- はじめに
- 第1章 まぐれ当たりからねらい通りになる! 熱中授業の型
- 1 国語の教材研究に悩む先生へ
- 〜「まぐれ当たりの熱中授業」から「ねらい通りの熱中授業」へ〜
- 教材研究で苦しんでいた初任の頃
- 教材研究により、「まぐれ当たり」が……
- ねらった通りに熱中授業が生まれるようになった頃
- 2 熱中授業には「型」がある!
- 子どもが熱中する授業をつくる意義
- 熱中する授業を生む「原則」さがし
- 密度が濃い授業とは?
- 思考の拡散と収束
- 「動」と「静」の活動を組み合わせたら……
- 動と静とは?
- 第2章 そのまま追試できる! 「大造じいさんとガン」の熱中授業
- 「大造じいさんとガン」全体像
- 事前指導
- 「読んできたかなクイズ」
- この指示の二つのポイント
- 「確認の原則」と「事前指導と評価」
- 「読んできたかなクイズ」成功のポイント
- 「読んできたかなクイズ」の進め方
- 先生が回収して採点するのはNG
- 余白に感想を書かせて音読に対する姿勢を自覚させる
- 第1時
- まずは一斉指導型の配置で
- 授業の前に「子どもになったつもり」でシミュレーションを!
- 教材研究の方法
- 教材研究をする意味
- でも、無理しないのが一番!
- 物語の全体像をつかませる発問から
- 机間指導で子どもの状況をチェック
- 空白禁止の原則
- 四つの展開パターン
- A 「全体発表」の場合
- D 「自由に立ち歩いて個々に交流」の場合
- B 「ペアで交流」の場合
- C 「グループで交流」の場合
- 発言するときの基本 結論から述べる!
- 思考の拡散と収束
- 静と動のバランス
- グループ交流の二つの目的
- 全体発表と板書
- 意見の分布調べ
- 「話合い」を目指すが「発表合戦」に終始してしまうのはなぜ?
- 思考が収束していく発問により「発表合戦」から「話合い」へ
- 本文(叙述)に即した発表の仕方
- 絞ったあとは「〜だから〜は正しい」という肯定意見の発表で進める
- 全員を授業に巻き込む技術
- 時間順に説明 発表例
- 集中して授業に臨むようになる問いかけ
- 視覚優位の子に対して板書で支援
- 「聴かせる!」発表の仕方
- 巻き込み型発言 五つの型
- 声は相手の胸めがけて「べたー」と貼り付ける!
- 残雪に対する大造じいさんの気持ちの変化を読み取る
- 発問の言葉をよくよく吟味する→曖昧な発問は子どもを混乱させる
- ヒントの出し方
- ペアトークで静から動の切り替え→答え合わせへ
- 全体像の提示で見通しをもたせる
- 第2時
- 課題を再確認
- 授業中に音読する?しない?
- すべての子どもに配慮
- 場面の流れを確認=テンポよく質問
- 辞書を使うことを当たり前に
- 「教える」場面と「考えさせる」場面のバランス
- 第一場面の展開の確認 続き
- 授業の緩急、静と動のバランス
- 解説 発問の二つの型
- 各意見には記号を振る
- 挙手させるかどうかの見極め
- 考えの足掛かりとしての活動例
- 「うまく」に着目させる
- 大造じいさんの残雪に対する印象が「バカにする存在」→「感嘆する存在」に切り替わったのはどの文とどの文の間か?
- Aパターン:ダイナミックな展開
- Bパターン:安定した展開
- なぜこの発問と活動に熱中するのか
- 本文の拡大コピー掲示による確認
- 思考の拡散状態
- 立ち歩いて自由に交流する
- 一人ひとりにアウトプットの機会を保障
- 授業展開を変えた理由
- 意見交流をやめる合図を決めておく
- 指示を全員に確実に伝える二つの理由
- まとめと宿題
- 授業時間が足りなかった場合
- 第3時
- ノートの回収とチェック時の声かけ
- ノートチェックの二つの目的
- 全体発表の場合の座席
- おかしいと思う意見をつぶしながら意見を絞り込んでいく
- 発言の形式
- 「いったい、どうしたというのでしょう。」以前
- 「大造じいさんは、思わず感嘆の声をもらしてしまいました。」のあと
- 「気をつけて見ると、つりばりの糸が……」のあと
- 「ううむ。」のあと
- A「ガンは、昨日の失敗にこりて……」のあと
- B「これも、あの残雪が、仲間を……」のあと
- 微細な違いを説明できる力
- 挙手しながら状況を確認→指名なし発言で話合い
- 補助発問
- 筆者の解はA
- 教師は発問に対する解をあらかじめもっておく=教材研究で「座標軸」づくり
- 第4時
- 時間の配分
- 全員が挙手せざるを得ない状況をつくる
- 意図的に動の活動を入れる
- 手が挙がらないときの対応法
- 「五俵」から大造じいさんの本気度を理解させる
- 第4時 主発問
- 物語文指導の役割
- 「書けな〜い」という子への指導
- 子どもの考えの引き出し方
- 対比で書く方法@頭括型
- 対比で書く方法A双括型
- 双括型の書き方 指導ポイント
- 双括型の書き方は教材研究時の参考に
- 全員がアウトプットして動の活動を
- 抽象化の思考法
- 全体発表で思考の活性化
- 第5時
- クライマックスの展開方法
- あえて無言で板書し集中状態をつくる
- 二種類の授業展開
- 定番の授業展開
- NGな流れ
- 反対意見の発表
- 自分の考えを書かせる指導法 双括型の論理展開
- 量から質へ
- 話合いが得意になるワザ
- 考えを深めるための書き方
- 討論で膠着状態になったときの二つの対処法
- 補助発問による思考の活性化
- 第三場面における補助発問の例
- クライマックスの一文はどれか?
- クライマックスに関する筆者の考え
- グループトーク短冊型の授業展開
- 意見を書いてから、自由に意見交換し、最後に全体発表する方法
- 「書き方」の指導と「書く内容」の指導は分けて行う
- 意見交流でアウトプットとインプット
- 意見の発表
- 子どもによる書記
- 短冊方式
- 短冊方式開発までの道のり
- 短冊方式の具体的手順
- 短冊方式での授業の実際
- 短冊方式の魅力
- 短冊方式 取り組み後の子どもの感想
- 後日談
- 物語文指導でおすすめのワザ
- 指名なし討論の基本的な指導法
- 対立意見はメモする
- 話合いのときの先生のふるまい、反応の仕方
- 先生の顔を見て発表する子への指導
- 発表する順番
- 意見の付けたし方
- 発表がかみ合うようになる意見の振り方
- 話合いを深めるための教師の介入
- 議論が深まる反論の仕方
- 話題が脱線したときにもとに戻す方法
- 意見が硬直状態になったら「作戦会議」
- 「作戦会議」をしても硬直したときは
- 発表技能を高める(秘)指導
- 「大造じいさんとガン」技の索引
- 〈注〉本書の引用箇所に関しては、平成27年度版光村図書5年を使用しています。
はじめに
本書は以下のような先生方に向けて書きました。
□物語文の授業づくりに悩んでいる。
□そもそも、物語文をどう教材研究したらいいのかわからない。
□一方通行の授業(ついつい先生が話し過ぎてしまう)になってしまう。
□知的な盛り上がりに欠ける単調な授業になってしまう。
□アクティブラーニング(風)の授業に興味がある。
□自分の物語文指導に新たな授業技術を追加し、スキルアップを図りたい。
□『大造じいさんとガン』が大好き。
これらの項目のうち、三つ以上当てはまる先生方にはきっとお役に立てるはずです。
授業をとおして考えを深めるとはどういうことなのか。子ども同士が意見を紡いで授業をつくり上げていくにはどのような手立てが必要なのか。子どもも先生も物語文の授業が好きになる実践はどのようにすれば可能になるのか。これらの疑問を常に考え続けながら日本で教師生活を八年間送ってきました。本書はその自問自答の成果をまとめたものです。
最後に、日本の教育界の発展と向上に努められてきた諸先生方の実践、著作に心からの敬意と感謝を伝えたいと思います。過去の実践の集積がなければ、私の実践は存在していません。
現在、パラグアイで教育活動する中で、日本の教育のすばらしさを日々再認識しているところです。
物語文の授業づくりに困っている先生、反対に楽しんでいる先生、その両方の先生に対して、地球の反対側からエールを送る意味も込めて本書を記しました。
二〇一九年九月 パラグアイの首都アスンシオンの大きな青空を眺めながら /西野 宏明
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- 明治図書
- よかったです。2022/4/830代・小学校教員