- 特集 平均90点へのステップ!ここから始める向山型算数
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- 学習環境整備と教える姿勢の徹底
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- 授業の流れの型とノート指導で、安定した授業が保証できる
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- 教師が大切であると思うことを、根気強く言い続けていくことこそ90点突破の秘訣である
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- できない子のことを考えれば準備すべき物と授業の流れが決まってくる
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- ほめる場面を作ってでもほめる
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- 物をそろえ、単元を見通した計画を立てる
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- ミニ特集 プロから学ぶ“文具・教材・教具”の配置
- 心地よく向算をするための微細準備8つ
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- システムをつくり教師の時間を生み出す
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- 教室環境がクラスのルールになる
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- 巻頭論文 算数授業へのこだわり
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- 「向山型」数学実践、SNSにて交流中
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- 向山型算数に挑戦/論文審査 (第77回)
- 問題解決学習の執筆者が悪化させている算数教科書
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- 向山型算数実力急増講座 (第79回)
- にじみ出る「笑顔」 きたえる「笑顔」
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- “若葉印”教師が向山型算数でダッシュするとき (第13回)
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- “問題解決学習”隣の教室の実態ルポ
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巻頭論文
算数授業へのこだわり
広がり深まる向山型算数
向山洋一
(1)
すばらしいニュースが,MLで流れた。福島県いわき市を訪れた山極先生が,全市の小中学校の研修主任の前で2時間余にわたって講演をして,その中にしばしばTOSSが登場したという。
(TOSSの)授業検定について,誰よりも早く日本教育新聞で賛成の論陣をはってくれたのは山極先生だった。
そればかりでなく,TOSS技量検定の場に参加され,最後まで見ていかれた。「全員の前で授業をして,評定も公開され,代案を示すこの方法はすばらしい」と感想を残された。
山極先生は,一斉指導こそ大切だと強調されたという。3日前,向山が向山型算数セミナーで力説したのと同じだ。
山極先生はさらに,一斉指導の力のない教師は個別指導をするなと言っている。力ない教師が,個別指導でごまかしている例が山ほどあるからだ。
結果こそ大切であり,子どもに学力をつけない教師は月給ドロボーと同じだとまで言っている。
そして,TOSSの指導法を学べばいいのだと言われた。
そして,「算数の問題解決学習」を痛烈に批判された。
できない子は,下を向いたままだと指摘し,「算数の問題解決学習などという方法が,まだされているのにびっくりする」と言われ,「教科書で授業しなさい」と言い放った。
いわき市は,「算数の問題解決学習」の牙城だ。そこでの発言である。
この発言が,どれだけ重要かは,山極先生の経歴を知ると分かる。
文科省には,「教科調査官」がいる。例えば,算数だと「小学校」「中学校」「高校」の3人がいる。
小学校算数の全国大会があると,小学校算数教科調査官がきて講演や指導をする。
その上に,班長みたいな感じで,何人かの視学官がいる。
全教科に,小,中,高,養別の教科調査官がいるのだ。
この全教科の教科調査官を統括していたのが,山極先生である。文部省指導行政の全国トップにいた。
大学教授になった今も,「中教審委員」や「テーマ別分科会の座長」などをいくつも兼任している。つまり,現在も文部省のOBとして,文科省の重要会議の中心にいるのだ。
最近,中教審の会議では,群馬大鈴木学長をはじめ,東学大鷲山学長,明石千葉大教育学部長など,TOSSの活動を高く評価する先生が発言されている。
TOSSの本も読まないで反対する教師が,まだいるが,流れは大きく変わっている。
実は,法則化運動が誕生した20年ほど前も,統括責任者だった熱海先生は,TOSSの支持者だった。
鹿児島大学の学会で,「君が向山君か。実は文部省で局議を開いて,法則化運動を検討しけっこうなことだとなったのだ」「ただし,文部省が1つの研究団体を支持するわけにはいかないから,今までずっと黙っていたんだ」と言われた。
分かる人には,やはり分かっていたのだ。
さて,山極先生の講演内容はTOSSMLで正木恵子先生が発信されている。
ぜひ,全国各地で活用してほしい。
1つの場所で起こった事実を,全国で活用していくことこそ大切なのである。
(2)
2月号の私の論文審査の文について,多くの方から手紙をいただいた。東京の中島先生の文を紹介する。
■2月号の論文審査の向山先生の授業メモには,衝撃を受けました。先生の授業と比較して,自分の論文が逐一指導で楽しくない授業であることが際立ってきます。
特に,最後の展開「これを,本当に,正確に出す方法があります。10年内の宿題にします」は,全く考え付かない投げかけです。『先生方,分かりますか?』と向山先生からの問いかけをうけて,考えてみました。
「ヒント。『面積を重さ』に変換するのです」この言葉を分析すると,面積は2次元なので,重さには直接変換できない。面積を体積に置き換え,重さに変換する必要がある。
面積→体積→重さ
小学生にできる方法として考える。
@ 粘土を使い,面積図に合わせて高さ1pの粘土模型を作る。
A 粘土模型の重さを量る。
B 1cm3の粘土の重さを量る。
C 粘土の重さ÷1cm3の粘土の重さ=1cm3いくつ分
D 1cm3いくつ分=面積図の面積
勉強不足で,的外れなことを書いているかもしれません。ですが,このような問題に挑戦することで,勉強する機会を得る事ができます。ありがとうございます。
(向山)木の葉などの不整形の面積を出す方法については,私は「10年以内の宿題にする」と書いた。
多くの先生が,悩まれたようだ。
先日の江戸川文化センターの向山型算数セミナーでは,正解が出された。
近年,向山型セミナーは,どこもキャンセル待ちの超満員だ。この日も,特別に椅子を後ろの壁際に20脚以上入れて,ホールは二百数十名のギッシリ状態だった。
そこで,不整形の面積を出す方法が示されたのである。
不整形の形をトレーシングペーパーなどに写す。
それを,ボール紙,薄い金属板などに写して切り抜く。
そして,ボール紙,薄い金属板などを,正方形などの単位あたりの重さが求められる形に切り抜く。
両方の比で出せば,求められる。
この問題は,実は20年ほど昔,NHKクイズ面白ゼミナールの出題会議で出したことがある。
NHKの人々も,「それは面白い」ということになった。
ところが,テレビでは「絵」で見せなくてはならない。「不整形を切り取る」ところを見せなくてはならない。
当時出てきた発泡スチロールを,熱くなったニクロム線で切ってみたのだが,うまくいかなかった。
1年ほど努力したが,担当者が異動してそのままになってしまった。
幻のNHKクイズ面白ゼミナール問題である。
(3)
向山型算数セミナーの様子を伝えるアンケートを紹介する。埼玉の横崎邦子先生。
■「やる気のない中で教えると,“いやだ”というネットワークができてしまう」という向山先生のお話にドキッとしました。時に,「何がなんでも覚えさせなくては……」と思ってしまうことがあるのですが,楽しい授業ができるように,その中で,子どものやる気を引き出せるように,算数に限らず,どの教科の授業でも頑張らなくてはと思いました。
算数の「習熟度別」学習についても,何かしっくりこない部分があって,迷いながらやったり,やらなかったりしてきましたが,一斉授業こそ大切だという向山先生の考えを伺うことができて良かったです。
研究発表では,研究には「学」と「術」の両方が必要であり,自分には「学」の部分がほとんどない……だから,これという指針が持てないのだと思いました。
向山型算数は,向山先生が,認知心理学……様々なことをよく知った上での実践の中から生まれたものだから,どの子にも優しいのだなあと思いました。川原さんの研究のすすめ方を参考にしたいと思います。
D表,C表検定,ADHDの子をどうさばくかということで,とても参考になりました。
どの参加者も,「最前線」の「ものすごい情報量」に驚いていた。
私が,初めて話したことも結構あった。
それとともに,「ほんの小さな子どもの事実」にこそ,「宝がある」実例に,びっくりしていた。「読み方の順序を,1か所入れ換えるだけでこんなに違うのか」というわけである。
そして,「ライブでないと分からない」というのは,「絶対に真実だ」と,初参加者の多くの人が書いていた。
向山の話から元気をもらったという人も多かった。
まだ学生で,まもなく教師になる人も参加していた。北は北海道オホーツクの町から,南は沖縄,絶海の島,北大東島まで,参加者は全国におよんだ。人と出会うのもえがたい勉強である。明治維新の志士が全国を訪ねて人に会ったのもそのためである。
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- 明治図書