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巻頭論文
算数授業へのこだわり
算数の問題解決学習法は違法である
かつて福岡高裁と最高裁は明確に判決した
向山洋一
産経新聞(東日本版)で,私の連載が始まった。毎週月曜日の長期連載である。
タイトルは,「真犯人はこいつだ」である。
これまでの新聞,テレビの教育報道は,ポイントがずれていた。
学力低下の本当の原因は何か…など,どうでもいいことをつっついていた。
教師にとって,1週間の総授業数が1時間少ないなどということは,どうでもいいことである。
しかし,マスコミ評論家は,「授業で学力をつける大切さ」については分からないから,「週に1時間減った」などということを大さわぎして,結果「教師は夏休みにも授業をする」「1年生でも6時間目まで授業をする」というひどい学校まで生まれてしまった。
そんなことをしたって,学力低下問題は解決しない。
本当の原因は,算数の教科書をほとんど教えていない「算数の問題解決学習」という授業方法や,漢字の学習を宿題にして,紙芝居づくりなどにうつつをぬかす国語の単元学習だからである。
真犯人を,あぶり出し,多くの人々に理解
してもらわねば,ことは解決しない。
私の訴えを,驚きをもって理解してくれた産経新聞編集部は,私に連載の場を与えてくれた。
反響は大きい。
投書が続々とくる。
「教科書を使わないので疑問に思っていました」という親は多い。
私の連載は,とりあえず「算数の問題解決学習」から始まった。
じっくりと追求し,多くの議員さんに,議会で質問してもらうまで続けるつもりである。すでに反応は出ていて,これまで「教科書を使うな」と言っていた校長が,言い方を変えている。
算数の研究会で,「教科書を使ってください」という指導主事が激増している。
「算数の授業のときには算数の教科書を使う」という当たり前のことを,指導主事が言うようになったことに,大きな変化を感じる。
もちろん,現在も「教科書を使うな」と強要する校長,算数主任はいる。勉強不足なのだろう。世の流れを知らないのだ。
親が教師に対して「算数の教科書をきちんと教えてください」とお願いするところも増えている。親も真相を知りつつある。
弁解がましく,「プリントの中には教科書の問題を入れてあるから,教科書をやっていることになる」という教師もいる。
しかし,こんな弁解は通用しない。
かつて,同じことで裁判がされ,最高裁は明確に決着をしたのだ。
その教師たちは,裁判に敗れ懲戒免職になった。
つまり,算数の問題解決学習を熱心に進めている教師は,裁判になれば,懲戒免職になるようなことなのである。
産経新聞連載第4回で,私は次のように書いた。
№4 算数の問題解決学習は違法だ
学力低下の真犯人「算数の問題解決学習」をTOSSの教師が拒否し,教科書を使って授業をすると「使うな」と校長や主任から強要される実態をこの連載で書いたところ,驚きの声が寄せられた。
保護者が「教科書を使ってください」と要請しても,学校は「プリントで学習していて,その中に教科書の問題が入っているからいい」と答えるだけだという。
これは正しい対応だろうか?
問題解決学習が落ちこぼれを作る仕組みを説明する前に,法的問題に触れたい。
第一に,学校教育法二一条は「教科用図書を使用しなければならない」と定めている。
第二に,プリントは教科書ではない。
プリントには,教科書の一部分が筋道もなくバラバラに紹介されているだけだ。
第三に,同様の問題がかつてあり,裁判(伝習館訴訟)で決着済みだ。
福岡の県立高教諭三人が教科書を使わずプリントで教え,懲戒免職になった。
裁判になり,福岡高裁は次のように認定した。
①教科書は学習指導要領の目標と内容によって編成されている
②これを使用することは教育の機会均等の確保と一定水準の維持という目的に有効である
③教授技術上も教科書を使用することは教師,生徒の双方に有利である―。
裁判は最高裁で教師側敗訴で確定した。
問題解決学習を「真犯人」と称するのは,文字通り違法行為だからでもあるのだ。
字数の制限があるので,短く述べた。ここで,補足したい。
学校教育法では,明確に「教科用図書」つまり教科書を使用しなければならないと定めている。
従って,「教科書を使うな」というのは,明確に法律違反である。
もし,校長,教頭,指導主事が,教師に対してこのような「指導」「強要」をするのであれば,裁判を起こせば罰せられるのは,校長,教頭,指導主事なのである。判例から考えれば「懲戒免職」という非常に厳しい判決が下されるだろう。
だから,教科書を使う教師は「いかなる場所」「いかなる強要」に対しても,「私は教科書を使います」と,つっぱねればいいのだ。
法律は,「教科書を使う」教師を守ってくれる。
「プリントには教科書の内容が入っている」という言い訳は通用しない。
プリントには,教科書の一部分が入っているだけだ。
しかも,バラバラで系統を崩している。
それは,「素材の一部」が入っているだけで「体系的な教材である教科書」とは,ほど遠い。
「プリントは,教科書と同じ」なら,教科書を使えばいいのだ。
「プリントは,教科書ではない」のである。
裁判は,そのことに明確な判決を示した。
教科書を使わなくてはいけないのは,学校教育法に定められているからである。
しかし,それだけではない。
福岡高裁は,「なぜ,教科書なのか」に明確な指針を示した。
第一に,教科書は,学習指導要領の目標と内容によって作られているということである。
これが,日本という国家の教育の方針なのである。
公教育に携わるものは,教える内容を法律で定められ,その教材として教科書を使うことが義務づけられる。
教師になるとき,全員が,こうした法を守ることを誓約したはずである。
第二に,教科書を使うことは,全国どこでも同じ水準の教育を保証することになるということである。
憲法で定められた教育の機会均等を具体化したものであるということだ。
教科書を教えた上で,それ以上の工夫をすることは認められている。しかし,教科書を教えないで,勝手にやるのは認められてないのである。
教科書を教えられなければ,その子たちは著しい不利益をこうむることになるからだ。
第三に,教科書によって,学力の水準が一定に保たれるということである。
教科書を使えば,それなりに学力水準は保たれる。
しかし,教科書を使わないとき,学力水準を保つことは難しいということである。
これは,ここ3年間の日本教育技術学会の「中学入学時学力調査」の結果が証明している。
全国的なこの調査では,「教科書をあまり使わないでプリントで授業をしたクラスの出身者」は,「教科書をきちんとやってきたクラスの出身者」より,算数の学力は明白に下だったのである。
教科書を使わない算数の問題解決学習と教科書を使う向山型算数の学力差は,明白である。
このことをいうと,算数の問題解決学習の教師は,「テストで学力は分からない」という。
では,「文科省のやっている学力調査では,学力は分からない」ということになる。
第四に,教科書を使えば,教授技術上もとてもよいということである。それは,教師にも生徒にもいいことだというのである。
向山型算数を実践している教師なら実感していることだろう。
これが,かつて,福岡高裁,最高裁が判決した内容である。
判決の理由は,現在を予見しているように明確なものであった。
正義は,向山型算数にあったのである。
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