- 特集 “子どもの笑顔”は家庭と学校の責任
- 親の愛情に満たされないとき、教師のはげましがないとき、子どもは非行化していく。
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- 校長先生が見た子どもの笑顔
- こんな賞状もらったよ―校長室へ報告に―
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- 「笑顔」と「うなずき」を送り続ける
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- 「早寝早起き朝御飯」に由来する笑顔
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- 保健室の先生が見た子どもの笑顔
- 保健室で見る笑顔アラカルト
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- たくさんの笑顔を楽しみにしながら
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- 忘れられないあの笑顔
- 算数
- 「向山型算数」を始めてよかった。
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- 「一年生以来です!」そう言って喜んだ小学六年生のA男
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- 向山型算数で授業をすると、子どもも教師も笑顔になれる
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- あかねこ計算スキルの成功体験が自信と最高の笑顔を生んだ!
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- 国語
- 数々の笑顔が浮かんできます。どれだけ授業で手応えがあったかが問われます。
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- 「口に二画」で教室中に笑顔が広がった
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- 体育
- ふるえる感動!教師も子どもも感動した!―とび箱ができた喜び
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- 「25メートル泳いだあと、すっげーうれしかった」
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- みんなで笑ったあの瞬間
- よく笑ったあのクラス
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- 「全員達成」をはたしたクラスは、子どもたちの笑顔で満ちあふれていた
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- ADHDのお子さんが百人一首で大活躍した瞬間
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- 運動会・音楽会(行事)あの時の子どもたちの笑顔
- 彼女の笑顔は私の宝物
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- 「協力して創り上げる喜び」に輝いた笑顔
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- 一生懸命の先に見えて来るものがある
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- 子どもの笑顔に救われた教師
- 子どもはたくましく成長し、笑顔を見せてくれます。
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- 百点パーティに燃える子どもたち
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- 遊びの中の子どもの笑顔
- 遊びの中で、ルールや対人関係を学ぶ
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- 友達と一緒に遊ぶから笑顔がはじける
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- どんな時に子どもは笑うか
- 無邪気な笑いと叱らなければならない笑い
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- 笑うから楽しいのだ!
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- 褒めて褒めて、時には背中を押してやる。
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- ミニ特集 よくさせる子どもの手伝い
- 親は手伝わせていると思っている。子どもは手伝いはしていないと思っている。
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- 『きらら with SAE』に見る子どもの手伝い
- 「ありがとう」がお手伝い大好きにするポイント
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- よくさせる子どもの手伝い
- 食事の準備と洗濯物たたみをさせています。
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- 食器の片付けと洗濯物たたみ
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- まずはやらせてみることが大切
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- 今月の名言・格言・ことわざ (第4回)
- 鉄は熱いうちに打て
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- 向山編集長が語る「今月の名言・格言・ことわざ」 (第4回)
- 鉄は熱いうちに打て
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- 〜学ぶには最適時期がある〜
- 編集前記
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- 大阪/会場からわれんばかりの拍手!年長のMちゃんが跳べた!!
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- 全国各地にTOSS式子ども地域教室を!
- 良いことは、良いと認めてくれる保護者・地域の皆様
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- 幼児/今、この瞬間を楽しむ
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- 集団宿泊教室で子どもを成長させる教師の決断
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- 神谷先生・辻野先生の漢字文化教室
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“子どもの笑顔”は家庭と学校の責任
親の愛情に満たされないとき、教師のはげましがないとき、子どもは非行化していく。
向山洋一
本誌編集長/日本教育技術学会会長/千葉大学非常勤講師
無料の世界最大の教育情報サイト、インターネットランド主宰
TOSS(会員1万名の教師の研究団体)代表
子どもの笑顔はすてきだ。
心の底から、生命が躍動するような表情をつくる。
何かに挑戦して、それが上手にいったとき、ちょっとしたことに、先生や親がほめてくれたとき、子どもはにっこりする。
笑顔が多い子は、学校でも安定している。
大切に育てられた子は、着実に、ぐんぐんと成長していく。
あまりほめられなかった子は、学校でもどこか淋しげだ。
友だちに乱暴を働く子もいる。
小さい時、親から「ビンタ」などの体罰をうけてきた子の多くは、学校に入学して暴力をふるう。
小学校一、二年生の頃は、ボスとして君臨するが、三年生もすぎる頃は友だちから相手にされなくなる。
子どもを「ビンタ」で育ててはならない。
一生のうちに一度か二度、「生命にかかわる」ような大事なことで「ビンタ」をするようなときはあるかもしれないが、日常的にくり返してはならない。
子どもは、心の深いところで傷つくのだ。
私は、子どもをたたいたことは一度もない。
本誌副編集長の師尾先生も同じだという。
親からたたかれたこともないという。
子どもは「悪いこと」を時にはする。
しかし、教えてやれば、直っていくものなのだ。
私は、かつて、ある非行少女の施設を訪れたことがある。それを、学校だよりに書いた。そこには「親子のふれあい」のたいせつさ、「ほめること、認めること」のたいせつさが書かれている。一つの参考に紹介する。
女子非行(大塚小学校だより)
みぞれの降る一月一六日、愛光女子学園を訪問した。
非行女子少女のための施設である。
大田区生活指導主任会としての団体訪問であった。
田園調布駅前から貸し切りバスにのって、狛江にある学園に向かった。雨からみぞれにかわり、家々はうっすらと白く化粧していた。
学園にはおよそ七〇名の少女が入っており、四〇名の教職員が指導にあたっていた。
関東の各地区の家庭裁判所から送られてきた中学生、高校生ぐらいの少女たちである。
短期(六ヵ月)と長期(二年以内)の課程に分かれていた。
会議室に通されて、品のいい年輩の女性に説明をうかがった。次長ということであったから、学校でいえば教頭にあたる職らしい。
約一時間にわたって、女子非行の特徴、対策などについてうかがったのであるが、以下はその要約である。
女子非行の特徴は、三点あるとのことであった。
第一は窃盗が多いということである。割合でいうと九割を占めるとのことであった。
窃盗といっても、中身は万引きであり、それも洋服、化粧品などの「おしゃれ用品」がほとんどだという。
男子非行が自転車、現金などの盗みが中心であることを考えれば、女子非行の特徴もうかがえる。
小学校低学年で覚えた万引きが長い間発見されず、常習化してしまっているケースが多いとのことである。
第二は、粗暴化の傾向が見られるということである。
しかし、男子が「メンツを傷つけられた」というような自己主張があるのに対し、女子の暴力はうらみ、ねたみにもとづくもので、それだけ陰湿になるとのことであった。
大ぜいの仲間で相手をいじめるリンチのような形がほとんどだという。
第三は、覚醒剤を使用する子が急増しており、それらの子は暴力団と結びついているということであった。
これも、自分から始めるというより、相手に誘われて深みに入っていく傾向があるとのことであった。
さて、どんな女の子が非行に陥っていくのであろうか。
それは「学校でも、家庭でも受け入れてもらえない子」「親の愛情が満たされていない子」が非行化していくとのことであった。
今まで受け入れられなかった子が、中学一年を境に「派手な服装などをして認められたい」という行動に入っていくということである。
また「小学生のとき、ずっといじめられていた」「先生に訴えても、解決してくれなかった」ことが要因となって、「やられているより、やるほうにまわる」となっていくとのことであった。
学園の次長は、「小学校の先生方にくれぐれもお願いしたい。いじめなどを発見し、なくされるよう、そして何か一つのことでもいいから子どもが先生に認められたと思えるようご努力をしていただきたい」と訴えられていた。
女子非行の一つの大きな原因が、小学校の教育の中にもあるということを聞かされて、私たちは心を新たにしたのである。
「親と教師の愛情」の大きさについて、考えさせられた一日であった。園の子どもたちが一日も早く社会、学校へ復帰できるよう願って園をあとにした。
親の愛情、教師のはげましが、どれだけ大切か分る。
笑顔にあふれるとき、子どもは、すくすくと育つのである。
ところが、親は「ほめているつもり」なのだが、子どもは、そうはうけとっていないのだ。
子どもと親に、次のように質問した。
「お宅のお子さんをよくほめるほうですか」
「家で両親からよくほめられますか」
そして、通知表の評価にならって、「5・4・2・1」の四つの中から選んでもらった。
親のほうは、4(ほめるほうだ)がいちばん多く、次に、5(うんとほめる)が多く出た。
子どものほうは、2(ほとんどほめられない)がいちばん多く、次に、1(ほめられたことがない)が多く出た。
ほんとうの親子である。数字が同じでいいはずである。しかし、明確にちがっているのである(もっと言うと、女の子の場合は、ちがいはなかった。男の子のほうが、親子のちがいが極端に出た)。
つまり、親は「子どものことをほめている」と思っている。
一方、ほめられているはずの子どもは、「親からほとんどほめられていない」と思っているわけである。
これは、どう考えたらいいのだろうか。
親のほうが正しいのだろうか。
子どものほうが正しいのだろうか。
私は、たぶん大人の目から見たら「親の言うほうが正しい」と思っている。親はそれなりに子どもをほめていると思うのである。
しかし「正しい」からいいのではない。親はそれなりにほめているにもかかわらず、子どもは、ほめられていないと思っているところにポイントがある。
これは、たぶん次のようなことなのである。
プールで7メートルを初めて泳げた子が飛ぶように帰ってきたとする。その子どもの声を聞いた時、親はどう言うのだろうか。
わぁ、すごい。よくやったわねぇ。
このようにほめると思う。しかし、たぶん次のような言葉がつづくのではないだろうか。
今度は二五メートルめざしてがんばりなさい。
どの家庭でもやることだろう。
この時、子どもは「ほめられた」と感じるのではなく、「がんばれと言われた」と受けとると思うのである。
ここらへんのタイミングを、親はじょうずに演出する必要がある。
ほめる時はケチらないで、思いっきりほめてやることがたいせつなのである。
昔から、「三つ叱って七つほめろ」と言うことわざがあるが、どうもこれが逆になっているようだ。つまり「七つ叱って三つほめる」ことになっているのである。
もっと、ほめることだ。
もちろん、むやみにほめていいということではない。ほめるタイミングがある。タイミングをはずすと、ウソっぽくなる。
子どもが何らかの努力をした時、あるいは何らかの進歩が見られた時、そして、人間としてのすばらしい行為をした時、……こんな時はすぐに思いっきりほめてあげたいものである。ケチらないことだ。
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- 明治図書