『魔法の伴奏で保育力アップ 「表現」がみるみる広がる！保育ソング９０』の詳細情報

　歌で「子どもの感性と表現力」を育てるために，子どもに歌を伝えるときも，歌やピアノ伴奏で豊かに表現したいものです。しかし保育の現場では歌がうまく歌えない，ピアノに自信がないという先生がたくさんおられます。そのことによって音楽的な活動が制限される場合も見受けられます。一方，演奏することには自信があっても，歌を保育でどのように用いていくか，アイディアが乏しいという先生もおられます。つまり子どもの感性と表現力を育てるには，音楽的な表現の技術と，歌を保育の中で使いこなすアイディアの両方が求められます。

　そこで長年保育者養成に携わってきた私たちは，現場で多く歌われている歌を選び出し，使う人のピアノのレベルに応じて演奏でき，同時に保育のいろいろな表現活動に活かすことができるようなテキストをつくりたいと考えました。現場ではピアノが苦手……という先生が多く，保育者養成校でもピアノ初心者の学生さんが多いことから，全体の３分の２の曲をバイエル程度に編曲しました。初心者が弾ける伴奏の定番パターンというと，右手が歌の旋律，左手がドミソ，ドファラ，シレソのいわゆる主要三和音ですが，それだけではなく，子どもとともに，伴奏を弾く人の音楽の世界をも広げてもらえるよう，親しみのある旋律を使いながらも，さまざまな性格の曲に変化させました。歌う際の声の出し方についてもコラムのページで詳しく解説しています。

　そして，すべての曲に，保育の表現活動へのアイディアやヒントを載せました。各季節と，いろいろな歌から選んだ計21曲については，ピアノのレベルを問わず，明日の保育に実践していただけるよう，簡単な伴奏に編曲し，イラストを交えながら詳しく保育の展開方法を紹介しました。たくさんの保育実践集が出版されている中で，歌と造形活動をコラボしたあそびを多く提案している点は，本書の大きな特徴となっています。楽しいあそびのアイディアの中にも，子どもの発達の視点を感じ取っていかれるならば，さらに発想が広がり，使用される方なりの応用・展開も可能となるでしょう。

　本書を，幼稚園や保育所の指導計画を立てられるときや，保育者養成課程の音楽実技や保育内容「表現」の授業の中で使っていただき，どんどん歌と保育実践のレパートリーを広げていってください！

　　2012年３月　　　編著者・編曲者一同