- 特集 発達障がい児のコミュニケーション力をUP 成功事例25
- 特集のねらい
- 「発達障がい児」「周りの子」という2つの視点で指導する
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- 発達障がい児のコミュニケーション力をUPする
- @言葉をあまり発しない子
- 場面かん黙の子を成長させる3つのポイント
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- Aすぐにちょっかいを出す子
- 「教えてほめる」ことの繰り返しで成功体験を積ませる
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- B他の子へあまり興味を示さない子
- トラブルがおさまらないのは、特性を理解していない周囲の側に問題がある
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- C一方的に自分のことだけを話す子
- 学習ルールを徹底させる。楽しい中で指導する。いずれも「教えてほめる」ことが原点にある
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- D他の子が嫌がることを言う子
- 成功体験を味わえる学級が発達障がいの子を育てる
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- Eすぐにキレる子
- 楽しい1対1の場面をつくり、認めてほめる
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- F相手との距離感が分からない子
- 代わりの言葉を使えるようにすることで、支援の必要な児童が変わる
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- Gパニックになって固まる子
- 失敗を失敗で終わらせない工夫で安心を保障する
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- 発達障がい児へのコミュニケーション力をUPする
- @言葉が少ない子へのかかわり方
- かかわりの経験を重ねさせ、不安を軽減させていく
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- Aちょっかいを出された時の対応
- 望ましい姿勢を教師が見せて、受け流せる子どもを増やす
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- B友だちにかかわろうとしない子への接し方
- その子への先入観を消しながら次第に友だちの輪を広げる
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- C自分の意見を主張する子へのかかわり方
- 教師だからこそできる環境調整〜周りの子(多数派側)に理解と技術を〜
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- D嫌なことを言われたときの対応
- トラブル激減。お目こぼしでトラブルを起こした子も救われる
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- Eキレそうな時の対応
- 発達障がい児本人の訴え(龍馬くん)から学ぶキレそうな子への対応術
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- Fべたべたとさわってくる子への対応
- 「語り」とスキルを教える
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- Gパニックにならせない方法,なった時の対応
- 教師が優しく冷静に状況を説明し、言葉や対応を教えてあげることで、周りの子も発達障がいの子への対応を身につける
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- 場面別コミュニケーション力UPの方法
- @コミュニケーション力UPに使える教材
- コミック漫画でコミュニケーション力をつける
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- A効果のあるソーシャルスキルトレーニング
- 4つのステップで教えた「ごめんなさい」の言い方&1年生に分かりやすい「ふわふわことば」の実践
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- B効果のあった授業
- ほめてほめてほめまくり、評定することで自信をもち、友だちと円滑に交流できるようになる
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- Cペア活動の活用法
- 「教えてほめる」はここまで「教え」そしてここまで「ほめる」
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- Dグループ活動の活用法
- 小さな小さな変化をグループに広めていく
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- Eクラスイベントの活用法
- クラスイベントでHQを育て、コミュニケーション力をUPさせる
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- F行事の活用法
- 重要なことは「趣意説明」である〜なぜ、そのような行事を行うのか。子どもたちに語ることが大切である
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- G係活動の活用法
- 係の仕事をきちんと分担し、仕事を「教えてほめる」ことが重要である
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- Hトラブルを活用する
- 順序よく解決の方法を体験させる
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- ミニ特集 学級を総点検!特別支援対応度チェック
- 教室掲示
- 「教室全面には何も貼らない方がよい」ということが子どもたちへのアンケートからも明らかになった
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- 宿題
- 特別支援を要する子が宿題に取り組める5つの手立て
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- 朝の会・帰りの会
- 短い朝の会でスムーズな1日を送れるようにする〜朝、教室に入るときから「ほめる」を意識する〜
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- 忘れ物対応
- 叱らず、対処の仕方を教える
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- 給食システム
- 穏やかで、不平不満のない環境に整える
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- 当番活動
- システムをつくることで快適な学校生活を送ることができる!
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- 授業の開始
- 授業は自然にすっと開始する
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- グループ学習
- パターン化・システム化し、子どもの負担を減らす
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- 休み時間
- 目指したい。出張中も平和な休み時間を過ごせる学級づくり!
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- トラブル対応
- 一つの例外もなく、したたかに上品に対応する!
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- グラビア
- TOSS熱海合宿2013 ほか
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- 特別支援教育に必要な親学 (第3回)
- 親学が寄与できること
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- 〜“説得”するのではなく“納得”する科学的知見を活用する〜
- 写真で早分かり 子どもの特性に合わせた“情報伝達の構造化” (第13回)
- 教科書をうまく読めない子どもに対応する「イエローマーカーリーダー」
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- 〜読む行を限定し浮き上がらせることで、読字困難を克服させる〜
- 教育の新課題と特別支援教育
- 医師は,なぜTOSS教材を高く評価するのか
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- 巻頭言
- 1年を左右する教材採択,絶対に勝利しよう
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- 『教育』と『医療』の連携で特別支援教育を強化する (第12回)
- 医教連携で子どもたちの健全な成長・発達を支援する!
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- 『龍馬くんの訴え』から学ぶ発達障がい指導原則 (第8回)
- どうしたらよいか分からない状態を「教えてほめる」で改善する
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- 子どもに力をつけるTOSS教材教具
- 〈名句かるた〉口で百回言うより体験させることが大切だ
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- 〜「勝つこともあれば負けることもある」を体験させる〜
- 〈ソーシャルスキルかるた〉文脈形成力を育て、コミュニケーション能力を高めていく
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- 〈くるりんベルト〉成功体験がすぐでき、細分化されたステップがあり、逆上がり達成までの見通しが立つ
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- 〈PISA型スキル〉特別支援学級になくてはならない教材
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- ポイントを外さない〜特別支援の子の保護者への対応術 (第6回)
- 保護者が困ったときに、答えの選択を用意できるか
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- 「受容」「共感」「指導(助言)」保護者の信頼を得る3つのステップ
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- 私は,この本をこう読んだ (第6回)
- 『特別支援の子への対応―AさせたいならBと言え』TOSS大阪なみはや他著(明治図書)
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- 〜ゆずることを具体的な場面で繰り返し教える〜
- 『自閉っ子のための努力と手抜き入門』ニキ・リンコ,浅見淳子著(花風社)
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- 〜自閉の文化を理解していなければ、学校は誤学習の場になる〜
- 特別支援教育を視野に入れた学校づくり (第5回)
- 小野隆行氏を講師に校内研修を行い特別支援教育を学ぶ
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- 発達障がい児も楽しんで取り組むレクリエーション (第2回)
- バスレクで次々にテンポよく問題を出し,あきさせない,酔わせない
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- 学級担任に必要な「特別支援教育の基本スキル」 (第10回)
- 専門用語を知らなければ、特別支援の専門家とは言えない
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- 教育は格闘技だ―フリースクールの実践 (第27回)
- 15分に一度のフィードバック
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- 〜キレる子には、調子のいい時の過ごし方を教える〜
- 中学校を改革する特別支援教育で中学校が変わる (第6回)
- 力量向上が保障された校内研修を開催しよう
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- 眼科医療と発達障がい支援の関連 (第3回)
- 百聞は一見にしかずと言うけれど
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- 〜見てもわからないこともある〜
- 発達障がい児への指導法/支援法 (第6回)
- QAレッスンシート―「怒鳴る指導」は周りにどのような影響を与えるか―
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- 特別支援教育の制度/障がいの用語理解/障がい観・支援システム (第6回)
- 特別支援教育の制度 その2 インクルーシブ教育システム
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- コーディネーターのお仕事拝見 (第16回)
- 就学指導にかかわる
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- 誌上QAコーナー こんな時どうしますか
- 新年度、発達障がい児がうまくスタートを切るための対応 「ループ」「イメージ」をいかにさせるかがポイントである
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- 特別支援学校・特別支援学級コーナー
- コーナー担当
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- 特別支援学校の実践
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- 〜10玉そろばんの変わった活用法〜
- 特別支援学級の実践
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- 〜構音指導で苦手な発音を改善する〜
- 論文ランキング
- 36号/いじめの特集に大きな反響が寄せられた
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- 読者のページ
- 36号の学びや感想
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- 編集後記
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- TOSS特別支援教育イベント情報
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- どんな子でも熱中する教材はこれだ!!
- 百玉そろばん
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- 〜『百玉そろばん』は、操作性に優れており、特に発達障がいの子どもにも使いやすい算数教具です。数の順序性や量、合成や分解など多様な使い方で、子どもの理解を助けます。〜
巻頭言 1年を左右する教材採択,絶対に勝利しよう
栃木県茂木町立逆川小学校/松崎 力
教材を採択する瞬間,それは1年間を左右するほど大切な時だ。
私は,単学級を担任することが多いので,教材採択に関してはいつもスルーである。自分が選択したいものを選択している。
ところが,学年を組んでいる人たちは,それぞれの場で苦労をしていると聞く。
教材採択は,相談の上で決定するというのだが,学年主任や年齢が上の教諭に押し切られて,自分の推薦する教材を採択できないという。それが,納得する理由であればよいのだが,「表紙がかわいいから」「値段が安いから」「問題数が少ないから」など,内容というよりも見た目を理由とされてしまう。
若い教師は,そのことに対して反論することができず(反論しても押し切られてしまい),泣く泣くあきらめてしまうというのだ。
教材には,使い方がある。それらを知らない教師は,効果的な使い方ができない。
保護者は,支出した費用に見合うだけの学力を要求する。それが保証されなければ責任を追及してくる。
やり方がでたらめな教材は,力も付かない上におもしろくない。だから,発達障がい児の中には,「つまらない」と教材を破り捨てたという事例も報告されている。
しかし,このような事実があっても,教材を問題視するのではなく,保護者や子どもを問題視する教師は多い。
教材を使用するのは,子どもに力をつけるためである。正しい使用法が確立され,授業の中でシステマチックに使用できる。そういった教材は,発達障がい児も受け入れてくれる。
そのようなことを根拠として,教材を採択していかなければならない。
なかなか採択できないのであれば,「譲れないこの教材」として,何としても1つだけは入れてもらう。
また,「相手の主張を1つ認めるから,自分の主張も認めてほしい」と粘る。手段はいろいろある。
さらに,教材を使用したら発達障がい児の学力があがった,コミュニケーション能力があがったなどという具体的な数字,報告も有効だ。
以下に示すものは,340人の教師を対象としたアンケート結果である。
最初の質問は,「学習意欲がほとんど見られなかった子どもが,TOSSの教材・教具を使用することで,意欲的に学習をするようになった事例を経験したことがあるか。また,それはどんな教材・教具か」である。
この質問に対して,「ある」と答えた教師は,323人いた。実に96%の教師が経験しているという。
その教材は「あかねこ漢字スキル」と答えた教師が132名,「あかねこ計算スキル」は124名,「うつしまるくん」が124名と圧倒的だ。
これらの教材の共通点は,使い方が明確に示されている点だ。
その通りに行えば,クラス平均点90点以上を獲得することができる。高得点は,子どもたちに自信をもたせる。ますますやる気が増してくる。
さらに集中して取り組むために,何度も高得点を獲得する。好循環だ。
あかねこ漢字スキルは,1週間サイクルで漢字を習得する。月曜日から金曜日までの学習内容が確立されているので,子ども自身が今日は何をするか判断することができる。
これによって,安定して練習に取り組む。
さらに,指書きからテストに至る一連の漢字習得法は,家庭学習においても有効である。
あかねこ計算スキルは,問題数を自分で選ぶ。自分にあったコースを選ぶことにより,100点をとることが可能になる。
2問コースでも,問題の難易度が考慮されているので,2問が確実にできれば学習内容を習得したと判断することができる。
また,自分でコースを選ぶということは,自己決定力の向上につながる。毎日の些細な行為であるが,この積み重ねによる高得点獲得という体験は,自己肯定感の醸成に役立つ。
教師側の指示が明確になるということも大きな要素であろう。明確な指示は,子どもが動きやすい。全員が指示通り動くことで,教師はほめる機会が多くなる。ほめられることにより,子どもは意欲的になる。
平均点で90点を超えるというのは,それまで10点や20点と低い点数を取っていた子たちが,70点,80点と点数をあげなければ為し得ないことである。
時に逆転現象を引き起こすこともある。こういった事実がクラスのドラマとして,多数報告されている。
学力だけではない。教材を使用したため,子どもが向上的に変化したと感じる教師は288人,85%もいた。
内訳は,次の通りである。
・学習意欲が向上した(109人)
・授業に参加するようになった(84人)
・負けを受入れるようになった(63人)
・コミュニケーションが向上した(27人)
・性格がまろやかになった(24人)
学習意欲が向上したり,授業に参加したりするようになるのは,教材が「楽しい」「分かる」からだろう。
さらに驚くことは,コミュニケーション能力や性格に関する報告だ。教材を活用することで,人格形成にまで役立ったということだ。
喧嘩が減少したり,集団生活を遵守するようになったというのは,1つの教材で為し得たというよりも,有効な教材を複合的に活用したからだろう。
このような事実を提示することで,教材採択に勝利したい。子どもと教師の1年間を左右する瞬間の勝利を祈る。
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- 明治図書
- コミュニケーション力は発達障がい児ほど低いのが現場で感じるところです。それをアップする方法とは、とても興味あるし知りたい情報でした。明日から使える具体的な内容満載でした!ぜひ、多くの先生に読んで欲しいと思いました。2013/4/22つばさ