- はじめに
- 50場面から歴史が見える! エピソードワーク7つのポイント
- @ どんな時代だったのか?
- A 穴埋めワーク
- B チャレンジ!発展問題
- C 授業のポイント
- D 歴史の裏側? 面白エピソード
- E 目からウロコのびっくり資料
- F 高校の歴史学習へつなげよう!
- T 「原始・古代」面白エピソードワーク
- 1 黄河流域に中国古代文明が発展した〜世界の古代文明のおこり〜
- 2 米づくりがはじまった〜日本列島における農耕のはじまりと生活の変化〜
- 3 卑弥呼が魏に使いを送った〜大和朝廷の統一と東アジアのかかわり〜
- 4 留学生たちは命がけで海を渡った〜聖徳太子の政治と大化の改新〜
- 5 奈良に平城京がつくられた〜律令国家の成立と平城京〜
- 6 聖武天皇が大仏に国家の平安を祈った〜仏教の伝来とその影響〜
- 7 藤原道長が栄華をうたった〜平安京と摂関政治〜
- 8 紫式部が『源氏物語』を書いた〜国際化から国風文化へ〜
- U 「中世」面白エピソードワーク
- 9 平将門が関東で反乱を起こした〜武士の登場〜
- 10 源頼朝が鎌倉に本拠を定めた〜鎌倉幕府の成立〜
- 11 元が攻めてきた〜蒙古襲来と幕府の衰退〜
- 12 二つの朝廷ができた〜南北朝の争乱と室町幕府〜
- 13 足利義満が『国王』になった〜日明貿易と琉球・蝦夷地〜
- 14 足利義政が銀閣を建てた〜禅宗の文化的な影響〜
- 15 木綿の服を着はじめた〜産業の発達と都市の成長〜
- 16 京都の町が焼け野原になった〜一揆と応仁の乱〜
- V 「近世」面白エピソードワーク
- 17 各地に実力者が登場した〜戦国大名〜
- 18 南蛮人がやってきた〜ヨーロッパ人の来航〜
- 19 豊臣秀吉が関白となり全国を統一した〜織豊政権〜
- 20 天守閣がつくられた〜桃山文化〜
- 21 大名が「鉢植え」になった〜江戸幕府の成立と大名統制〜
- 22 出島にオランダ商館が建てられた〜鎖国下の対外関係〜
- 23 農民は土地にしばられた〜身分制度の確立と農村の様子〜
- 24 耕地が2倍になった〜農業や諸産業の発達〜
- 25 近松の人形浄瑠璃が上方で評判になった〜都市の繁栄と町人の文化〜
- 26 徳川吉宗が財政再建に取り組んだ〜社会の変動と幕府の政治改革〜
- 27 江戸で錦絵が大流行した〜新しい学問と化政文化〜
- 28 ロシア船が蝦夷地にあらわれた〜欧米諸国の接近と幕府の衰退〜
- W 「近代」面白エピソードワーク
- 29 イギリスで綿織物が機械でつくられた〜市民革命と産業革命〜
- 30 アヘン戦争で中国が敗れた〜欧米諸国のアジア進出〜
- 31 黒船がやって来た!〜開国とその影響〜
- 32 全国の藩を廃止し県を設置した〜幕府の滅亡と明治維新〜
- 33 陸蒸気(蒸気機関車)が人々を驚かせた〜文明開化〜
- 34 板垣退助らは国会開設を要求した〜自由民権運動〜
- 35 アジアで初めて立憲政治を実現した〜大日本帝国憲法の制定〜
- 36 大陸への進出が始まった〜日清・日露戦争〜
- 37 条約改正が実現した〜明治政府の外交〜
- 38 官営八幡製鉄所が建設された〜産業革命と社会の変化〜
- 39 サラエボの町に銃声がとどろいた〜第一次世界大戦とロシア革命〜
- 40 ベルサイユ条約が結ばれた〜民族運動の高まりと国際協調〜
- 41 普通選挙法が成立した〜大正デモクラシーと文化の大衆化〜
- 42 ニューヨークで株価が大暴落した〜世界大恐慌とブロック経済〜
- 43 中国との戦争が始まった〜満州事変と日中戦争〜
- 44 日本は無条件降伏した〜太平洋戦争〜
- X 「現代」面白エピソードワーク
- 45 日本国憲法が公布された〜占領と民主化〜
- 46 講話条約が結ばれた〜国際社会への復帰〜
- 47 家庭に『三種の神器』がそろった〜高度経済成長〜
- 48 沖縄が日本に帰ってきた〜沖縄返還と日中国交正常化〜
- 49 ベルリンの壁が壊された〜冷戦の終結とその後〜
- 50 政権交替がおこった〜これからの日本と世界〜
- おわりに
●はじめに
平成20年3月に中学校学習指導要領の改訂が行われた。社会科歴史的分野における改訂の要点は次の5点に集約される。
(1) 「我が国の歴史の大きな流れ」を理解する学習の一層の重視
(2) 歴史について考察する力や説明する力の育成
(3) 近現代の学習の一層の重視
(4) 様々な伝統や文化の学習の重視
(5) 我が国の歴史の背景となる世界の歴史の扱いの充実
私たちが,本書の編集にあたる上で念頭に置いたのは,これらの目的に対応しうる教材の開発ということであった。大きなコンセプトとしては,書名のとおり,中学校歴史を50場面でとらえ,「我が国の歴史の大きな流れ」を理解できるように意図した点にある。広がりも深まりもある中学歴史の範囲から50場面を切り取ることはなかなか困難であったが,ぜひ意のあるところをお汲み取りいただきたい。時代別の構成は,原始古代8項目,中世8項目,近世11項目,近代16項目,現代6項目とし,「近現代史」の比重を高めた。また,いわゆる世界史項目の設定も含め,「日本史の背景となる世界史」についてはできる限り触れるように配慮したつもりである。
それぞれの項目(場面)は,見開き2ページで構成している。大別すれば,左ページの「ワークシート」と右ページの「解答解説編」からなっている。左ページのワークシートは,生徒が取り組むことを想定している。ワークシートには,それぞれの歴史場面を解説する文章に【10問の穴埋め問題】を入れた。生徒がこれを答えながら文章を熟読することによって,重要語句やキーワードを押さえることをねらいとしている。さらに【2問程度の記述問題】もあるが,これは文章を書かせることによって「歴史について考察する力や説明する力の育成」を意図したものである。【チャレンジ発展問題】は,同様の意図から設定したが,中学生のレヴェルをやや超えた設問となっている。上位層の生徒を中心に,やや高い要求水準を示すことで,学習意欲を喚起していただければと思う。なお,ワークシートの冒頭には【どんな時代だったのか】という短文を付した。これは「その時代をひとことで言うと?」という質問への最も簡潔な解答として記しており,各場面の学習の導入を意図している。
右ページの解答解説編は,ワークシートの答え合わせの際に,先生方に参考にしていただく情報として作成した。もちろん,授業の中で,こちらだけを活用していただいても結構である。【授業のポイント】は,その場面で生徒に伝えるべきポイントを記した。あれもこれも伝えたいところであるが,それをじっと我慢して最小限のねらいということを意図した。【歴史の裏側? 面白エピソード】は,生徒の興味関心を引き出せるようなものを集めた。各執筆者が教室にあって使ったものも多い。生徒の興味関心を喚起して学習意欲の向上を図れればと思う。また,ここでは日本史だけに限らず,同時代の世界の動きから影響を受けている場合は,可能な範囲で取り入れるようにした。【目からウロコのびっくり資料】は,生徒たちの驚きを生み,「探究したい」と思わせるような資料を選んだ。こうした資料を扱いながら,生徒の学習意欲を高め,多面的・多角的な見方を育成していただければと願っている。【高校の歴史学習につなげよう】では,同じ場面の時代を扱う場合における高校の学習内容を解説している。中学校と高校の違いを念頭に置いて中学校での指導を進めていただくとともに,高校の学習にスムーズにつなげることができるように意図したものである。最後に【ワークシートの解答】を載せた。記述式問題の解答はあくまでも解答例であり,先生方には実際の生徒の文章をよく吟味して正誤を判断していただきたい。それこそが「言語力の育成」につながると考えている。
私たちは,中学歴史の充実発展に取り組まれている多くの先生方にご活用いただくことを願って本書を作成した。生徒の興味関心を刺激し,思考判断を育成するためのツールの1つとなれば幸いである。ベテランの先生方はもとより,これから授業づくりを始められる初任者の先生方にもぜひご活用願いたい。また,もし一般読者が手に取られるのであれば,50場面のワークシートに取り組むことで日本の歴史の大きな流れをご理解いただく契機となり,その解答解説編からは1問1答のクイズでは味わえない歴史の面白さを感じ取っていただけるに違いない。
平成23年1月1日 編者 /下山 忍
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- 明治図書
- 高校の日本史との接続を意識して作られており、参考になる。教材研究に役立っている。2015/12/320代社会科教諭
- 解説ページにある「びっくり資料」と「面白エピソード」が、新鮮なものが多く授業ネタとしてとても参考になりました。2011/2/24神昌丸