことばけつリレー」で大事なことを判断しよう!(話す・聞く)
- 五・七・五のリズムに親しもう!(創作)
- 「ことばすごろく」で言葉を楽しもう!(語彙)
- 読み聞かせに参加しよう!(読書)
- 3つのまとまりで日記を書こう!(作文・日記)
- 「あったかことば」で受け止めよう!(話し合い)
- 「問い」と「答え」を見つけよう!(説明文)
- 「問い」と「答え」を表にまとめよう!(説明文)
- ネームプレートで考えを発表しよう!(物語文)
- 【2年】
- 「なりきり詩」を書こう!(創作)
- 「お題ことば」で感性を磨こう!(語彙)
- 3人で1つのお話をつくろう!(創作)
- 3つの視点で観察記録文を書こう!(作文・日記)
- 「でも」を使ってエピソードを語ろう!(文法)
- 「聞き方名人」になろう!(話す・聞く)
- 「はじめ」「中」「おわり」をばっちり分けよう!(説明文)
- 「もやもや→つまり→例えば」で感想交流を深めよう!(話し合い)
- 「○○おたずねクイズ」で質問力,応答力を鍛えよう!(話す・聞く)
- お気に入りの本を紹介しよう!(読書)
- 「発表ゲーム」でつけたす力を身につけよう!(話し合い)
- 「10秒ミニスピーチ」で話すことに慣れよう!(話し合い)
- 【3年】
- 物語のダウトを探せ!(物語文)
- 「私の何でもベスト3」で学級全員スピーチ名人!(話す・聞く)
- オリジナルの読書カードをつくろう!(読書)
- 「人間段落構成」で説明文の理解はバッチリ!(説明文)
- 「続きが読みたくなるはじめの一文」を考えよう!(作文・日記)
- 「リレー物語」をつくろう!(創作)
- 「ローマ字しりとり」でローマ字名人になろう!(文法)
- 「短冊作文」をつくろう!(作文・日記)
- 説明文の型を見分けよう!(説明文)
- 「本の福袋」をつくろう!(読書)
- 「説明文パズル」で段落構成を把握しよう!(説明文)
- 「大もりの文」を書こう!(語彙)
- 【4年】
- 「今月の漢字」で1か月を振り返ろう!(創作)
- 「スピーチハウス」に文章をまとめよう!(話す・聞く)
- クイズを交えて本の紹介をしよう!(読書)
- 「ブックスタンド」で読んだ本を紹介しよう!(物語文)
- 国語辞典っぽい文を書こう!(文法)
- お気に入りの一冊の「ポップ」をつくろう!(物語文)
- 本のシリーズを紹介しよう!(読書)
- 音読のポイントを押さえよう!(物語文)
- コツコツ学びをまとめよう!(家庭学習)
- 「話さなかったことは何か」を考えよう!(話す・聞く)
- 「空想作文」を楽しく書こう!(作文・日記)
- 「5ミニッツ」で話し合いを楽しもう!(話し合い)
- 【5年】
- 「マイブーム」をすいせんしよう!(話す・聞く)
- 3つの視点でギュッと絞った意見文を書こう!(作文・日記)
- 学級の「歳時記」をつくろう!(語彙)
- 「ブラインドブックデート」をしよう!(読書)
- 「未来日記」でなりたい自分になろう!(作文・日記)
- 3つの視点で伝記をまとめよう!(読書)
- ショートタイムで伝え合おう!(話す・聞く)
- ショートタイムでどんどん書こう!(作文・日記)
- 結末のうたを考えよう!(創作)
- 立場と理由がはっきり伝わる意見文を書こう!(話し合い)
- 「行事新聞」づくりで記事の書き方名人になろう!(創作)
- 最高学年へステップアップしよう!(作文・日記)
- 【6年】
- 詩を1枚の図に表そう!(創作)
- ペアで「新聞スピーチ」をしよう!(話す・聞く)
- マップで簡単に意見文を書こう!(説明文)
- 「リレー読書」でいろんな本と仲良しになろう!(読書)
- 1分間で授業を振り返ろう!(話し合い)
- 「比べる」視点で古典の音読マスターになろう!(古典)
- 「1回で終わらない質問や意見」を考えよう!(話し合い)
- 修学旅行の思い出の1枚でスピーチしよう!(話す・聞く)
- 「卒業カウントダウンカレンダー」をつくろう!(作文・日記)
- 本を選んで調べよう!(語彙)
- 保護者懇談会を予想して物語を書こう!(作文・日記)
- 別れる友に四字熟語を贈ろう!(創作)
はじめに
日々の小さな言語活動と,組織された大きな言語活動の両者が相まって1年間の子どもたちの言葉の力の成長がある
全国津々浦々の5年生の国語教室。
私たち教師は,椋鳩十の「大造じいさんとがん」を中心学習材にして,物語の授業を構想します。また,増井光子の「動物の体と気候」などを学習材に,説明文の授業づくりを考えます。
当然のことながら,物語の授業でも説明文の授業でも,「単元」を組織します。その単元において,どんな「言葉の力」をはぐくもうとするのか。そのためにはどれぐらいの授業時数が必要となるのか。
そして,そういったことを考えるうえで重要になるのが,「言語活動」をどのように位置づけるか,ということです。言うまでもなく,国語科において言語活動とは,「読むこと」「書くこと」「話すこと」「聞くこと」の4つのジャンルを指します。この言語活動を通して,確かな言葉の力,すなわち「読む力」「書く力」「話す力」「聞く力」を子どもたちにはぐくむことが,国語科教育の責務です。だからこそ,どのような言語活動を組織・展開するかが,授業づくりの核となるのです。
ただ,このような単元,ときには十数時間に及ぶ大きな単元だけで,子どもたちに言葉の力をはぐくんでいるわけではありません。毎日毎日,子どもたちは様々な国語の学びをしています。この日々の様々な学びの中で,少しずつ少しずつ言葉の力を獲得しているのです。
単元での「大きな言語活動」に対して,この日々の様々な学びは,「小さな言語活動」と言ってもよいでしょう。
このように,日々の小さな言語活動と,組織された大きな言語活動の両者が相まって,1年間の子どもたちの言葉の力の成長があるのです。
今,教室現場では,単元における大きな言語活動が大変重視され,その在り方を模索する実践書がたくさん出されています。だからこそ,本書ではあえて日々の小さな言語活動に焦点を当てました。
本書には,各学年ごとに吟味された,全部で72本という豊富な言語活動のアイデアが収録されています。また,そのジャンルは,「話す・聞く」「創作」「語彙」「読書」「話し合い」「作文・日記」「説明文」「物語文」「文法」「家庭学習」「古典」と,実に多岐にわたっています。
本書には,日々の国語授業,ひいては子どもたちの生活すべてを通して,確かな言葉の力をはぐくもうとする私たちの願いが込められています。
執筆を担当したのは,国語“夢”塾の仲間である教師たちです。
彼らはみな,全国各地で国語の授業づくりに懸命に取り組みながら,この国語“夢”塾に定期的に集まり,明日の国語授業について真剣に学び続けてきている,熱意あふれる,力ある国語教師です。
その中でも,特に精力的な実践者である6人の教師,新潟の岩崎直哉,愛知の山本真司,京都の宍戸寛昌,香川の藤井大助,青森の弥延浩史,長野の小林康宏が,1年から6年までの学年発達段階を検討し,仲間たちのアイデアをとりまとめるという,編集の中心的な役割を担いました。
私たち小学校教師の仕事は,たくさんたくさんあります。その仕事の中でも,最も大切な仕事は,授業を通して子どもに学力をつけることです。
その学力の根幹にあるものこそが,言葉の力だと私は思います。
言葉を読む力,言葉を書く力,言葉を話す力,言葉を聞く力。これらの言葉の力は,あらゆる教科・領域の学びを支える力です。
そして,この言葉の力は,教室での学びを超えて,子どもたち一人ひとりがこの時代を生きていくために必要不可欠な力なのです。
子どもたちが,言葉といきいきとかかわりながら,確かな言葉の力を身につけていく,そんな学級をつくりたい。
私たち教師のだれもが抱いている願いです。その実現のために,本書が少しでも参考になることを願っています。
2015年6月 /二瓶 弘行
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