- プロローグ…私の夢 学校と町づくり /赤堀 隆
- 第T章 いま,なぜ総合学習「町づくり」なのか
- 1 現代っ子の町への愛着は
- (1) 「町づくり」の時代
- (2) 城下町を意識させる意味
- (3) 「町」を意識させる学習
- 2 「できる」を感じる子どもたちに──問題発見力から提案実践力まで
- (1) イラストで見る西尾小「町学習」
- (2) 「できる」を感じる総合的学習スキル群
- 3 「町」総合学習のカリキュラムづくり
- 第U章 総合学習「町づくり大作戦」の背景
- 1 いま,「町づくり」への子どもの参加が新しい
- 2 中心商店街の空洞化と学校の衰退
- (1) 現状
- (2) 学校の老舗
- (3) 西尾小学校を取り巻く地域
- 3 市民が抱く町おこしと学校への期待
- 第V章 総合学習「町づくり大作戦」の実践
- 1 低学年の実践
- ・1年 「あきがいっぱい」
- 1 子どもたちへ
- 2 育てたいこと
- 3 実践
- 4 成果
- ・2年 「西尾の民話づくり」
- 1 子どもたちへ
- 2 育てたいこと
- 3 実践
- 4 成果
- 2 中学年の実践
- ・3年 「ぼくら,西尾の町博士」
- 1 子どもたちへ
- 2 育てたいこと
- 3 実践
- 4 成果
- ・4年 「ぼくら城下町の水調査隊」
- 1 子どもたちへ
- 2 育てたいこと
- 3 実践
- 4 成果
- 3 高学年の実践
- ・5年 「発見! はとみその秘密」
- 1 子どもたちへ
- 2 育てたいこと
- 3 実践
- 4 成果
- ・6年 「蔵開け探検隊」
- 1 子どもたちへ
- 2 育てたいこと
- 3 実践
- 4 成果
- 4 特殊学級の実践
- ・スマイル学級「町となかよし」
- 1 子どもたちへ
- 2 育てたいこと
- 3 実践
- 4 成果
- 第W章 「町づくり大作戦」の成果
- ・人が動いた,町が変わった
- 1 町の自慢,カメラで撮ったよ!
- 親子城下町のステキ発見写真撮影会
- 2 城下町子ども観光ガイド結成!
- (1) 子どもガイドの発足
- (2) ガイドになるための研修
- (3) デビューとガイドの継続
- 3 アイデアの紡ぎ合い・楽しい蔵の再利用ワークショップ
- (1) 「町」学習セミナーの展開
- (2) 大岡屋さんの酒蔵
- (3) 楽しいワークショップの始まり,始まり
- 第X章 「町づくり大作戦」のプランニング
- ・学校おこし町おこしの条件整備
- 1 学習環境の整備──図書館ボランティア
- (1) 図書館ボランティアさん大募集
- (2) ボランティアさん自慢─西尾小の図書館ボランティアさんってすごいんだよ
- (3) ボランティアさんとともに
- 2 人材が財産──町の先生人材づくり
- (1) 町の人材は,眠っている──町の先生リスト
- (2) 大成功!──町の人材・パソコン教え隊
- (3) 京町づくり人”は地域のみなさん
- 3 多様なグループワーク指導技術の習得
- (1) 知的に楽しく情報整理KJ法
- (2) 板書が変わるファシリテーショングラフィック
- (3) みんなが主役ポスターセッション
- エピローグ ──総合の時代,地域の再生に学校はどう役割を果たせるか /寺本 潔
- 付録:西尾小学校 2002年度用 町学習年間計画案
プロローグ
私の夢 学校と町づくり
西尾小学校は,6万石の城下町西尾の中心部に位置する学校である。
西尾は,かつては三河三都として栄え,また徳川家直系の大給松平氏が藩主を勤め,幕府の要職につき,参勤交代も免除されていた。こうした近世からのにぎわいは,近代になっても引き継がれ,昭和40年代にいたるまで町の中心部は商店や娯楽施設が建ち並び活況を呈していた。
しかし,ここ15〜20年前より,郊外に大型店舗ができたり,自動車社会への対応が遅れたりして,中心市街地の空洞化と共に地域の活力が失われつつある。
このような状況の中で,地域を活かしたふるさと学習を進めたら,子どもたちはふるさと西尾にどんなイメージを持つだろうか。果たしてふるさと学習のめあてである愛着とか共感をもつかいささか心配である。
また,町の人たちが夢のある西尾,夢のある都市として語ってくれるかどうかも問題である。
子どもたちが,自分の住む町に愛着や誇りを持つことは教育的に大変重要なことでもあり,将来良き市民になるための必要条件でもある。
幸いにも,本校の周囲には,古い町並み・歴史のかおり漂う寺社・レトロな洋館の館・蔵を持つ商家などの宝が残っている。また,多くの偉人もいた。町人の大名行列や獅子舞い等々の文化も引き継がれている。
本校は,このようなお宝を活かした町おこし,町づくりにつながる総合的な学習の推進に3年前から取り組んでいる。
町づくりを視点に置いた総合的学習を進めるには,二つのアクションが必要である。
一つは,いうまでもなく「町学習」を進めるための総合的な学習のカリキュラムの作成である。
もう一つは,家庭を含めた地域連携である。
総合的学習は,教室を離れ地域へ出かける時間が多くなる。また,地域の人たちとの交流も多くなる。しかし親や地域の人たちの町に対する認識が浅ければ,学習効果は半減するばかりか,時には弊害になることもありうる。
そこで,地域の人たちに町づくりや本校の教育を理解していただくためのアクションをいくつかおこすことにより,地域連携を図った。
・教師,保護者,商店主,行政の有志による芋町学習セミナー鰯というフォーラムの開催(年6回)
・全児童と保護者の参加による「親子で歩こう町のステキ発見」というイベントの開催(年1回)
・授業やクラブへの「町の先生」の活用(人材バンクの整備)
・学校図書館へのボランティア司書の導入
これらのアクションは,JC(青年会議所),商工会議所,町の発展会などが関心を示しはじめるなど次第に輪を広げつつある。
子どもは「地域の宝」であり,「小さな町づくり人」でもある。また,「子どもが動けば,町がかわり,まちが動く」と信じ,今後も研究を深めていきたいと思っている。
末尾になりましたが,本校の研究に本腰を入れてご助言をいただいた愛知教育大学の寺本 潔先生,町づくりに携わる関係の皆さん,そして本書の編集にお力添えをくださった明治図書の樋口雅子さんに心より感謝を申し上げます。
平成11年11月 西尾市立西尾小学校長 /赤堀 隆
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- 明治図書