- まえがき
- 第1章 「自立につながる力」を育てる個別の教育支援計画の策定,個別の指導計画の作成・活用システムの全体像
- 1 「自立につながる力」とは
- 2 「自立につながる力」を育てるために
- 3 個別の教育支援計画の策定,個別の指導計画の作成・活用システムの充実
- 個別の教育支援計画のシステムへの導入
- 発展目標から「目指す姿」へ
- 個別の移行支援計画を個別の教育支援計画の最終版に
- 4 個別の教育支援計画の策定,個別の指導計画の作成・活用システムと,運用時のポイント
- 作成システム
- 活用システム
- 作成・活用システムの運用時のポイント
- 第2章 一人一人に応じた最適な支援を授業で行うための目標設定と評価の方法
- 1 適切な目標を設定する
- 指導の目標
- 目標の設定条件を考える
- 目標設定の実際
- 2 適切な評価をする
- 評価のとらえ
- 短期目標を評価する
- 長期目標を評価する
- 第3章 小学部「日常生活の指導」「ことば・かず」の目標設定と評価方法
- 1 小学部の教育
- 2 小学部「日常生活の指導」の目標の設定条件と評価方法
- 「日常生活の指導」における目標の設定条件と評価方法の考え方
- 実践事例:A子さん(1年生)の「着替え」の実践から
- 実践を通しての考察
- 3 小学部「ことば・かず」の目標の設定条件と評価方法
- 「ことば・かず」における目標の設定条件と評価方法の考え方
- 実践事例:B男さん(2年生)の目標設定と評価 〜例示題材「だれが何をしていますか?」〜
- 実践を通しての考察
- 第4章 中学部「生活単元学習」「総合的な学習の時間」の目標設定と評価方法
- 1 中学部の教育
- 2 中学部「生活単元学習」の目標の設定条件と評価方法
- 「生活単元学習」における目標の設定条件と評価方法の考え方
- 実践事例:C男さん(2年生)の目標設定と評価 〜例示単元「みんなのベストメニュー」〜
- 実践を通しての考察
- [*コラム] 生活単元学習の魅力と成功の鍵
- 3 中学部「総合的な学習の時間」の目標の設定条件と評価方法
- 「総合的な学習の時間」における目標の設定条件と評価方法の考え方
- 実践事例:D子さん(1年生)の目標設定と評価 〜例示単元「選んだグループで友達と楽しもうT」〜
- 実践を通しての考察
- 第5章 高等部「作業学習」「体育」の目標設定と評価方法
- 1 高等部の教育
- 2 高等部「作業学習」の目標の設定条件と評価方法
- 「作業学習」における目標の設定条件と評価方法の考え方
- 実践事例:E子さん(2年生)の目標設定と評価 〜陶芸班(ろくろグループ)での実践〜
- 実践を通しての考察
- 3 高等部「体育」の目標の設定条件と評価方法
- 「体育」における目標の設定条件と評価方法の考え方
- 実践事例:F男さん(2年生)の目標設定と評価 〜例示題材「バスケットボールT」〜
- 実践を通しての考察
- 第6章 軽度発達障害部の実践
- 1 特別支援教室における指導の考え方
- 三者(保護者,在籍校の学級担任,当教室担当者)の連携を大切にする
- 特別支援教室の指導方法及び指導領域とスキル
- 1単位時間の活動
- 2 SST(ソーシャルスキルトレーニング)の実際
- 特別支援教室における指導の目標の設定条件と評価方法
- 実践事例:G男さん(小学2年生)への支援の実際 〜ゲーム・クイズや音楽遊びの活動で〜
- 実践を通しての考察
- [*コラム] 軽度発達障害と特別支援教育の考え方
- 第7章 移行・連携システムと実践事例
- 1 移行・連携システム
- 移行システム
- 連携システム
- 2 移行・連携の効果的な実践事例
- 実践事例1(小学部)〜言語教室と連携して各々の支援方法の共通理解を図った例〜
- 実践事例2(中学部)〜迅速に必要な支援者を決め,他校から入学した生徒の情緒の安定を図った例〜
- 実践事例3(高等部)〜本人と保護者のニーズから,支援体制を築き,それを社会生活へと引き継いだ例〜
- [*コラム] 『個別の教育支援計画』の活用とその可能性
- 資料編
- T 自立につながる力の内容表
- U 自立につながる力の内容と指導の形態との対応表
- V 「個別の教育支援計画」様式
- W 「個別の指導計画」様式
- 参考文献
- あとがき
- 執筆者紹介
まえがき
21世紀の目指すべき社会は,共生社会であるといわれます。自立した個人が,互いの人格を尊重し合い対等な関係でつながり合う社会です。本校では,自立の重要性にかんがみ,「自立につながる力」の育成を目指して,平成7年度から今日まで12年間にわたり研究に取り組んできました。平成7年度からの研究「豊かな学校生活づくり」では,自立観を確立し,自立につながる力の内容を明確にしながら教育課程の見直しを図りました。平成11年度からの研究「最適な支援の在り方」では,個別の指導計画に基づいて,児童生徒一人一人の支援を構想・展開する中で,最適な支援の条件を明確にしました。
そして,先の7年間にわたる研究は,平成14年度からの研究「自立につながる力を育てる個別の指導計画の作成・活用システムの充実を目指して〜一人一人に応じた指導の目標,評価の在り方に焦点を当てて〜」に引き継がれ,今日に至っています。
今年度,本研究が5年目の最終年次を迎えるに当たり,研究の成果を広め,特別支援教育の発展にいささかなりとも寄与したいと考え,本書を発刊することとしました。
本書は,前研究までに確立した自立観に基づき,自立につながる力の八つの観点とその内容等を継承しながら,次のことを明らかにしました。
○目標を設定する際の個別の教育支援計画・個別の指導計画のかかわり
○目標の達成状況を評価するための評価方法,及び評価規準・判断の基準
○個別の教育支援計画の策定,個別の指導計画の作成と活用のシステム
本書に収められた実践事例からは,長期目標・短期目標の導き方,評価規準・判断の基準の設定方法,評価票の作り方などを,個別の教育支援計画の策定・活用事例からは,連携ネットワークの構築や移行支援の実際を知ることができます。
また,本校で開設した特別支援教室(情緒障害通級指導教室)におけるLD,ADHD,高機能自閉症等の児童生徒の教育研究も掲載してあります。そこでは,保護者,在籍校担任等,当教室担当者の三者連携について,当教室のソーシャルスキルトレーニングを中心とした指導について知ることができます。
読者の皆様には,本書の内容をご理解いただき,日々の指導・支援や移行・連携に役立てていただければ幸いです。また,忌憚のないご意見をお聞かせ願いたいと思います。
2006年10月
新潟大学教育人間科学部附属養護学校 校長 /滝澤 かほる
具体的数値をかかげた診断基準。
役に立つ。