- はじめに
- 第1章 新しい算数科学習指導と学習指導案づくり
- 1 新学習指導要領が目指すもの
- 2 算数科学習指導略案集の特徴及び意図
- 第2章 第3学年 新しい算数科学習指導略案17
- 1 九九の表とかけ算
- 乗法の動機付け
- 0の乗法
- 乗法を使って
- 2 わり算
- 除法の動機付け
- 等分除の計算
- 包含除の意味と計算
- 商が2位数(10の倍数)になる除法
- 3 円と球
- まるい形についての動機付け
- 円のかき方とコンパスの用い方,円とその中心,半径の意味
- 球の意味とその中心,半径,直径の意味
- 4 たし算とひき算の筆算
- 繰り上がり1回の筆算
- 一の位に繰り下がり1回の筆算
- 4位数の加法及び減法の筆算
- 5 一億までの数
- 1万を超える数の表し方と書き方
- 6 たし算とひき算
- (2位数)+(2位数)で答えが2位数の暗算
- (2位数)−(2位数)の暗算
- 7 時刻と時間
- 時刻と時間
- 短い時間
- 8 長さ調べ
- 巻き尺の使い方
- 9 余りのあるわり算
- 余りのある除法の意味と計算
- 余りを切り上げて処理する問題の解決
- 10 三角形
- 三角形調べ
- 二等辺三角形や正三角形のかき方
- 角についての理解,大きさ比べ
- 11 1けたをかけるかけ算の筆算
- (2位数)×(1位数)の計算
- 十の位に繰り上がる筆算
- 百の位に繰り上がる筆算
- (3位数)×(1位数)の筆算
- 暗算
- 12 重さ
- 重さについての動機付け
- 13 分数
- 端数部分の大きさの表し方
- 数としての分数
- 簡単な場合の分数の加法及び減法
- 14 表とグラフ
- 資料の分類整理
- 簡単な2次元の表
- 15 小数
- かさの端数部分の大きさの表し方
- 小数の加法及び減法
- 16 2けたをかけるかけ算の筆算
- 2位数に何十をかける計算
- (2位数)×(2位数)の筆算(部分積2桁)
- (3位数)×(2位数)の筆算
- 17 □を使った式
- □を用いた加法及び減法の式
- 第3章 第4学年 新しい算数科学習指導略案18
- 1 角とその大きさ
- 扇形作り
- 180°を超える角度の測定
- 角のかき方
- 一組の三角定規を使って作った角の大きさ
- 2 1けたでわるわり算の筆算
- (2位数)÷(1位数)の計算の仕方
- 余りのある筆算と答えの確かめ
- 商が2位数になる筆算
- 3 何倍でしょう
- □×a×b=cの関係にある問題
- 何倍になるかを考えての問題
- 4 一億を超える数
- 億の概念づくり,読み方
- 大きな数の仕組み
- 5 式と計算の順じょ
- ( )を用いた式
- 計算の順序
- 式の表し方と読み方
- 6 折れ線グラフ
- 折れ線グラフの特徴と読み方
- 7 小数
- 100分の1の小数の表し方
- 100分の1の位までの小数の加法
- 8 面積
- 広さ比べ
- 長方形と正方形の面積の求め方と公式
- m2とp2の関係
- 複合図形の面積
- 9 2けたでわるわり算の筆算
- (2位数)÷(2位数)の筆算
- 仮商の修正のある筆算
- (3位数)÷(2位数)で商が2位数になる筆算
- 除法について成り立つ性質
- 10 がい数とその計算
- 四捨五入による概数の表し方
- 概数の表す範囲
- 11 計算の見積もり
- 和や差の見積もり
- 12 垂直・平行と四角形
- 二直線の交わり方調べと垂直の意味
- 垂直や平行のかき方の活用
- 台形と平行四辺形の概念
- 平行四辺形のかき方
- 13 小数×整数,小数÷整数
- (純小数)×(1位数)の計算
- (帯小数)×(1位数)の筆算
- (小数)÷(1位数)の計算
- 14 もとの数はいくつ
- 三要素二段階の問題(乗法と加法及び減法)を順に戻して
- 15 調べ方と整理のしかた
- 二つの観点について調べることの動機付け
- 2次元表の整理の仕方
- 16 分数
- 帯分数を含む計算
- 大きさの等しい分数
- 17 変わり方
- 伴って変わる二つの数量を表や□や△を用いた式に表しての関係調べ
- 18 直方体と立方体
- 直方体や立方体の意味
- 直方体の展開図のかき方
- 指導者・執筆者一覧
はじめに
平成23年度より「思考力・表現力・活用力の育成」を目指した新学習指導要領が全面実施となりました。算数科の時間数は,平成11年の学習指導要領では1年114時間,2年155時間,3年から6年が各150時間に対して,平成20年の学習指導要領では1年136時間,2年から6年まで175時間と,総計で869時間から1011時間と大幅に増加しました。それにともなって,内容もスパイラルな教育課程の観点から増えました。例えば,上学年から下学年への移動をはじめ,中学校からの教材「合同」「拡大・縮小」「文字の式」「起こりうる場合」「度数分布」などが降りてきました。この内容を端的に表すのが教科書が以前よりも分厚くなったことです。したがって,ゆっくりとまたじっくりと落ち着いて考える算数の授業の構築は容易なことではありません。
中学校からの移行教材や上学年から下学年の内容の移動は単に移動しただけと考えてはいけません。算数科の内容の系統性からいって位置付けが異なってくるからです。
例えば,第2学年において「1/2,1/4などの簡単な分数」は初めてといってもよい扱いですし,小数のかけ算・わり算は従来は5年で扱われていた内容ですが,今回は4年と5年に分割されました。また,スパイラルな教育課程によって学年間のゆるやかな重複も見られます。
これらの内容を学習指導要領の趣旨に沿って実のあるものとするには確かな教材研究が必要です。
一方,小学校の現場では教師の世代交代が始まっています。新しい内容を初めて教えるという教師も少なくありません。20代,30代の若手教師にも具体的に分かる形で,新学習指導要領が目指す「算数的活動を通した思考力・表現力・活用力」の育成のための教材研究の手引き書が必要だと考えます。本書は,教材研究の具体的なものとして学習指導略案集を提案することとなりました。
本書は,長年にわたって研究実績のある北九州市の算数研究会にお願いし,作成していただきました。実際に数回,北九州市を訪問して,本書のコンセプトを協議して進めました。1年間以上も審議されて分かりやすい内容になりました。
それぞれの内容の略案については図版を入れてできるだけビジュアルになるように心がけました。また,単元の冒頭には,「育てたい数学的な思考力・表現力,活用力」の項目を設定しました。これらは北九州市の算数研究会が特にこだわってきた事柄です。前川公一先生をはじめとして多くの先生方にご尽力をいただきました。厚くお礼を申し上げます。また,明治図書の木山麻衣子氏にも企画当初から支援いただきました。ありがとうございました。
ぜひとも本書を活用されて算数の数理が好きな子どもを育ててほしいと願っております。
平成23年8月 愛知教育大学 /志水 廣
-
- 明治図書