自閉症教育の実践研究 2006年11月号
3号 高機能自閉症・アスペルガー症候群へのサポート

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自閉症教育の実践研究 2006年11月号3号 高機能自閉症・アスペルガー症候群へのサポート

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ジャンル:
特別支援教育
刊行:
2006年9月20日
対象:
小・中
仕様:
B5判 64頁
状態:
絶版
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目次

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特集 高機能自閉症・アスペルガー症候群へのサポート
特集について
上岡 一世
提言・高機能自閉症やアスペルガー症候群の教育を考える
指導者に求められる心構え
花熊 曉
幼児期
基本的対応法・支援法
子どもに寄り添う発達支援〜子と親が楽しめる毎日にするために〜
藤井 茂樹
実践事例
始まりと終わりを意識できる一つの遊びを通して見えてくるもの
佐伯 初恵
小学校期
基本的対応法・支援法
子どものニーズを理解し、予測した支援を
森田 安徳
実践事例
社会性・対人関係に課題のあるAさんの行動の理解と対応について
森崎 順子
コミュニケーションに課題のある児童の支援
川尻 弘美
中学校期
基本的対応法・支援法
情報処理の不器用さをカバーする
渡部 徹
実践事例
高機能自閉症の女児への支援〜中学校と通級指導教室の連携〜
山口 正剛
不登校への支援〜筆談を用いて〜
海野 歩未
高等学校期
基本的対応法・支援法
自分を知り、自信が持てる学びの場を
牧野 正人
実践事例
やっぱり、「安心感」が基本
兼田 朋子
知的障害養護学校における高機能自閉症生徒の就労支援
矢野 道子
成人期
基本的対応法・支援法
「3つの課題」への対応と支援法
関水 実
実践事例
長期のひきこもり生活をしていた青年への支援
関水 実
自閉傾向のある成人男性の就労支援
新開 和彦
子どもの作品
矢吹 伊津子
構造化のアイデア (第2回)
楽しみな予定、見て分かりやすい日にちの推移を伝える工夫
有家 由佳子
〜いろいろなカレンダーの紹介〜
自閉症の子どもに効果的な教材・教具
自分で考え活動できる見通しやすい「ものつくり」学習の工夫
中山 哲
自閉症の子どもに効果的な授業の工夫
体育「リレーをしよう」の取り組みから
原田 稔
学校と家庭の効果的な連携の実際
一つひとつ終わっていくこと〜おしまいボックスの活用〜
濱澤 和之天野 ちさと
こんな余暇の利用の仕方がある
「ぼくは、なかなか忙しい」
小島 秀子
こんなパソコンの利用の仕方がある
パソコン教材開発指針
山本 孝宏
こうすれば不適切行動は改善できる
問題行動の原因を客観的データをもとに探る
山ア 仁寛
実践研究
自閉症児が主体的に取り組める「遊びの指導」
山内 望
何でも教育相談室
自閉症の子どもに対する教師や親の教育、指導の悩みに応えます
須田 正信
わが校の自閉症教育
自閉症教育のスタートライン
川人 健司
本の紹介
『軽度発達障害のある子のライフサイクルに合わせた理解と対応』(田中康雄著)
上岡 一世
生きる力を身につける指導・支援 (第3回)
直接的な指導の実際
渡部 匡隆
高機能自閉症の子どもへの対応法 (第3回)
時間を意識する
吉松 靖文
自閉症の子どもたちとのコミュニケーション改善法 (第3回)
非音声コミュニケーション獲得に向けたアプローチ
肥後 祥治
企業で働く人たち (第3回)
自立します!
皆川 睦子
自閉症の子どもを育てて (第3回)
親子で就職した今
金原 利江
就労を実現する自閉症教育 (第3回)
認知能力の向上
上岡 一世
編集後記

特集について

高機能自閉症・アスペルガー症候群へのサポート


自閉症は,知的に最重度な子どもから天才といわれる子どもまで,すべての知能段階に存在します。これが,他の障害と違う自閉症の特徴です。従来は,知的障害を伴う自閉症は80%,伴わない自閉症は20%だといわれていました。しかし,最近の調査では,知的障害を伴わない自閉症,すなわち高機能自閉症やアスペルガー症候群が意外に多いことが示されています。少なくても200人から250人に一人はいると推定され,この数字でいきますと通常の学校の1学年に一人ぐらいはいることになります。筆者が学校現場をまわってみると,実際はもっと多いのではないかと感じています。

高機能自閉症やアスペルガー症候群の子どもに対して,教育現場では,どれだけ適切な教育が行われているのでしょうか。実際は,指導者がまだまだ彼らの障害を正しく理解できていないこともあってか,まさに手探りの状態で,日々,支援法や対応法に苦慮しているのが実態のようです。指導者からは,「行動上多くの問題があり,たびたび授業が中断される」「人間関係でよくトラブルを起こし,そのたびに注意するが,決して自分の非を認めない」「学校と家庭で行動にかなり違いがみられ,保護者との関係がなかなか築けない」「勉強はできるが社会性が育っていないために,仲間から受け入れられず孤立してしまう傾向にある」「周りの子どもたちだけでなく,教師や保護者にも彼らのハンディキャップが理解されがたく,誤解されていることが多い」など,さまざまな悩みが聞かれます。指導者ばかりではありません。最近では,保護者からも,「年齢が上がるにつれて対応が難しくなり,苦慮している。どうすればよいか分からない」といった相談も増えています。

高機能自閉症やアスペルガー症候群の支援法,対応法は,基本的には知的障害を伴わない自閉症とほぼ同一と考えてよいと思います。しかし,彼らが知的障害を伴う自閉症と違って,知的に高く,達者なことばを持っていることもあってか,指導者はどうしても自閉症の障害よりも,知的面やことばの面に目を向けた取り組みを行う傾向にあるようです。このことが障害をより複雑化し,対応に困難をきたしていると考えられます。

では,彼らに対してどういう取り組みを行えばよいのでしょうか。

本号では,教育現場で,高機能自閉症やアスペルガー症候群の子どもに対して,実践的,研究的に取り組み,成果を上げている先生方にお願いして,幼児期から成人期までの各年代における支援,対応の基本と指導の実際について紹介をしていただきました。学校や家庭での取り組みに役立ててほしいと思います。

(上岡一世)

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