- 監修に寄せて
- 本書に寄せて
- まえがき
- 第1章 ◎校内支援体制の実際
- 全体会
- 支援体制の組織は?
- 年間計画のたて方は?
- 全体会に向けて準備するものは?
- 職員の理解や協力を得るには?
- 特別支援教育の校内研修を行うには?
- 全職員で支援をしていくには?
- 情報の引継ぎをするには?
- 実態把握の方法は?
- ※参考:〈LD児の特性について〉
- 事例検討会
- 事例検討会の進め方は?
- 支援の方法を見いだしていくには?
- 支援の見直しを行うには?
- 個別の指導計画
- 役立つ「個別の指導計画」のつくり方は?
- 「個別の指導計画」の生かし方は?
- 「個別の指導計画」の見直しをするには?
- 連携・その他
- 特別支援教育の取り組みについて保護者の理解を得るには?
- 保護者に働き掛けるときの留意点は?
- 専門機関への連絡・相談は?
- スクールカウンセラーの活用の方法は?
- 支援に役立つ教室の利用の仕方は?
- 校内支援体制づくりのために通級指導教室をどう生かすか?
- 第2章 ◎特別な支援を必要とする子どもの理解と対応
- こんなことに気を付けてみませんか
- 場面別
- ◆始業前
- 始業前の準備に時間がかかります
- ◆定例集会
- 集会で大声を出してしまいます
- ◆授業中
- 授業中に歩き回ります
- 好きなことばかりしています
- 急な時間割の変更が困難です
- 当ててほしいと不平を言います
- ◆休み時間
- すぐに友達の悪口を言います
- 抱き付くことが好きです
- 乱暴な言葉遣いが気になります
- ◆清掃
- 清掃箇所から離れてしまいます
- ◆終業後
- 帰りの準備が遅れてしまいます
- 部活動への参加が不規則です
- 行事別
- ◆儀式的行事
- 落ち着いて参加できるか心配です
- 式の最中に友達をしつこく注意します
- おしゃべりをしてしまいます
- ◆遠足・校外学習
- 移動中に座り込んでしまいます
- 遊具等の順番が待てません
- 何にでも「嫌だ」と言います
- ◆運動会
- 練習に参加しようとしません
- じっと座っていられません
- 負けはじめるとやめてしまいます
- ◆野外学習
- 外泊経験がなく不安です
- 暗闇を怖がり夜の活動が不安です
- ◆修学旅行
- 友達との過ごし方が心配です
- 土産物がうまく買えません
- ◆学芸会
- 「つまらない」と言ってしまいます
- ◆避難訓練
- 「避難訓練が怖い」と言います
- 読み物風用語集
- 第3章 ◎特別な支援を必要とする子どもの教科指導の工夫
- 国 語
- ◆書く
- 理 解・黒板の文字を書き写すことが苦手な子どもには?
- 支援@・どこを書き写しているのか分からない子どもには?
- 支援A・文字の形をうまくとらえられない子どもには?
- 支援B・思い込みで書いたり言葉を抜かして書いたりする子どもには?
- ◆文字
- 理 解・文字を正確に書くことが苦手な子どもには?
- 支援@・文字の形がとれない子どもには?
- 支援A・促音を書き落としてしまう子どもには?
- 支援B・漢字を書くことが苦手な子どもには?
- ◆音読
- 理 解・音読が苦手な子どもには?
- 支援@・どこで区切ればよいか分からない子どもには?
- 支援A・文字や行をとばして読んでしまう子どもには?
- 支援B・抑揚の少ない読み方をする子どもには?
- 算 数
- ◆図形
- 理 解・図形をかくことが苦手な子どもには?
- 支援@・定規をうまく使えない子どもには?
- 支援A・コンパスがうまく使えない子どもには?
- 支援B・点を点をうまく結べない子どもには?
- ◆わり算
- 理 解・わり算の筆算が苦手な子どもには?
- 支援@・数字をかく位置がずれてしまう子どもには?
- 支援A・注目すべき言葉が分からない子どもには?
- 支援B・わる数が二けたになると混乱してしまう子どもには?
- 音 楽
- ◆表現
- 理 解・歌ったり演奏したりすることが苦手な子どもには?
- 支援@・リコーダー演奏を苦手にしている子どもには?
- 支援A・歌うとき体の動きや声が大きくなってしまう子どもには?
- 支援B・合奏が苦手な子どもには?
- 図画工作
- ◆表現
- 理 解・絵を最後までかくことが苦手な子どもには?
- 支援@・最後まで絵を完成させることが難しい子どもには?
- 支援A・道具をうまく使うことが難しい子どもには?
- 支援B・題材にあった絵をかくことが難しい子どもには?
- 体 育
- ◆ボールゲーム
- 理 解・ボールを使ったゲームが苦手な子どもには?
- 支援@・ボールを投げたり,捕ったりすることが難しい子どもには?
- 支援A・説明や指示を聞き取ることが難しい子どもには?
- 支援B・友達と協力して運動することが難しい子どもには?
- 数 学
- ◆正の数・負の数
- 理 解・正の数・負の数の計算が苦手な子どもには?
- 支援@・符号や言葉で混乱して示す数が分からなくなる子どもには?
- 支援A・負の符号と演算記号の区別が分からない子どもには?
- 支援B・正・負の項や演算記号が多いと混乱する子どもには?
- あとがき
- 参考文献
- 名古屋の特別支援教育を推進する会 会員
監修に寄せて
シリーズ<先進事例集>地域の特色ある特別支援教育
特別支援教育という言葉が初めて世に出たのは,21世紀の初頭2001年1月でした。「21世紀の特殊教育の在り方について(最終報告)」の中で,初めて使われました。そして,中央省庁の再編が行われたこの1月,それまでの文部省が文部科学省に改編され,それまでの特殊教育課に替わって新たに特別支援教育課が誕生しました。
それから,早くもまる6年が過ぎました。この間の特別支援教育に向けた転換は急ピッチで力強く確かなものでした。そのように感じるのは,支援体制の整備に関わる基本方針や具体的な内容と方法,そして法的整備等,特別支援教育への転換に向けた国の動向を踏まえ,多くの自治体が主体的にまた独自の在り方を模索し,具体的に取り組みをはじめたからです。ちょうどその頃,地方分権一括法が成立・施行したことは,そのことに一層拍車をかけた形でした。さらに,全国各地で教員の自主的な研究会や研修会が,特別支援教育への転換に向けた情報の共有や,校内支援体制の整備,指導方法の開発に向かっていったことも大きいと思います。
本シリーズの監修を担当している私は,その2001年1月以降,国立特殊教育総合研究所の研究室長,同年10月から文部科学省の特別支援教育調査官,そして,2006年1月から兵庫教育大学大学院教授として,全国各地の動向を把握する機会に恵まれました。しかし,残念ながら,各地のとても工夫された先進的な取り組み,すなわちベストプラクティスが,他の地域ではほとんど知られていないということに気が付きました。山間部にある学校であろうと,離島にある学校であろうと,大都会の学校であろうと,これから日本中の全ての学校で特別支援教育を推進するためには,全国各地の優れた先進的な取り組みを,皆の財産として共有することが今まさに大切であると考えました。一方で,地域での戦略づくりに苦戦していたり,地域の独自性が見いだせていなかったり,さらには,地域のニーズがうまく汲み取れない等,特別支援教育が思うように進まない地域も見られます。
そこで,全国各地で進む先進的でユニークな取り組みを広く集め,具体的に分かりやすくコンパクトに紹介することで,先進事例を関係者が共有できるようにしようと考え,本シリーズ「<先進事例集>地域の特色ある特別支援教育」を監修することにしました。
想定される読者としては,地域で特別支援教育の推進に直接携わる教員や行政担当者のみならず,この分野で活躍する研究者や,保護者,さらには,一般の国民のみなさんにも手に取っていただけるよう配慮しました。
本シリーズが,日本で今まさに進む特別支援教育のエンサイクロペディアとして機能し,日本における特別支援教育への転換という壮大な作業の一助になればと願っています。
2007年(平成19年)1月 兵庫教育大学大学院教授 /柘植 雅義
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- 明治図書