<先進事例集>地域の特色ある特別支援教育2
教師の力で明日できる特別支援教育
スペシャルサポートをナチュラルサポートにつなぐ埼玉県所沢市の挑戦

<先進事例集>地域の特色ある特別支援教育2教師の力で明日できる特別支援教育スペシャルサポートをナチュラルサポートにつなぐ埼玉県所沢市の挑戦

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通常の学級ですぐに実践できるスペシャルな支援方法を解説

通常の学級に席を置く発達障害の子への自然な支援を目指して、基本的な学級経営の在り方、特別支援教育コーディネーターの動き方、子ども・保護者・教師を支える組織の体制作り等、特別支援をさりげなくする方法を、明日からすぐに実践できるようポイントを絞って紹介。


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ISBN:
978-4-18-071616-6
ジャンル:
特別支援教育
刊行:
2刷
対象:
小・中
仕様:
B5判 152頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

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監修に寄せて
本書に寄せて
はじめに
序章 所沢市の特別支援教育の特徴
1 所沢市の特別支援教育の基盤
2 所沢市の特別支援教育の契機と沿革
3 所沢市の特別支援教育の課題
第1章 特別支援教育を通常の学級でどうすすめるか?
1 個別支援を活かすための学級経営とは
1 はじめに
2 特別支援教育は個別支援がすべてか?
3 学級経営のユニバーサルデザイン化
4 誰もが居心地のよい支援
5 個別支援を通した全体支援
6 対人的トラブルへの対応
7 コンフリクト・マネジメントの手法
8 おわりに
2 通常の学級で取り組む個別支援の工夫
1 支援の視点
2 磐石な学級経営作り
3 みんながわかる環境作り
4 みんながわかる授業作り
5 教師は役者であれ
3 生徒指導の視点を踏まえた特別支援教育
1 はじめに
2 生徒指導と特別支援教育の枠組み
3 校内支援体制の確立こそ支援の要
4 小・中学校の連携
5 問題行動への対応
6 他機関との連携
7 おわりに
第2章 特別支援教育コーディネーターはどう動けばいいのか?
1 小学校の特別支援教育コーディネーター
1 特別支援教育コーディネーターの仕事
2 特別支援教育コーディネーターの仕事の困難さ
3 それぞれの問題への対応法
4 コーディネーターとして気持ちよく仕事をするために
2 中学校の特別支援教育コーディネーター
1 はじめに
2 校内における特別支援教育コーディネーターの役割
3 外部の関係機関との連絡調整の役割
4 保護者に対する相談窓口としての役割
3 特別支援教育コーディネーターとして:養護教諭の場合
1 はじめに
2 養護教諭の気づき
3 子どもを支援するための連携
4 保健室からの発信と取り組み
5 校内の取り組み
6 おわりに
4 特別支援教育コーディネーターとして:特別支援学級担任の場合
1 はじめに
2 学校における支援の方向性
3 研修は,いつでも,どこでも,短い時間で
4 児童の実態把握は早めに,そして,継続的に
5 特別支援学級での実践を見てもらう
6 具体的な支援グッズはいつでも貸し出し可能
7 フェードアウトのタイミングが大切
8 支援の実際
9 保護者への支援
第3章 子ども,保護者,教師を応援するシステムとは
1 教育センター教育相談室における支援
1 はじめに
2 所沢市立教育センター教育相談室とは
3 統計から見た特別支援教育の動向
4 教育相談室での支援の実際
5 教育相談室の役割
2 「健やか輝き支援室」とは
1 はじめに
2 「健やか輝き支援室」の特徴
3 教師の取り組みを支える
4 子どもを主役とした支援体制作り
5 保護者を支えるために
3 特別支援教育専門家チームによる支援
1 所沢市の特別支援教育に関わる現状
2 所沢市特別支援教育専門家チームとは
3 「専門家チーム」による支援の実際
4 「専門家チーム委員会」による支援の成果と課題
第4章 学習支援員活用マニュアル/活動ガイド
1 大学の立場から
1 所沢市と大学(研究室)との連携
2 学習支援員の活動
3 学習支援員による支援事例
4 学習支援員によるサポート/学習支援員へのサポート
2 学習支援員活用マニュアル
1 はじめに
2 学習支援員派遣事業の概要
3 学習支援員の派遣に先立ち行うこと
4 学習支援員へのサポート
5 支援の中断,支援員の変更について
6 支援終了にあたって
7 おわりに
3 学習支援員活動ガイド
1 はじめに
2 支援準備期
3 支援開始期
4 支援活動期
5 支援終了期
おわりに

本書に寄せて

 本書は,埼玉県所沢市教育委員会の「健やか輝き支援室」の職員として,市内の小・中学校等へ様々な支援を実際に行っている阿部利彦氏によって編集された。

 阿部氏は,小・中学校の通常の学級における特別支援教育を「うまい具合」に推進するためには,まずは,それぞれの学級の準備が必要であり,個を生かすための学級経営が大切だと言う。そのような「基礎固め」がないと特別支援教育は始まらない,と考える。また,個々の気になる子どもの理解を大切にし,その背景や原因を把握し,適切な言葉かけ等の援助をしていく。このような姿勢や丁寧な援助は,必ず子どもの心に響くだろう。

 各学校や教師への支援は,スピーディーでかつ実にタイムリーであり,特別支援教育の課題のみならず,生徒指導上の課題を併せ持つ児童生徒への対応も含めて行っている様子を,何度か講演会やシンポジウムで聞いている。多様な相談活動とコンサルテーション活動,そして,子どもの視点を大切にする姿勢と活動。これらが,所沢市内の全ての学校に行き届こうとしている。そのような丁寧な支援の実際から集められた様々なアイデアや具体的な指導の工夫,そして,教材教具の開発等が本書に結実した。

 本書は,3部構成になっている。まず序章で,所沢市の特別支援教育の特色を紹介した後,第1章では,特別支援教育を通常の学級で進める際のポイントとして,学級経営,個別支援の工夫,そして,生徒指導の視点を踏まえた特別支援教育について解説している。

 第2章では,特別支援教育コーディネーターに視点をあて,小・中学校での取り組み,養護教諭や特別支援学級担任がコーディネーターとして指名されて活動する場合について,それぞれの取り組みの違いが比較してわかるように紹介している。

 第3章では,子ども,保護者,教師を支援するシステムとして,阿部氏が所属する「健やか輝き支援室」の特徴や取り組みの内容,教育センター教育相談室の取り組み,特別支援教育専門家チームによる支援というように,所沢市が有する学校支援の仕組みを紹介している。

 第4章として,学習支援員の活用マニュアル(活動ガイド)として,派遣元の大学での準備や取り組み,マニュアル,実際に活動する際の支援の時期に即したガイドから構成されている。

 知的障害のない発達障害の診断や判断に関心が行き過ぎたり,通常の学級からの安易な「取り出し指導」がなされすぎたりすることなく,まずは,通常の学級できちんと受け止めて,通常の学級の中で適切な指導や必要な支援をできるところから始めるという,当たり前のことが丁寧に実践されているのが所沢である。そして,行政からの適切なバックアップシステムが,それを支えている。30万人規模の自治体における特別支援教育推進の一つのモデルであろう。


  2007年(平成19年)7月   兵庫教育大学大学院教授 /柘植 雅義

著者紹介

柘植 雅義(つげ まさよし)著書を検索»

兵庫教育大学大学院教授

阿部 利彦(あべ としひこ)著書を検索»

現職:所沢市教育委員会学校教育課健やか輝き支援室 支援委員

公職:埼玉県特別支援教育推進委員会 委員

   所沢市特別支援教育専門家チーム委員会 委員


<略歴>

学歴:早稲田大学人間科学部卒業

   東京国際大学大学院社会学研究科修了

職歴:東京障害者職業センター 生活支援パートナー

   埼玉県総合リハビリテーションセンター 心理判定員

   東京都足立区教育研究所 教育相談員

などを経て現在に至る

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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