- はじめに
- 第1章 国語授業を成功に導く! おさえておきたい基礎・基本
- 1 国語授業者として大切にしたい指導技術
- 1.国語授業づくりの問題点
- 2.授業づくりの「指導技術」とは?
- @「用語」「方法」「原理・原則」を教える
- A子どもに問いの意識を持たせる
- 2 国語授業の方向は? ―論理的に思考する「考える」授業づくりを目指して―
- 1.論理的に「考える」ために
- 2.「三段階の読み」の目的
- 3.「考える」ための手立て
- @三段階の読みの方向
- A「間接的な発問」の工夫
- Bどんな力を付けるのか
- 4.「三段階の読み」の指導過程
- 3 知っておきたい&使える便利なワザ
- 1.無理のない日記を書く活動
- 2.カードをいつもそばに
- 3.学習した漢字を使えるようにするために
- 第2章 場面別・つまずき事例でよく分かる! 指導の要点&技術
- 授業づくりの基礎にかかわる事例
- 授業全体
- 1 授業に参加できない子どもがいる
- 2 導入がワンパターンで新鮮さがない
- 3 いい範読の仕方が分からない
- 4 個々の差が大きいとき,一斉指導ではそれぞれへのフォローができない
- 5 ほめ言葉のかけ方が難しい
- 6 そもそも言語活動がよく分からない,活動あって学びなしになってしまう
- 7 子どもの発言が想定外で授業が思うように進まない
- 8 子どもが飽きて騒いでしまう
- 9 どんな力が付いたのか,振り返りができない
- 10 「できた」という実感がなく,達成感がない
- 11 授業時間内に終わらず,「あとは宿題!」となってしまうことがある
- 発問
- 12 子どもに指示がうまく伝わらない
- 13 「主人公の気持ちを考えよう」ばかりになってしまう
- 14 発問を黒板に書いた方がいいのか迷う
- 板書
- 15 書いているうちに黒板が足りなくなり,消すに消せず困ってしまう
- 16 子ども参加の板書のさせ方が分からない
- 17 気づいたら,板書が短冊だらけ……
- ノート
- 18 どうしても字がきれいに書けない子どもがいる
- 19 視写のさせ方・視写を取り入れるタイミングが分からない
- 20 視写のスピードがバラバラで上手に取り入れられない
- 21 「ノートを見ても何を勉強しているのか分からない」と保護者に言われてしまった
- 22 ワークシートをメインに使っているが……
- 23 写すだけのノートから自学ノートへのレベルアップ方法は
- 話すこと・聞くことにかかわる事例
- 24 音読の声が小さくて,スラスラ読めない
- 25 発言の声が小さい
- 26 発言が長くて,何を言っているのか分からない
- 27 発言のルールがうまく機能しない
- 28 他の子どもの発言を聞いていない
- 29 人数が多すぎて,話し合いに参加しない子が出た
- 30 スピーチの指導がマンネリ化してしまう
- 31 話し合いで意見が出ず,話し合いにならない
- 32 単発の発言ばかりで,つながりのない話し合いになってしまう
- 33 グループの話し合いが全体での学びにつながらない
- 書くことにかかわる事例
- 34 作文に苦手意識を持っていて,なかなか書こうとしない
- 35 段落が一つもない作文や日記になってしまう
- 36 感想文と記録文がごちゃごちゃになっている
- 37 読書感想文,何をどのように書けばいいのかが分からない
- 読むことにかかわる事例
- 物語文
- 38 物語の授業で作品の頭から読解をしていたら,子どもが飽きた……
- 39 解釈が分かれたまま,収拾がつかなくなった
- 40 長文読解が苦手な子どもがいる
- 41 古典作品は教科書の音読以外にどんなことをしたらいいのか……
- 42 授業での読書単元から,自主的な読書につながらない
- 説明文
- 43 段落の要点をまとめることができない
- 44 意味段落で分ける,が理解できないときには……
- 詩歌
- 45 詩の授業,文章量が少ないだけにどう指導したらいいか困る
- ことばや漢字にかかわる事例
- 46 授業内での丁寧な言葉と,休み時間の言葉を使い分けさせるべきか……
- 47 間違った漢字はどう指摘すればいいのか……
- 48 新出漢字は指導していても,それが定着しない
- 49 辞書・辞典を引くのに時間がかかる
- 50 単元最初の語句調べに,時間がかかる
- おわりに
はじめに
「何を教えたらいいのか分からない。」「答えがはっきり出ない。」「どうすればいいのか分からない。」などの言葉は,国語の授業づくりで多く発せられる言葉です。また,「この物語の中心人物は?」「『聞』の漢字の部首はどうして『耳』になるの?」「要点は?」と問われてもその答えを明確にすることができなくて曖昧にしてしまいがちです。
なぜ,このようになってしまうのでしょうか? 考えられることは,使われている「用語」が曖昧にされ,どうすれば答えが出るのかという「方法」やそこにあるきまり,「原理・原則」が明確にされていないからです。このようなことは,日々のさまざまな指導の中でも言えることです。細かい指導が必要なのにその指導がなされないことが多いのです。
本書においては,国語の授業づくりで必要な細かい指導に視点を当てて,その細かい指導方法について考えてみました。しかし,ここで紹介する内容は,私のこれまでの経験からその指導のあり方を紹介しましたので,「もっと他にもやり方があるのに……」とか「私ならこんな方法を……」と思われる方もいらっしゃると思います。ですから,ここで挙げた方法は一つの方法として受け止めていただければ幸いです。
さらに,それぞれの内容はクラスの実態や授業の目指す方向によっても違ってくるはずです。ここに挙げましたさまざまな方法を一つのステップとして,自分のクラスや子どもたちに合う方法を新たに考えていただけたらうれしいです。
さまざまな方法を活用していくことは,子どもたちの学びを豊かにしていこうという方向を目指しています。本書をもとにその方向を一緒に考えてみましょう。
平成26年3月 筑波大学附属小学校 /白石 範孝
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