- はじめに
- 道徳授業で大活躍!
- 第1章 モラルスキルトレーニングの考え方
- 1.学習指導要領の改訂
- 2.モラルスキルトレーニングという発想
- 3.モラルスキルトレーニングの実践プロセス
- 4.大人にも必要なスキルトレーニング
- 5.形から入る
- 6.小学生と中学生の違い
- 7.中1ギャップ
- 8.集団活動と個別対応
- 第2章 モラルスキルトレーニングのエクササイズ
- 第1節 [セルフエスティーム]自己尊重のスキル
- 1.「一人しかいない自分」:自分のよさを知ろう
- ・内容項目1−(5) 個性伸長
- 2.「わたしのよさと役割」:他人の目を通して自己を見つめよう
- ・内容項目1−(5) 個性伸長
- 第2節 [友情]友人関係のスキル
- 1.「協力しあう仲間」:進んで協力する
- ・内容項目4−(4) 集団生活の向上
- 2.「謝る」:仲間との関係を修復する上で大切なことを考えよう
- ・内容項目2−(3) 友情・信頼
- 第3節 [進路]理想を実現させるスキル
- 1.「将来の夢と仕事」:自分の夢と目標をもとう
- ・内容項目1−(4) 理想の実現
- 2.「役割と責任」:自分にできることから努力しよう
- ・内容項目4−(4) 役割と責任
- 第4節 [いのち]生命尊重のスキル
- 1.「いのち」:いのちとは何かを考えよう
- ・内容項目3−(1) 生命の尊重
- 第5節 [いじめ]正義のスキル
- 1.「いじめを許さない言動」:見て見ぬふりはしない勇気をもとう
- ・内容項目4−(3) 公正・公平
- 2.「大切な友達」:いじめを許さない勇気をもとう
- ・内容項目4−(3) 公正・公平
- 第6節 [顔が見えない相手]ネットモラルのスキル
- 1.「携帯デビュー」:友人を説得しよう
- ・内容項目2−(3) 友情・信頼/4−(4) 役割と責任
- 2.「ネット社会に生きるわたしたち」:情報モラルを高め,相手の心情に配慮した接し方をしよう
- ・内容項目2−(3)(2−(2),4−(1))信頼・友情(思いやり・遵法の精神)
- 第7節 [男女の問題]男女理解のスキル
- 1.「女の子は泣いています」:女の子は傷つくんです!男の子だって…
- ・内容項目2−(4) 異性の理解・人格の尊重
- 2.「“好き”と“愛する”」:相手の気持ち“も”考えた接し方をしよう
- ・内容項目2−(4) 異性の理解・人格の尊重
- 第8節 [自然愛護]自然愛護のスキル
- 1. 「自然とともに」:自然環境を守り,親しもう
- ・内容項目3−(2) 自然の愛護
- 2.「“自然に対する謙虚さ」:どのような態度かを学ぼう
- ・内容項目3−(2) 自然の愛護・畏敬の念
- 第9節 [法やきまり]自律のスキル
- 1 「ちょいがり」:バレなければ何をやってもよい?
- ・内容項目4−(2) 公徳心/1−(3) 自主・自律・責任
- 2 「友達にタバコを勧められたら」:誘惑に負けない態度
- ・内容項目4−(1) 法やきまりの遵守
- おわりに
はじめに
子どもたちの人間関係づくりの能力が弱くなっているということが,多くの論者によって指摘されている。おそらく,昔と比べれば,家族の構成人数が少なくなっていること,遊び仲間集団が小さくなっていること,一人遊びのできるゲームソフトがたくさんあることなどが,そうしたことの原因だと考えられる。
そうだとすれば,学校の中でも,多くの子どもたちを集めてさまざまな体験を仕組む必要があろう。しかし,いきなり集団活動を行おうと思っても,学級集団としてある程度のまとまりがなければ難しい。そこで,摸擬的に行動を指導すること,すなわち,スキルトレーニングが求められる。スキルトレーニングとしては,ソーシャルスキルトレーニングやライフスキル教育などがあり,いずれも,スキルの獲得だけでなく,自尊感情を高める効果もあるということが実証されている。私たちの提案するモラルスキルトレーニングもそうしたスキルトレーニングのひとつであるが,他のスキルトレーニングと大きく異なるのは,道徳教育として構想されているという点である。つまり,内面的な道徳性の育成をもねらっているということである。
私たちは,平成20年に『小学校 道徳授業で仲間づくり・クラスづくり モラルスキルトレーニングプログラム』(明治図書)を公刊した。本書は,その中学校版であるが,実践研究を進める中で,中学校ならではの難しさに気づかされることも多々あった。そうした点をうまく克服しているかどうかは,読者の皆さんのご判断に委ねたい。
今回も,小中学校の教員の身分のまま各都道府県教育委員会より上越教育大学大学院に派遣され,道徳教育を研究テーマとして修士論文の作成に取り組んだ方々と,その実践研究に関心を持ってくださった先生方に,執筆していただいた。本書の編集にあたっては,小学校版に引き続き,明治図書の佐藤智恵さんにたいへんお世話になった。私も含めて日々の仕事に忙殺される執筆陣に,タイミングよく励ましの言葉をかけていただいた。にもかかわらず,今回もまた遅くなったのは私の責任である。お詫び申し上げるとともに,長期間にわたってお支えいただいたことに厚く御礼申し上げる。
2011年2月 上越教育大学大学院教授 /林 泰成
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