- はじめに /野中 信行
- プロローグ
- Step1 初めて教壇に立つあなたへ! まず2Wを意識せよ
- 1 2Wとは
- 2 「時間を守る」とは
- 3 「何をすべきかを明確にせよ」とは
- Step2 担任になるための意識を高める まずはここから
- 1 担任とは
- 2 自らがリーダーという意識を持て
- 3 たった1つのことが流れを変える
- Step3 勤務開始前の2W 準備の前に意識を変える
- 1 健康管理について
- 2 社会人としての基本
- 3 入門書を読む
- 4 勤務校からもらった資料
- 5 メモの道具
- Step4 勤務開始前日の2W 準備・段取りの最終確認
- 1 自己紹介を考える
- 2 服装,表情などをチェックする
- →コラム とっておきのツール…マンダラート
- →初任者のためのNG集
- 3 時計を合わせておく
- →NG1 服装
- →コラム 「縦糸・横糸」という考え方をツールとして持て!
- Step5 出会いの日の2W 2Wで一日をまわせ
- 1 安心と統率と
- 2 10分刻み3本勝負
- 3 明日の予定を
- →NG2 教室から離れる
- Step6 3日目までの2W 学級の基盤づくりはここから
- 1 健康観察とその意味
- 2 叱る時に大切にしたいこと3つ
- →NG3 子どもとの安易な約束
- 3 日課の指導 特に朝の会,帰りの会
- →NG4 休み時間に授業をする
- →NG5 友達感覚でおしゃべり
- 4 プリント配付と取り方の指導
- 5 ノートの使い方
- 6 教科書・教材の配付と記名の指導
- 7 集合・整列
- 8 ロッカー・下駄箱・傘立ての指導
- 9 子どもたちの自己紹介
- →NG6 プライベートなことを話す
- Step7 7日目までの2W 学級に緊張感を維持する
- 1 日直指導
- →NG7 先生が座って授業する
- 2 給食指導
- 3 清掃指導
- 4 早い時期にこんな話を
- 5 朝自習の指導
- →NG8 死角をつくる
- 6 朝会の指導
- →NG9 ほめ言葉「えらいね」
- 7 休み時間の指導
- →NG10 電話をこっそりかける
- →NG11 他の先生の悪口
- →NG12 先輩・同僚に相談できない
- 8 筆箱・道具袋の指導
- 9 忘れ物の指導
- →NG13 学級通信を勝手に発行する
- →NG14 言うことを聞かないから
- →NG15 提出期限までに出せない
- 10 勉強の約束指導
- →NG16 学校で教えずにやたら宿題にする
- →NG17 スペシャルシートに座らせる
- →NG18 がんばり表を貼る
- Step8 30日目までの2W 授業を軌道に乗せる
- 1 目標は「落ち着いた学習態度」をつくること
- 2 軌道に乗せるための戦略
- →NG19 感情的に怒る
- →NG20 先生は木陰から
- 3 教材研究を勘違いするな
- →NG21 身の回りを整頓できない
- →コラム 2Wから 5Wへ
- →NG22 遠足に大きなバッグ
- Step9 その後はこうする
- 1 チェックし続ける
- 2 1か月を見通す 〜1週間の積み重ねで〜
- 3 ベテラン教師は3か月先を見通す
- 4 急がば回れ
- Step10 生涯をちょっぴり見通す
- 1 必ず終わりがある 〜だから先を見通しておく〜
- 2 1年1枚の積み重ね 〜学級経営案〜
- 3 ビジョンを持ち未来予想図を描け 〜やりたいことを大切に〜
- 4 人生をデザインするヒント
- エピローグ
はじめに
「初任者のクラスでは,7,8割が荒れると言われていますが知っていましたか?」と問いかけてみた。
東京のある区での4月4日の初任者講座である。130名の初任者の先生が詰めかけていた。
知っていたと挙手をした先生は,3,4人。
あとの先生たち全部は,知らなかったと挙手。
これにはいささか驚いてしまった。豊富な情報がある中で,こんな事実を知らされていないというのはどういうことであろうか。
こんな事実を知らないで教師になり,担任を受け持って,どのように子供たちに対処していくのだろうか。
「情熱があれば…」「やる気さえあれば…」何とかなるのではないかとひょっとしたら思っているのではないか。
さまざまな思いが駆け巡る。
もちろん,初任の先生たちの責任ではありえない。先生たちは,一途な思いを持って,学校現場へ赴任している。私は,退職後3年間の初任者指導をしてきているので,その思いがよく分かる。
今初任者が学校現場へ来て,最初につまずくのは「学級づくり」や「学級経営」の課題になる。
たとえば,はじめの教室はどのように設計しておけばいいか,子供たちの席はどのように作っておくのか,すぐに始まる給食の指導,清掃の指導はどうするか…などは,始業式前に準備しておかなくてはならない。学校が始まって準備するのでは手遅れになる。
これらはベテランの先生たちのクラスと同じように進めていかなくてはならないものである。初任者のクラスだからといって,遅くてもいいと許されるものではない。
ところが,初任の先生はこのような基本的な「学級づくり」の手立てをどこからも学んできていないので,もたもたする。隣の先生のところへしょっちゅう聞きに行く。そこで,一歩遅れる。その遅れが積み重なると,クラスが荒れる状態へと向かっていくのである。
私たちは,この状況を何とかしなければいけないと身構えてきた。
荒れる初任者のクラスをなくさなければいけないという強い思いで,明治図書より「新卒教師時代を生き抜くシリーズ」を刊行してきた。今まで,多くの読者からの支援をいただいた。
今回,このシリーズの続編として,本書が出版される。著者は,秦安彦先生。私の研究会仲間であり,同志でもある一人である。
本書は,現場で長いこと初任者指導を続けてきた秦先生にしか書けなかった一書。全てが「具体的」に書かれている。どのような心構えを持ち,どのように指導していくかが「具体的」に書かれている。
この画期的な本書は,これからの初任者指導のあり方さえも変えていく一書になっていくものだと,私は考えている。
この企画を推し進めてもらった明治図書の編集者木山麻衣子さんに感謝する。的確なアドバイスで,本書が成立した。ありがとうございました。
本書が現場で苦しんでいる若手教師や,これから学校現場に赴任していく初任者の先生たちを救っていく本になってくれることを切に願っている。
2012年1月 編者 /野中 信行
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- 明治図書
- 学校にいる初任者に伝えるだけでなく、自分にも参考になりました。2019/11/2940代・小学校管理職