- はじめに
- 第1章 特別支援教育とは
- 1 「障害のある子どもの教育」の変化
- (1)一人ひとりの子どもの教育的ニーズに応える教育
- (2)特別支援教育の理念
- 2 特別支援教育の現状と課題
- (1)特別支援教育体制整備の現状
- (2)現状分析と課題
- (3)課題解決に向けて
- 第2章 学校でよく見られる問題と背景
- 1 行動上の問題と背景
- (1)指示が通らない背景要因と問題解決
- (2)トラブルが多い,反抗的な態度をとる等の背景要因と問題解決
- 2 学習上の問題と背景
- (1)作文が書けない背景要因と問題解決
- (2)黒板が写せない,本読みがたどたどしい等の背景要因と問題解決
- 3 対人関係上の問題と背景
- 4 身体機能上の問題と背景
- 第3章 学校でできるアセスメント
- 1 アセスメントとは
- 2 インフォーマルなアセスメント(気づき)とは
- 3 子どもの行動を具体的に見る
- (1)子どもの顔を読む
- (2)子どもの姿勢を読む
- (3)子どもの作品を読む
- 4 教室で見られるソフトサイン
- (1)ソフトサインとは
- (2)感覚統合とは
- (3)教室等でできる臨床観察
- 第4章 実態把握のための体制づくり
- 1 校内委員会と巡回相談
- (1)校内委員会の意義と目的
- (2)校内委員会メンバーの役割
- (3)校内委員会の役割と機能
- (4)巡回相談とは
- 2 学級経営における配慮
- 3 学校体制,学級経営の中で変わっていったB君
- (1)1年生のときの実態
- (2)現状(担任より)
- (3)巡回相談観察の結果
- (4)本児の特性
- (5)巡回相談での指導助言
- (6)本児の変化
- 第5章 問題解決に向けての指導方策
- 1 算数の指導
- (1)行動上の問題と解決策
- (2)A君(1年生男子)の算数指導の方策
- (3)算数科指導案の例
- (4)算数の指導を通しての指導方針と助言
- 2 国語(ことば)の指導
- (1)低学年でつけたいことばの力
- (2)ことばあそびたのしいね
- (3)国語ニュースの発行と読み聞かせのすすめ
- (4)国語の時間以外を使ったことばの指導
- 第6章 具体的事例への対応法
- ―こんなときどうするの?―
- 1 教科・領域別の指導
- (1)日常生活編
- (2)図工編
- (3)運動会編
- 2 つまずき別の事例
- (1)聞くことにつまずきのある子
- (2)計算が苦手な子
- (3)図形を描くことが苦手な子
- (4)教室を出て行ってしまう子
- (5)勝ち負けにこだわってしまう子
- おわりに
はじめに
「『特別』ではない特別支援教育」とは――
平成19年度から全国で特別支援教育が本格的に実施されました。2年が経過し,現在の現場の状態を見ると,まだ特別支援教育を「特別な子どものため」に「特別な場所」でという考え方で進めているところも多く見られます。この考え方でいくといつまでたっても従来の障害児教育となんら変わらなくなってします。自分は直接かかわりたくない,自分には関係ない,この子がいなかったら学級はうまくいく,といった旧来の考えを依然もっている教師も少なくありません。特別支援教育の本来の狙いには,特別な配慮のできる専門性をもった教員を育てることが目的の一つにあります。これが実現できると,すべての教員がすべての子どもたちに配慮ができる授業づくり,学級経営ができます。そのためには,子どもの実態をどう捉えるかがとても重要な位置を占めます。子どもの実態がわかることで,適切な援助ができ,授業の進行や学級経営もスムーズになります。そうするとおもしろくない,わかってもらえないという子どもたちの二次的なストレスや歪みを防ぐことができると考えます。これらを実現していくためには,研修のあり方や実態把握の方策を体系づけていかなければなりません。
このような問題を解決していくために「アセスメント」「不器用」「自立活動」「保育」というキーワードをもとに考えていきます。
本編では子どもの学校でできる実態把握の具体的な方策を紹介するとともに,もっと身近に特別支援教育を感じ,「『特別』ではない特別支援教育」を日々の実践の中で生かしてほしいと考えます。
2009年6月 /中尾 繁樹
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- 明治図書