- 特集 平均90点への布石!教科書を授業する「黄金の3時間」
- 1時間目からチャイムと同時に授業に突入 隙を作らない先手必勝
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- 授業のシステムを組み込み 授業のしつけを教え 授業へのやる気を呼び起こす
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- 「授業の原則十カ条」こそが、学力を保障する
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- 指示を全員に徹底させて、子どもに達成感をもたせる
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- スッと入れる作業指示を心がける
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- 1時間目から学習技能の定着を図る
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- 趣意説明でリズム・テンポを生み出す
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- ミニ特集 学力向上の決め手『TOSS算数ワーク』を活用する
- 一番人気の学習ゲームで子どもたちは集中を見せていた
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- 向山型のエキスがつまった『TOSS算数ワーク』
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- 準備が簡単!少人数指導で大活躍
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- あかねこ計算スキルの原形がここにはある
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- シーンとなった状態で、子どもは熱中して取り組む
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- 学力向上のワークシステムをつくる
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- グラビア
- D表クリアはプロ教師への大きな一歩である
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- 若葉印教師のための向山型算数基礎基本イラスト事典
- 赤鉛筆
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- 向山型算数キーワード
- 子どもの常識をくつがえす
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- 巻頭論文 算数授業へのこだわり
- 『学力向上算数ワーク』は、子どもを魅きつけた
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- 学年別4月教材こう授業する
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- かずのなまえ
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- かずのなまえ
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- 小数
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- 6年
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- 中学難教材こう授業する
- 2年/1次関数 動点の問題
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- 中学校からの発信!「向山型数学」実践講座 (第61回)
- 反抗期の兆しを見せ始めている中学生だから向山型が有効
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- 向山型算数に挑戦/論文審査 (第65回)
- グチャグチャになる操作活動をどのように位置づけるか
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- 向山型算数実力急増講座 (第67回)
- 公開授業で問われる授業力と子どもの学力(上)
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- 向山型算数WEBサロン (第61回)
- 向山氏のビデオで学んだ“指名の間でリズムを作る”を追試
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- “若葉印”教師が向山型算数でダッシュするとき (第1回)
- 「若葉印」時代の修業方法5つ
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- “問題解決学習”隣の教室の実態ルポ
- 子どもの努力が報われない
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- 問題解決学習は学級崩壊を目指しているとしか思えない
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- 〈教室の障害児と向山型算数〉特に気になる『あの子』への向山型アプローチ
- 衝撃を受けた言葉「90%ほめる」
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- もう一つの向山型算数 難問良問1問選択システム (第67回)
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- 【学年別】『TOSS算数ワーク』活用事例集 (第1回)
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- 3年/授業開始から学習に引きずり込む
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- 4年/単元のまとめで力をつける!
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- 5年/3つの「C」で学力をつける!
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- 6年/おもしろい!心をつかんだワーク
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- 腹の底からの実感!向山型算数を知る前と後
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巻頭論文
算数授業へのこだわり
『学力向上算数ワーク』は,子どもを魅きつけた
向山洋一
向山全集第5期13巻セットは,『学力向上のTOSS算数ワーク』である。
向山が基本コンセプトを決め,向山が設計をして,私が見込んだ方々に「高松国際ホテル」まで,二度出かけてもらって作った教材である。
セシール通信用教材として作ったこの教材は,セシールが通教から撤退したため,世に出なかった。
私は,「せっかくの知恵の結晶」を,いつか世に出したいと思い,セシールの責任者と交渉し,出版権を入手しておいた(著作権は,私どもにある)。
言うならば,いわくつきの歴史的教材だ。
このような教材は,そのとき入手しておかないと,後から手に入らない。「向山洋一実物資料集」「向山洋一年齢別著作集」を入手しておけばよかったと思っている人は多い。
十年昔の向山が作った『算数ワーク』がどのようなものか,山口県の木田先生の指導を紹介する。「やりなさい」だけでシーンと取り組んだ。
1 早速子どもにやらせてみる!
向山全集第5期13巻セットが届いた。『学力向上のTOSS算数ワーク』である。
5年担任で今学習しているのが「面積」ということもあり,まずめくったのが67巻・小学5年「量と測定」編だ。
三角形の面積,平行四辺形の面積を求めることが主な学習内容である。そのページを見た瞬間思った。
「子どもにやらせたい!」
まえがきに書かれている。
自分1人で学習して,公立高校に入学できる学力を保証するのがねらい。ということは,配ってやらせるのみ。教師はごちゃごちゃ言わないに限る。
まえがきには,こうも書かれている。
本書が,新しい教育界の動きの中の,新しい教材として「帯の時間」「朝学」「発展学習」「自宅学習」用として活用されることを願う。
「朝学」の時間にやらせよう!
10月21日の朝学を迎える。5年生23名に実施した。
2 配って「やりなさい」それだけ
プリントにして配った。
P.6 1 面積 ①平行四辺形の面積の求め方
一言。
指示 やりなさい。
大きく2つに分かれた。
目線を左側に送る子ども。プリントをじっと見つめる。左半分の説明文を黙読している。
そして,目線をいきなり右側に送る子ども。問題を解くのは右側だけと判断したのだろう。すぐに,鉛筆を持ち,書き込む。質問が出ない。
本当に出ないのだ。
「えっ?」というようなリアクションもない。極めて自然な流れでワークを始めたのである。
しばらくして言った。
指示 全部できたら,答えを取りに来なさい。
プリントにしたので,全部できたら,答えを取りに来させた。答えも人数分印刷しておいた。
全員が答えを記入していた。
「あかねこ計算スキル」で残り問題をやるとき,いつも答えを参考にやっている子も,全部解いたのである。シーンとしていた。
最初から最後まで,どの子も集中して取り組んでいた。
プリントの裏に感想を書かせて「朝学」を終えた。
3 子どもの感想
子どもの感想を紹介する(原文のまま)。
「平行四辺形は,ちょっと,分かりやすくて,ときやすい,もんだいで,すぐ,できました。つぎは,三角形は,やりたいです。三角形の,もんだいは,平行四辺形とちがって,むずかしいです。やりたいです。」
「きょうは,かんたんのもんだいでした。わたしは,ぜんもんせいかいでした。たのしかったのでまたやりたいです。(かんたんのもんだい)」
「すこしむずかしかったです。だけど感がえてみると,すこしだけかんたんになってすらすらとできました。左もやるのかと思いました。ヒントがあったからできたと思いました。」
感想から次のことが言える。簡単だった。
「簡単だった」「分かりやすかった」「すぐできた」ということを書いた子が23人中13人だった。なお,「ヒントを読んで分かった」という子が5人いた。またやりたいと思っている。
「またやりたい」ということを書いたのは5人だった。しかし,「やりたくない」「嫌だ」といった感想を書いた子は1人もいない。「難しかった」と書いた子が10人もいたにもかかわらず,である。自分1人でできる。
解いて丸付けをする。これを自分1人でできることを子どもの姿が証明した。
これからも『学力向上のTOSS算数ワーク』を活用したい!子どもの姿を目の当たりにして強く思った。〈向山〉
教師は,すぐれた教材教具に助けられる。
だから教師は,「すぐれた教材を見分ける力」をもたなくてはならない。
プリント教材なら,次の2点である。
(1)プリントを配ってやらせたとき,質問が出ない。
(2)熱中して取り組み,教室がシーンとなる。
これは,自分でプリントを作るときの目安ともなる。この2つを満足すれば,合格点だ。
教師は「見分ける力」をもつとともに,「ユースウェア(使い方)」の大切さを知らねばならない。
正しいユースウェアは,「すぐれた授業」そのものなのである。
「細長いドリルをやらせっぱなしにする」ことをいつもやっているようでは,腕は上がらない。
効果もほとんどない。
「細長いドリル」は,一見子どものためのようだが,本当は教師の「手抜き用」なのである。
「目安としてやらせる」「宿題としてやらせる」ためのものであり,「教師の手抜き用」だ。
学校で使うすぐれ教材は,必ず教師が授業するものなのである。
短い時間での授業(ユースウェア)これこそが,すばらしい効果を発揮するのだ。
『TOSS算数ワーク』は,家庭用教材として作ったものだ。
学校用教材と作り方は違う。
家で自分1人でやって,学習効果が上がるように作られている。
20年昔,進研ゼミ小学校教材の全部を設計した向山が,それを抜くものとして設計した教材である。
木田先生の報告のように,「学校の朝学」の時間に「やらせただけ」なのである。
それなのに,子どもたちは「難しかったけどまたやりたい」「分かりやすかった」と感想を書いているのである。
すぐれた教材,教具は世界共通だ。
先日,トモエそろばんの社長さんが,アメリカで流行している「アメリカ版百玉そろばん」を持ってきた。
大きさは,日本の子ども用と同じくらい。
玉は,プラスチックの円盤形である。
これでは,軽度知的障害の子は操作しにくいと思った。この子たちは,指先が不器用なのだ。厚い手袋をはめて,操作していると思えばいい。
算数セットの「タイル」や「ブロック」など,この子たちには地獄の教材だ。しかも,入学早々,扱うことになるのである。
百玉そろばんは,不器用な子でも扱えるのだ。これは,すごく大きな違いだ。
ところで,アメリカ版百玉そろばんの価格を中央事務局で考えてもらった。
最も安く値をつけた先生が300円。多くは,800円前後。一番高くつけた先生は1500円だった。
正解は100ドル。1万1千円である。
一同,日本の百玉そろばんは,何と安いのだろうということになった。
(※別に約75ドルのものもあります)
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- 明治図書