- 謝辞
- 本書出版によせて
- はじめに
- Ⅰ 幼児期の環境教育の目的
- 1 自然および社会環境に対する肯定的な感情の形成
- 2 子どもが直接触れる環境に存在して価値あるものを知ること・好きになること
- 3 環境を構成する生物や非生物の最も本質的な特徴を経験させること
- 4 習慣づけ,生活習慣,振る舞い方を教えること,それを通して「子どものレベルで」環境への意識を持つ姿勢の基礎づくり
- Ⅱ 環境教育の実践を実現するには
- 1 保育園・幼稚園での環境教育のテーマ領域グループ化
- 2 大テーマによる年間計画
- 3 大テーマから部分テーマへの細分化
- 4 大テーマの実践計画
- Ⅲ 大テーマ:アイデア
- 春・夏・秋・冬
- 人(身体)
- 動物
- 植物
- 物質(土・水・木・金属・石・ガラス・プラスチック・紙など)
- 地球・太陽・星
- 1日の時間帯・週・月・四季
- 自宅・家族
- 自分たちの園とその周辺環境―人々の仕事
- 住んでいる場所・自分たちの町・自分たちの国(自分たちの民族・他の民族)
- 交通
- Ⅳ 幼児期の子どもの年齢的特徴
- 1 感情が決定的な役割を持つ
- 2 主たる活動はあそび
- 3 まねすることは学ぶこと
- 4 果てしない運動欲求・行為への欲求
- 5 自立への願望が表れる
- 6 好奇心の強さが特徴
- 7 種々の感覚器官を使わせる経験の重要性
- 8 恣意的な注意と記憶が特徴
- 9 思考はまだ行為や見ているものに縛られる
- 10 友達が大切
- おわりに
- 付録(課業案の例)
- 大テーマ:身近な動物
- 大テーマ:身体
本書出版によせて
“となりの人,回りのこと,とりの足……”
1974年,初めてハンガリー保育研修に行った時,日本語訳に窮した通訳の謎のようなことばに,思わず“カンキョウニンシキ!”と叫んだのが「環境認識」との出会いでした。翌年には『ハンガリー保育園の教育プログラム』著者の一人であるサバディ・イロナさんをお招きして環境認識の学習会が始まりました。40年余り前のことです(その後,マイバ保育園のプログラムも更新され,環境教育という表現になりましたが,コダーイ芸術教育研究所では今でも「環境認識」と呼んでいます)。
それ以来,難しい難しいとぼやきながら,なぜか私たちは「環境認識」が好きです。子どもの人格の発達にとって,周りのことから経験や知識を広げ自分の存在を強めていくことが,確かに大事なことだと感じているからです。
この数年間継続して,チェンゲーディ・マールタさんに学習会で「数学教育」と「環境認識」の理論を保育園で実践指導していただきました。
実践指導では毎回,「幼児期の子どもの特性」「子どもの経験獲得の過程」について強調され,それに則った課業の組織と内容について研修が行われました。
何が「環境認識」の課業を難しくしているのか。
それは私たち大人が“教えようとしている”からです!
子どもたちは自分の置かれている環境について,既にたくさんのことを知っています。子どもの思考と経験獲得に適った学習が組織されれば,子どもたちは動き,試し,考えます。まさに,頭と体を使うのです。
優れた実践者であるマールタさんによって書かれたこの本は,読んでみると「環境認識」は何も難しいことではないような気がしてきます。皆さんも「環境認識」が好きになって,楽しい実践が保育室にあふれるように願っています。
2017年9月 コダーイ芸術教育研究所 理事長 /和地 由枝
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