- はじめに
- 本書及び付属DVDの使い方
- 一章 伝統音楽を知ろう!
- 1 学習指導要領を授業で実現しよう!
- (1)学習指導要領の注目ポイントと本書の活用アイデア
- 2 伝統音楽って面白い!
- (1)文化の同質性と異質性に注目してみよう
- (2)私たちの音楽をとりまく自然環境
- (3)悠久の歴史は今につながる
- (4)声の可能性は無限
- (5)聴き方を変えてみよう――日本やアジアの音楽へのアプローチ
- 二章 伝統音楽を聴いてみよう!
- ◆1 長唄 《勧進帳》
- 長唄とは? /長唄で使われる三味線 /長唄と歌舞伎の音楽 /《勧進帳》を聴いてみましょう
- コラム@ 日本・アジアの音の世界
- ◆2 津軽三味線 《津軽じょんがら節》
- 津軽三味線とは? /津軽三味線の楽器 /津軽三味線の聴きどころ /《津軽じょんがら節》を聴いてみましょう
- コラムA 声で覚える楽器と楽譜
- ◆3 北インド古典音楽 《ラーガ・ヤマン》
- インドの古典音楽――北インドと南インド /ラーガとタール /シタールとタブラー・バーヤーン /《ラーガ・ヤマン》を聴いてみましょう
- コラムB リズムと拍子で感じるアジア
- ◆4 雅楽 《越天楽》
- 国際的だった日本の雅楽 /日本化する雅楽 /雅楽の楽器 /《越楽天》を聴いてみましょう
- ◆5 箏 《六段の調》
- 箏曲とは? /日本の箏 /箏と手の使い方 /《六段の調》を聴いてみましょう
- ◆6 カヤグム 《アリラン》《伽耶琴散調》
- 韓国のコト,カヤグム /カヤグムとその演奏 /《アリラン》,《伽耶琴散調》を聴いてみましょう
- コラムC 広く愛される韓国の音楽・芸能
- ◆7 声明 《四智梵語》《云何唄》《散華》《對揚》《長錫杖》
- 声明とは? /声明の種類 /声明で使われる道具 /声明の聴きどころ
- ◆8 ガムラン 《バリス》《ギラッ》
- ガムランとは? /東南アジアの合奏形態と音楽・芸能 /バリ・ガムランの楽器とその役割 /ガムランの聴きどころ
- コラムD 楽器を通して見るアジア
- 三章 伝統音楽を授業しよう!
- PLAN1 長唄の魅力を味わいましょう(第2学年)
- PLAN2 津軽三味線の魅力を味わいましょう(第1学年)
- PLAN3 三味線の演奏を体験しましょう(第1学年〜)
- ――器楽で三味線を扱う際の導入に
- PLAN4 インドの音楽の魅力を味わいましょう(第1学年〜)
- ――シタールとタブラー・バーヤーン
- PLAN5 楽器に注目しながら《平調越天楽》の美しさを味わいましょう(第2学年)
- PLAN6 箏曲《六段の調》を味わいましょう(第1学年)
- PLAN7 箏ですてきな歌をつくりましょう(第1学年〜)
- ――創作の導入として映像を使用
- PLAN8 韓国の伝統楽器「カヤグム」の魅力を味わいましょう(第1学年)
- PLAN9 日本の伝統音楽の源流「声明」の特徴をとらえて味わいましょう(第3学年)
- PLAN10 バリ・ガムランの特徴をとらえて魅力を味わいましょう(第1学年)
- PLAN11 ガムラン体験をしてみましょう(第1学年〜)
- ――合わせて演奏する器楽として映像を使用
- 演奏者紹介(付属DVD)
はじめに
本書を開いてくださいました皆様,ありがとうございます。
この『プロの演奏でつくる!「日本・アジアの伝統音楽」授業プラン』は,次の2点を実現するためにつくりました。
1 音楽文化についての理解を深めることができる
平成20年告示の学習指導要領では,中学校音楽科の目標に音楽文化についての理解を深めることが新たに示されました。背景として国際化が進展する今日,我が国や郷土の伝統音楽に対する理解を深め,我が国の音楽文化に愛着をもつとともに,諸外国の音楽文化を尊重する態度の育成を重視することが挙げられています。本書は,書籍と付属DVDの関連を図り,我が国の音楽として「長唄」,「津軽三味線」,「雅楽」,「箏」,「声明」を,諸外国の音楽として「北インド古典音楽」,「カヤグム」,「ガムラン」を扱っています。書籍により,先生方がそれぞれの音楽の文化的背景を理解した上で,映像とワークシート等を活用して,生徒に無理なく楽しく音楽のよさや特徴,そして音楽文化についての理解を深めることができるよう工夫してあります。
2 音楽科における学力が高まる
平成18年に教育基本法改正,平成19年に学校教育法改正が行われ,知・徳・体のバランス(教育基本法第2条第1号)とともに,基礎的・基本的な知識・技能,思考力・判断力・表現力等及び学習意欲を重視し(学校教育法第30条第2項),学校教育においてはこれらを調和的にはぐくむことが必要である旨が法律上規定されました。平成24年度から全面実施されている学習指導要領及び観点別学習状況の評価もこれらを背景としています。
今回,主として鑑賞領域の学習をご提案していますが,生徒たちが質の高い演奏と解説の映像を視聴しながら基礎的・基本的な知識を得て,知覚・感受した音楽を形づくっている要素を踏まえて紹介文を書くという進め方は,取り組みやすく学習意欲が高まり,音楽科における学力が高まると確信しております。
最後に,素晴らしい演奏とお話を披露してくださいましたプロの演奏家の皆様,本書に協力してくださった国立音楽大学および関係の諸先生,ガムランの演奏と解説をしてくださったバリ・ガムラン研究会チャンドラ・ムトゥの皆さん,そして明治図書の木村悠氏に心から御礼申し上げます。
平成25年12月 /横井 雅子・酒井 美恵子
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- 明治図書