- まえがき
- ソーシャルスキルワークの使い方
- T 授業の場面で
- 1 友だちの意見や考えを聞こう
- 2 授業中は、人が読んでいるところを目で追う
- 3 席をはなれるときは先生にことわりましょう
- 4 学校の時間を守ろう
- 5 指名されたらきちんと答えよう
- U 学校生活の中で
- 6 先生にあいさつしよう
- 7 友だちにあいさつしよう
- 8 ていねいな言葉で話そう
- 9 先生に言われたことは必ずしよう
- 10 整理整とんをしよう
- 11 後かたづけをしよう
- 12 静かにろうかを歩こう
- 13 話をしている人を見よう
- 14 あずかったものを先生にわたそう
- 15 集会ではおしゃべりをしない
- 16 学校に必要なものを持ってくる
- 17 うそをつかない
- V こんなときは……
- 18 バスにのろう
- 19 給食を食べよう
- 20 見学へ行こう
- 21 友だちにしつ問されたら答えよう
- 22 だれかが何かを落としたら、拾ってあげよう
- 23 だれかとぶつかったら
- 24 横入りをしてはいけない・順番を守ろう
- 25 よいことをしてもらったら
- 26 いけないことをしてしまったら
- 27 ひとのものを借りるとき
- W 友だちとともに
- 28 もしいじめられたら先生に知らせよう
- 29 グループの人と行動しよう
- 30 勝っても、じまんしない
- 31 負けてもおこらない
- 附:ソーシャルスキルカード
- (T) 授業の中で
- 1 話す人の方を見て話を聞く
- 2 友だちの意見や考えを聞く
- 3 授業中は人が読んでいるところを目で追う
- 4 席をはなれるときは先生にことわろう
- 5 指名されたらきちんと答える
- (U) 学校生活
- 6 友だちにあいさつする
- 7 整理整頓をする(ロッカー)
- 8 整理整頓をする(机)
- 9 集会ではおしゃべりしない
- 10 うそをつかない
- 11 給食のとき、順番を守る
- 12 グループの人と行動する
- (V) こんなときは……
- 13 だれかに質問されたら答える
- 14 わりこみをしない
- 15 だれかとぶつかったらあやまる
- 16 人のものをかりるときはことわる
- 17 ありがとうと言う
- 18 落ちているゴミをひろう
- (W) 友だちとともに
- 19 勝っても自慢しない
- 20 負けても怒らない
- 21 だれであれ、仲間はずれにしない
- 22 いじめられたら先生に言う
まえがき
発達障害があるなしにかかわらず,就労できて「自立=社会参加」していくためには何が必要でしょうか。
@学力
Aスキル
この2つは,「自立=社会参加」をしていくためには必要不可欠です。
2つの中でも「Aスキル」はとりわけ重要です。なぜならば,幼稚園や保育園などの幼児教育の現場や小中学校の義務教育の現場では,スキルを身につけられないために学力をも身につけられないでいるからです。
医療の現場には,就労先での課題を抱えた人や就労できないために家庭から出ないでいる人なども,診断と治療を受けにきます。そうした人たちには何が必要なのでしょうか。
また,児童相談所や福祉の現場では,在所している人を通して何が必要とされているのでしょうか。
家庭では,保護者の方々は何に「困り感」を抱いているのでしょうか。
私たちは,これまで2つの課題に取り組んできました。
2つとは,先に示した「@学力」と「Aスキル」です。
「学力」については,次を提案しました。
(1) 『医学と教育との連携で生まれた グレーゾーンの子どもに対応した作文ワーク』
(2) 『医学と教育との連携で生まれた グレーゾーンの子どもに対応した算数ワーク』
しかしながら,スキルについては提案できませんでした。
それが,ようやく提案できるようになりました。
それが,このワークとカードです。
CD−ROM付き グレーゾーンの子どもに対応した
ソーシャルコミュニケーションづくり―基本のスキル31選―
ついでですので,「スキル」について記します。
「スキル」を「ライフスキル」として提案したのが,WHO(世界保健機関)です。国際連合の専門機関です。提唱されたのは以下のスキルです。
@意志決定スキル
A問題解決スキル
B創造的思考
C批判的思考
D効果的コミュニケーションスキル
E対人関係スキル
F自己認識
G共感性
H情動への対処
Iストレスへの対処
これらのスキルは「ライフスキル」という名称からも推測できますように,社会参加を効果的に実現するためのスキルとして提唱されています。効果的な社会参加を営むことで自己実現を果たし,人生を豊かに送れるという意味でもまさにライフスキルです。
この中のどれを取り上げて「ソーシャルスキル」として具体化したらよいでしょうか。
ロバート・フルガムは,『人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ』(河出文庫)で,次のようなことを「知恵」としてあげています。
@ずるをしないこと
A人をぶたないこと
B使った物は必ずもとのところに戻すこと
Cちらかしたら自分で後片づけをすること
D人のものに手を出さないこと
Eだれかを傷つけたら,ごめんなさいと言うこと
F食事の前には手を洗うこと 等
これらは集団で生活するようになる幼稚園や保育園で必要不可欠なスキルといえます。
小学校,とりわけ学級で生活する場合には別のスキルも必要となります。
このスキルを「ルール」として提案したのが,ロン・クラークです。
『みんなのためのルールブック あたりまえだけど,とても大切なこと』(草思社)は,子育てをする母親や幼児教育の現場でも話題になりました。
@相手の目を見て話そう
Aだれかがすばらしいことを話したら拍手をしよう
B人の意見や考えを尊重しよう
C口をふさいでせきやくしゃみをしよう
D授業の準備をすばやくしよう
E授業中は許可なく席を立たない
Fだれであれ,仲間はずれにしない
G集会でおしゃべりをしない
ほとんどが学校・学級生活を送る上で必要なルールです。
このように見てくると,「スキル」「ルール」「規律」「道徳」「規範」「エチケット」と,さまざまな名称をつけることができるということがわかります。
名称はさまざまあっても,基本は同じです。
効果的に社会参加を果たすために必要な知識や技能
PISA(国際学力調査)は,この知識や技能をペーパーテストという形で測定しているわけです。
効果的に社会参加を果たし,社会的に自立するために必要なのが,学力とスキルなのです。学力は,小学校4年生までの読み・書き・計算ができれば就労できるといわれています。
就労が困難なのは,ソーシャルスキルが身についていない場合だという指摘があります。
もっとも基本的なソーシャルスキルは,幼児期から小学校段階で身につけさせることが求められています。この時期がさまざまなことを学ぶ「学習容易期」であるからです。ソーシャルスキルを学ばせることの必要性は理解していても,どのようなスキルをどのような方法で学ばせるかについてのコンセンサスは得られていない現状があります。
私たちはこのような現状を残念に思っています。
そこで,主として3つの現場(学校・医療・福祉)の連携で,ソーシャルスキル育成のワークとカードを作成しようと考えました。
子どもにソーシャルスキルの育成を願っている方々のお役に立つことを,なによりも子どもにひとつでも多くのソーシャルスキルが身につくことを,切に願っています。
私たちの趣旨に賛同され,このワークの絵を無償で作成してくれた「日本アニメ・マンガ専門学校」(学校法人新潟総合学院)と学生のみなさんに感謝を申し上げます。みなさんのご協力・ご支援がなければ,子どもが楽しみながら学ぶワークやカードはできませんでした。ありがとうございます。
最後に,ソーシャルスキルを育てるためのワークやカードができないものかと提案をし,できるまで数年もの間待ち続けていただいた樋口雅子明治図書常務に感謝を申し上げます。
新潟特別支援教育研究会代表 /大森 修
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- 明治図書