- はじめに
- T 質の高い教育を目指す教育計画をつくることができるか
- §1 新しい学校づくり
- ―学校リニューアル―
- §2 教育課程の編成から指導計画の作成へ
- ―統一性と一貫性のある教育の指導計画作成―
- 1 学習指導要領から教育課程へ
- 2 教育課程編成の全体構想の作成
- 3 教育課程編成の全体構想から全体計画,指導計画の作成へ
- U 質の高い教育を実現する授業力を身に付けているか
- §1 指導計画から授業へ
- ―問われる授業力―
- §2 基礎的・基本的な授業力
- ―日々の授業を充実させる授業力―
- §3 各教科等固有の授業力
- ―各教科等の指導を充実させる授業力―
- §4 組織的・総合的な授業力
- ―教育課程完全実施に必要な授業力―
- §5 マネジメント的な授業力
- ―PDCAサイクルでの授業力更新を目指して―
- 1 授業の構想・計画
- 2 授業の実践・指導
- 3 授業の評価・改善
- V 授業力をどのように更新するか
- §1 各教科等及び学年相互間の関連,系統的,発展的な指導
- 1 本指導事項の新教育課程及び教育活動における意義は何か
- 2 本指導事項に関する授業力のルーブリック評価
- 3 授業力更新の方策
- 4 授業力更新のマネジメント(*上記1〜4の各項目は§11まで同じ構成になります)
- §2 2学年まとめた目標や内容の効果的・段階的な指導
- §3 各学年の指導内容のまとめ方や重点の置き方の工夫と効果的な指導
- §4 合科的・関連的な指導
- §5 基礎的・基本的な知識・技能の活用を図る学習活動の指導
- §6 言語活動を充実する指導
- 【資料】学習指導要領における各教科等の「言語活動」の扱い
- §7 体験的な学習や活用による問題解決的な学習の指導
- §8 子どもの興味・関心を生かし,自主的,自発的な学習を促す指導
- §9 学習の見通しや振り返りの指導
- §10 学習課題や活動の選択,将来について考える機会の指導
- §11 学習内容を確実に身に付けさせる個に応じた指導
- §11―1 個別指導を充実させることができるか
- 1 「個別指導」の授業力のルーブリック評価
- 2 授業力更新の方策
- 3 授業力更新のマネジメント
- §11―2 グループ別指導を充実することができるか
- 1 「グループ別指導」の授業力のルーブリック評価
- 2 授業力更新の方策
- 3 授業力更新のマネジメント
- §11―3 繰り返し指導を充実することができるか
- 1 「繰り返し指導」の授業力のルーブリック評価
- 2 授業力更新の方策
- 3 授業力更新のマネジメント
- §11―4 学習内容の習熟の程度に応じた指導を充実することができるか
- 1 「学習内容の習熟の程度に応じた指導」の授業力のルーブリック評価
- 2 授業力更新の方策
- 3 授業力更新のマネジメント
- §11―5 子どもの興味・関心に応じた課題学習の指導を充実することができるか
- 1 「子どもの興味・関心に応じた課題学習の指導」の授業力のルーブリック評価
- 2 授業力更新の方策
- 3 授業力更新のマネジメント
- §11―6 補充的な学習や発展的な学習の指導を充実することができるか
- 1 「補充的な学習や発展的な学習の指導」の授業力のルーブリック評価
- 2 授業力更新の方策
- 3 授業力更新のマネジメント
- §11―7 教師間の協力的な指導を充実することができるか
- 1 「教師間の協力的な指導」の授業力のルーブリック評価
- 2 授業力更新の方策
- 3 授業力更新のマネジメント
- §12 よい点や進歩の状況を積極的に評価し,学習意欲の向上に生かす指導
- 1 本指導事項の新教育課程及び教育活動における意義は何か
- 2 本指導事項に関する授業力のルーブリック評価
- 3 授業力更新の方策
- 4 授業力更新のマネジメント(*§12より1〜4の各項目は§19まで同じ構成になります)
- §13 障害のある子どもの計画的・組織的な指導
- §14 海外から帰国した子どもの適応及び生活経験を生かした指導
- §15 情報手段に慣れ親しみ,基本的な操作や情報モラルを身に付け適切に活用できるようにする指導
- §16 教材・教具の適切な活用を図る指導
- §17 学校図書館の計画的な利用・活用と学習活動や読書活動の指導
- §18 信頼関係,人間関係,子ども理解と生徒指導
- §19 家庭や地域社会との連携及び学校相互の連携や交流等の指導
- W 自己研修で授業力をどのように更新するか
- §1 キャリアプランの作成と授業力更新
- §2 学期ごとの授業改善計画と授業力更新
- 1 自己の授業のよさ・強みの認識と課題の自覚
- 2 各学期ごとの重点と取組み方
- 3 自己評価と次学期・次年度の授業力更新
- §3 日常的な授業力の振り返りと授業力更新
- §4 学校外での研修の機会と授業力更新
- X 学校組織として授業力をどのように更新するか
- §1 授業力更新の学校の方針と全体計画の作成
- 1 学校経営方針と授業力更新
- 2 授業力更新の学校の全体計画作成
- §2 校内研究を生かした授業力更新
- 1 全体計画に基づく授業力更新の重点化
- 2 年間計画に基づく組織的な取組み
- §3 管理職の授業観察と指導・助言による授業力更新
- 1 授業観察の位置づけ
- 2 授業観察と指導・助言の計画的な進め方
- §4 教師間の互助・援助による授業力更新
- おわりに
はじめに――新教育課程完全実施の授業力更新を目指して――
子ども一人ひとりに「確かな学力,豊かな心,健やかな体」すなわち「生きる力」をはぐくむ学校の教育の理念が継続され,質の高い教育の実現が求められている。そのための新教育課程完全実施の授業力が問われている。
各学校がこうした時代の求めや要請に確実に答えられるよう,今回の改訂に関する以下の図書を提供してきた。(いずれも明治図書より)
『平成20年版小学校学習指導要領全文と改訂のピンポイント解説』(2008)
『小学校新学習指導要領の展開 総則編』(2008)
『改訂学習指導要領準拠小学校新教育課程編成の手引』(2008)
『新教育課程対応小学校全体計画の作成と運用の手引』(2009)
各学校では,これらを参考にして改訂された学習指導要領に基づく新教育課程を編成するとともに,それを具体化した年間や単元の指導計画を作成していることであろう。平成23年度からの新教育課程の全面実施はこれらの教育課程の編成や指導計画の作成によって可能となる。
しかし,新教育課程を完全実施するためには超えなくてはならない課題がある。それは,新教育課程や指導計画を実践できる授業力が更新されているかということである。新教育課程・指導計画を授業で実践し目的・目標・ねらいを授業で実現してこそ完全と言えよう。すなわち,これらの計画を完全実施するには,それを可能とする授業力の更新が欠かせないのである。
本書は,こうした考え方から新学習指導要領に基づく教育課程・指導計画の完全実施に必要な授業力更新の内容や方法を明らかにしたものである。
「第T章 質の高い教育を目指す教育計画をつくることができるか」では,質の高い教育を実現するための教育課程編成や指導計画作成の在り方や進め方について明らかにしている。質の高い教育,授業力更新の前提である。
「第U章 質の高い教育を実現する授業力を身に付けているか」では,授業力を「@基礎的・基本的な授業力」「A各教科等固有の授業力」「B組織的・総合的な授業力」「Cマネジメント的な授業力」の4つの側面からとらえている。特に,Bについて自己の授業力を評価し,新教育課程を完全実施できる授業を十分に行える力量をどの程度保持しているかを明らかにする。
「第V章 授業力をどのように更新するか」では,新学習指導要領総則の「指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項」の各項目を視点にして,授業力の更新とは,どのようなレベルに変容することなのか,それらをどのように更新していくのかを具体的に示してみた。授業力更新の取組みを確実に実践し成果を上げるようにすることがねらいである。
「第W章 自己研修て授業力をどのように更新するか」では,新教育課程を完全実施するための授業力更新の個人としての取組み方を取り上げた。
「第X章 学校組織として授業力をどのように更新するか」では,学校組織としての授業力更新の取組み方を取り上げた。
以上,お読みいただくと,新教育課程の完全実施に必要な授業力の33の内容や方法が明らかになるとともに,自らの状況を評価し把握することができよう。また,その結果から,今後,どのような視点から授業力を更新していけばよいか。どのように更新していけばよいかのヒントを得ることができよう。
各先生方におかれては,子ども一人ひとりに確かな学力・豊かな心・健やかな体をバランスよく身に付けさせる質の高い授業の実施・実現に創意工夫され努力されていよう。本書がその一助になれば幸甚である。
終わりに,明治図書の安藤征宏氏には本書の刊行に当たり多大なご支援をいただいた。ここに記して感謝申し上げる。
2010年4月 /寺崎 千秋
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- 明治図書