- はじめに
- 第1章 本書の活用法
- 第2章 上原式手サインとは
- 第3章 上原式手サイン @机上バージョン
- 1 清音
- 2 濁音
- 3 半濁音
- 4 促音
- 5 長音
- 6 拗音
- 7 拗音のバリエーション
- 8 混合
- 第4章 上原式手サイン Aムーブメントバージョン
- 1 清音
- 2 濁音
- 3 半濁音
- 4 促音
- 5 長音
- 6 拗音
- 7 拗音のバリエーション
- 8 混合
- 第5章 上原式手サイン活用の授業事例
- ○ 授業事例の活用表
- [授業事例1] 絵カードを見て手サインをしよう(清音)
- [授業事例2] 絵カードを見て手サインをしよう(促音)
- [授業事例3] 上原式手サインで間違い直し
- [授業事例4] 一文字カードで50音をおぼえよう
- [授業事例5] 一文字カードで言葉を作ろう@
- [授業事例6] 絵カードを見て書こう
- [授業事例7] 手サインであてっこクイズ
- [授業事例8] 濁音・半濁音をつけて変身させよう
- [授業事例9] 一文字カード(小)で言葉作りゲーム
- [授業事例10] 「あ」のつくもの言ってみようよ
- [授業事例11] とんでとんで50音
- [授業事例12] てんてんのつくのはどっち?
- [授業事例13] 一文字カードで言葉を作ろうA
- [授業事例14] 絵カードムーブメント
- [授業事例15] あつまれ50音
- 第6章 上原式手サイン資料集
- 1 イラスト
- @単語編/ A変身編
- 2 絵カード
- @清音/ A濁音/ B半濁音/ C促音/ D長音/ E拗音/ F混合/ G変身
- 3 一文字カード
- 4 学習プリント
- @かいてみよう
- Aへんしんさせよう
- Bただしいのはどっち
- おわりに
- 付属CD-ROM
はじめに
「子どもがわからないのは,わかるように教えていないからだ。」子どもがわかるように教える手だてをさがしていくことは,私の永遠の課題です。子どもが「わかった!」と思えた瞬間のなんともいえない笑顔が私は好きです。
今から5年ほど前の話です。「ケーキ」と書くところを「ケキ」としてしまうなど長音を抜かしがちな子どもの指導をしていた時のことです。何度指導しても定着せず,つい力が入り,「ケキじゃなくて,ケーキ(両手をパチン・両手を広げる・両手をパチン)って伸ばすの。」と動作を入れて話しました。その時,彼の顔がパッと変わりました。「ああ〜。」と納得の顔。そして「ケーキ」と私の動作をまねて,両手をパチン・両手を広げる・両手をパチンとしたかと思うとノートに「ケーキ」と正しく書いたのです。今度はその行動に私がびっくりする番でした。「すごーい!」と子どもとともに大喜びしました。
これが上原式手サインが生まれるきっかけになりました。「ケーキ」や「きって」などのように発音しない文字(長音・促音)を抜かさないで書くことは難しいです。音節分解のように一文字ずつ手を叩き,長音や促音に手サインをつけてみたら意識できるかもしれない。そう思い,手サインを決めて取り組んでみました。長音や促音だけでなく,濁音や半濁音にも効果がありました。目で見てわかる手サインがあることで子どもたちは理解し,納得できたようです。
「動作をつけることはゲーム的でおもしろい。」担任していた子どもが,掃除ロッカーの前で手を叩いているので「何をしているのかな?」と思ったら「そうじロッカー」「ほうき」「ちりとり」と書いてある文字を見ながら上原式手サインをしているのです。発音が苦手だった彼も手サインをすることで,一音ずつはっきり話そうとしていました。「やりなさい」と言わなくても自分で手サインをつけて読んでいました。その姿を見た時に,「子どもってすごい!」と思いました。
本書は,この上原式手サインのやり方と実践例を掲載するとともに,すぐにプリントや学習カードとして使えるようにイラストや学習プリント,絵カードなども載せています。そして,付録CD-ROMにはデータを収録しています。
子どもたちから学ぶこと,教わったことがたくさんあります。結果は子どもたちが出してくれます。今まで関わってきた子どもたちから生まれてきた1つの実践をこうして一冊の本として紹介できることをうれしく思います。みなさんが関わっていらっしゃる子どもたちの指導にもご活用いただければ幸いです。
2010年1月 /上原 淑枝
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- 明治図書