- はじめに
- 第1章 新しい小学校体育科と年間計画の立て方
- 第2章 授業づくり上達法
- 第3章 課題をもって学び合う運動の教え方・学び方
- 1 楽しさや心地よさを味わう体つくり運動
- 1 体ほぐしの運動
- 事例@ 体ほぐしにあまり慣れていない3年生
- 事例A 体ほぐしに慣れてきている4年生
- 2 多様な動きをつくる運動
- 事例@ 多様な動きをつくる運動1
- 事例A 多様な動きをつくる運動2
- 事例B 組み合わせの動きを中心に1
- 事例C 組み合わせの動きを中心に2
- 2 楽しさや喜びに触れる器械運動
- 1 マット運動
- 事例@ つなげて連続技!
- 事例A ロングマットに挑戦
- 2 跳び箱運動
- 事例@ 基本的な技をしっかりと
- 事例A 台上回転にチャレンジ
- 3 鉄棒運動
- 事例@ 忍者修行
- 事例A 連続技にチャレンジ
- 3 走・跳楽しい運動との出会い
- 1 かけっこ・リレー
- 事例@ かけっこ
- 事例A いろいろなリレー
- 2 小型ハードル走
- 事例@ ミニハードル走
- 3 幅跳び
- 事例@ 幅跳び
- 4 高跳び
- 事例@ 高跳び
- 4 楽しい運動との出会い浮く・泳ぐ運動
- 1 浮く運動
- 事例@ 浮く運動
- 2 泳ぐ運動
- 事例@ 泳ぐ運動
- 5 楽しい運動との出会いゲーム
- 1 ゴール型ゲーム
- 事例@ セストボール
- 事例A ラインサッカーを基にした易しいゲーム
- 事例B タグラグビーを基にした易しいゲーム
- 2 ネット型ゲーム
- 事例@ キャッチバレー
- 事例A プレルボールを基にした易しいゲーム
- 3 ベースボール型ゲーム
- 事例@ キックベース
- 事例A ラケットベース
- 6 楽しさや喜びに触れる表現運動
- 1 表現運動
- 事例@ ジャングル探検
- 2 リズムダンス
- 事例@ リズムに乗って(リズムダンス)
- 7 保健を学ぶ
- 1 毎日の生活と健康
- 事例@ 生活の仕方と健康
- 2 育ちゆく体とわたし
- 事例@ 心・体が大人になる
- 参考資料 Q&A そっと教えて…ここだけの話
- Q 体育科の領域構成が変わりました。中学年ではどのようなことに気を付けて指導したらよいのでしょうか。
- Q 年間の時間数が90時間から105時間へと15時間増えましたが,「体つくり運動」にすべてあてるべきなのでしょうか。
- Q 言語活動の充実が各教科でも話題になっていますが,体育科における言語活動とは,いったいどのように考えるとよいのでしょうか。
- Q 高学年の「ボール運動」につながっていく中学年の「ゲーム」では,どのような運動に取り組んでいくとよいでしょうか。また,どのように取り組んでいくとよいのでしょうか。
- Q 「体つくり運動」が全学年で必修となり,中学年では「多様な動きをつくる運動」を行うと示されています。具体的に言うと,「多様な動きをつくる運動」とは,どのような運動ですか。また,低学年との違いはどんなところですか。
- Q 用具を操作する運動を行う際の注意点を教えてください。
- Q 器械運動は,3年生から行うようになりました。今までとどこが違うのでしょうか。どのように指導したらよいのでしょうか。
- Q 中学年の授業づくりには,どんなことが大切でしょうか。
はじめに
平成23年4月、小学校においては新学習指導要領による教育課程が全面実施されました。小学校では「新」学習指導要領ではなく「現行」学習指導要領になったわけです。
さて、「現行」学習指導要領が告示されてから3年の猶予がありましたが、この間、どのようなことに留意して指導計画づくりや授業づくりを進めてこられたでしょうか。それとも、教育課程の基準となる学習指導要領が変わったといったところで、ほとんど変わることはないと考えているでしょうか。
授業を創る際は、およそ次のようなことを確認しながら進めることでしょう。
@指導内容の確認 A児童の実態の把握 B指導の手立ての工夫 C教材の吟味 D単元計画(学習過程)作成 E本時の計画の作成……、さらに指導と評価を繰り返しながら、よりよい授業のために修正………。
学習指導要領が変わったことで直接変わったことは@です。しかし、これは授業づくりのスタートでありますが、ゴールとも言えるものです。そのため、本書では、第1章において学習指導要領の改訂の趣旨や内容を理解していただくように構成しました。
私が教員になったのは、昭和62年4月です。その直後に平成元年の改訂がありました。そして、次は平成10年告示の学習指導要領ですが、全面実施となった平成14年には、学校現場を離れ、行政の仕事に就いていました。つまり、私の授業づくりは、@についてはほとんど平成元年告示の学習指導要領に基づいてのものでした。ですから、当然本書に書いている内容とは違っています。しかし、A以降はどうでしょう。これらの手続きは、平成元年告示の学習指導要領の基で授業づくりをした私のころと比べても大きく変化することはありません。もちろん、@が変わることにより、例えばEの内容は変わるでしょうが、授業づくりのための手続きは変わっていないはずです。ですから、Aの児童の実態を把握しなければBの指導の手立ても適切なものにならないことに変わりはないはずです。このように、@については、学習指導要領に示されていることに基づいて具体化できますが、A以降は、読者である先生方に研鑽を積んでいただき、力を発揮していただくしかないのです。そうしたことから、その手助けをしたいと考え、本書の第3章以降では、ベテランの教員の経験を複数の例示として簡潔にまとめ、なかなか指導案などに表記しにくい「授業上達のコツ」も付記してみました。
授業づくりは、ゴールが見えないマラソンのようであるかもしれません。自分自身の教員時代を振り返っても、「よし今日は最高の授業ができた」と思っても、少し経つとそれは自己満足でしかなかったことを思い知らされてきました。ですから、今でも体育のよい授業のゴール探しは続いています(それは永遠でしょうが)。教育という仕事は、きっとそうした営みがとても重要で、そうしたゴールを探し求めて精進する姿勢に子どもたちも感化されていくのでしょう。本書はそうした先生方への応援のつもりでまとめましたので、体育の授業づくりのヒントとして活用いただければ幸いです。
2011年8月 /白旗 和也
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- 明治図書