- まえがき
- T 授業中のトラブル解決の基本スキル パート1
- 一 ADHDの子が指示を出してもすぐに動こうとしません。
- 二 「はいっ、はいっ、ぼくをあてて」と言いながら、挙手する子がいます。
- 三 授業中に立ち歩く子がいます。
- 四 中学生でIQ程度の知的障害の子が、授業についていけなくなっています。
- 五 アスペルガー症候群の子が、教師を挑発するような言動をとります。
- 六 特別支援学級(知的障害)の子どもが、四五分間の授業中に集中が途切れます。
- 七 手が不自由な子にも、五色百人一首などのカルタを体験させたいです。
- U 授業中のトラブル解決の基本スキル パート2
- 一 すぐに姿勢が崩れる子がいます。
- 二 国語や社会で意見を求めてもあまり出ず、沈黙が続きます。
- 三 特定の女の子と手をつなぎたがる子がいます。
- 四 授業中に暴言を吐く子がいて、教室の雰囲気が暗くなります。
- 五 席替えの後、特別支援を要する子がかたまり、授業が進めにくくなっています。
- 六 ダウン症の女の子が頑固で指示を聞きません。
- 七 音楽で楽器を持たせると、すぐに吹いたり、鳴らしたりする子がいます。
- V 休み時間のトラブル解決の基本スキル パート1
- 一 アスペルガー症候群の子が、友だちにちょっかいを出します。
- 二 ADHDの子が、前日の家での悪事を、うれしそうに話しかけてきます。
- 三 広汎性発達障害の子どもが、一つのことにこだわり、自分の世界に入っています。
- 四 休み時間に友だちの鉛筆を勝手に使う子がいます。
- 五 友だちを作らずに教師にべったりの子がいます。
- 六 子どもが突然けがをしてしまいました。
- 七 休み時間、机の上を走る子がいて、周りの子も便乗しています。
- W 休み時間のトラブル解決の基本スキル パート2
- 一 校内の乗用車やトラックにさわりたがる子がいます。
- 二 トイレの使い方が下手で、指導してもなかなか改善されません。
- 三 知的障害の子が当番活動に取り組もうとしません。
- 四 休み時間、友だちの話し声に、「うるさい」「だまれ」と言う子がいます。
- 五 場面緘黙の子が休み時間にひとりぼっちでいます。
- 六 自閉症の子が、パニック状態になることがあります。
- 七 教室移動の際にうるさすぎると、他の学年の先生から注意されました。
- X 給食時間のトラブル解決の基本スキル
- 一 おかわりをめぐって、いつも言い争いが起きます。
- 二 偏食の激しい自閉症の子どもがいます。
- 三 自分の学級だけ残菜が多いと注意を受けました。
- 四 マスクやエプロンの忘れ物が多いです。
- 五 体育や図工が四時間目の時、給食の準備が遅れます。
- 六 片づけ後、食器が残っている場合があります。
- 七 自閉症の子が食器を放り投げることがあります。
- Y 掃除時間のトラブル解決の基本スキル
- 一 ADHDの子が、ほうきを振り回して遊んでいます。
- 二 一生懸命掃除をしている子が、そうでない子に不満を持つようになりました。
- 三 知的障害の子が掃除をしようとしません。
- 四 掃除をさぼる中学生がいます。
- 五 ほうきをとりあってけんかになります。
- 六 どうして掃除をしないといけないのかと言う子がいます。
- 七 荒れた高校生への掃除指導で悩みます。
- Z 放課後のトラブル解決の基本スキル
- 一 下校の途中に、友だちにいじわるをしたり、寄り道をしたりする子がいます。
- 二 知的障害の子が、家庭でテレビやゲームだけをして過ごしています。
- 三 家庭から、「家に帰ってきても机に向かおうとしなくて困る」と言われました。
- 四 万引きをした子がいます。
- 五 事務処理に時間がかかって、授業の準備がなかなかできません。
- 六 放課後、あっという間に時間がたち、気がつけば退庁時刻になっています。
- 七 夜、子どもや授業のことが気になって、すっきりと寝られません。
- 八 初めて特別支援を要する子を担任することになりました。春休みの準備ポイントがわかりません。
- [ 保護者とのトラブル解決の基本スキル
- 一 医療機関への受診を渋る保護者がいます。
- 二 四月、最初の授業参観で保護者から信頼されたいです。
- 三 保護者とのささいなトラブルで落ちこんでいます。
- 四 個人懇談や電話、連絡帳で、たくさんの要望を伝えてくる保護者がいます。
- 五 ADHDの子にコンサータが処方されました。
- 六 保護者との個人懇談でどのような話をしたら良いかわかりません。
- 七 保護者会がうまくいきません。
- 八 保護者から、虐待を受けている子がいます。
- あとがき
まえがき
教室には、特別支援を要する子が、必ずいる。
私のクラスには、いないという人は、明らかに勉強不足である。
専門家の中には、クラスの一割がそうだと見解を出している人もいる。
私達は、現場の教師である。私も二〇年以上教師を続けてきた。
発達障害の診断が下りていようがいまいが関係なく毎日授業を行わなければならない。
うまく行くこともあれば、失敗することもある。
私は、教師になってから向山洋一氏について学んできた。多くのことを教えてもらった。
向山氏の実践を追試し、良いと思う実践を多くしてきた。
その向山型の実践は、発達障害の子ども達にも有効だったのだ。だから二〇数年間も安定した学級経営ができていると思っている。
授業の一つ一つ、子どもに対する愛おしさを学んだからだ。
特別支援の子ども達に有効な手段として、次の授業の原則七か条を示した。
第一条 一時に一事の原則
第二条 奨励の原則
第三条 認知・消化の原則
第四条 抜く原則
第五条 目力の原則
第六条 全員の原則
第七条 発見の原則
である。たとえば、五色百人一首をするとする。最初の一時間目が勝負だ。
ADHDの丈ちゃんを担任していた時だ。丈ちゃんは勝負にこだわり、乱暴をする。百人一首でも負ければパニックになることが想定された。しかし、百人一首は、行う。その時、丈ちゃんの机の上の札を読んだ。最初だからいい。周りの子も百人一首が初めてで力の差が無い時に机の上の札を読んでもらえる。だから、勝てる。もちろん負けることも大切だ。それは、百人一首が軌道に乗ってからで十分である。
本人は、百人一首が得意だと思っている。それでいい(こういった具体的な例は拙著『甲本卓司提言集 ADHDの子に効果のある授業の原則七か条』に詳しい)。
本書は、TOSS岡山サークルMAKの大恵氏が中心となってまとめてもらった。大恵氏は、特別支援学級の担任をしている。そういった観点から論じてもらった。教室の実践にも役立つと思う。
多くの先生に本書を手にとっていただけたらと思う。
平成二一年一月二三日 TOSS岡山サークルMAK 代表 /甲本 卓司
休み時間、
給食、
そうじなど、
学校生活の中での
いろいろな場面でおこるトラブルに対しての、解決方法が
具体的に書かれております。
難しい理論でなく、明日の教室ですぐに使うことができる
ことばかりです。
QA形式であるので、すぐに必要な項目を探すこともでき、
大変便利です。
特別支援を要する子の担任として、ぜひ手元においておき
たい一冊です。