- はじめに
- T章 「とびっきりの道徳授業」は,こうすれば,できる!
- ―これであなたも,「道徳の達人」の仲間入り!―
- @いい「モデル」を見つけよう
- Aまずは「型」から,「模倣」から入ろう!
- B「守」→「破」→「離」が,「授業のスキルアップの鉄則」
- Cまず,自分自身に「自分は何を子どもたちに本当に伝えたいのか」問うてみよう
- D「学年で,同じ授業」に取り組んでみよう
- ―ビギナー教師のスキルアップの近道―
- Eこの巻で紹介されているのは,こんな「とびっきりの道徳授業」ばかり!
- U章 すぐできる“とびっきり”の実践事例
- ハッピーマナー(4−(1)公徳心,規則の尊重)
- どうしたらヒーローになれるの?(1−(3)勇気・正義感)
- よせなべ(4−(4)協力,1−(5)個性伸長)
- ―友達のよさ・クラスのよさを育てる―
- 自分でできることは自分で(1−(1)基本的な生活習慣)
- おにぎりの味(2−(2)思いやり)
- ―共通体験と役割演技を通して―
- 自作資料と役割演技で自己をみつめる(2−(3)信頼・友情)
- 植物を大切にする心を育てる(3−(2)自然愛・動植物愛護)
- ―ディベート的な討論を通して―
- 金魚(2−(2)思いやり)
- ―私の考える思いやり―
- 本当の友達(2−(3)信頼・友情)
- ―絵本や体験を通して友達のあり方について考える―
- オンリーワンの自分を求めて(1−(5)個性伸長,1−(2)努力)
- きまりは何のために(4−(1)公徳心,規則の尊重)
はじめに
本書は,小学校の先生方が,「とびっきりの道徳授業」,つまり,レベルの高い道徳授業を,「だれでも,すぐできる形で」,紹介するシリーズの第1作です。
「すごくいい道徳の授業」を目にすると,こんな声がしばしば,耳に聞こえてきます。
「この授業……あの先生だから,できるんだよね」
「あの人は,授業の達人だから……」
「さすが,ベテランは違うよね……」
つまり,「最高レベルの道徳授業」は,「名人」とか「授業の達人」にしかできない,と思われることがあります。
それが,これまでの学校現場の常識でした。
本シリーズは,この「常識」を超えていくことをねらったものです。
つまり,「最高レベルの道徳授業」=「とびっきりの道徳授業」を,これまであまり道徳授業に熱心でなかった先生や,若手の先生方にでも,「だれにでも」「すぐできる」形で紹介したい。
これが,この本をつくった私たちの「想い」です。
それは,次のような今の学校現場,道徳授業をとりまく現状に対する危機感から出発しています。
道徳授業は,本来,ものすごい力をもっています。
「ほんものの道徳授業」は,子どもたちの生き方を変える「大きなパワー」を秘めています。
しかし,今,残念ながら,道徳授業はそのパワーをじゅうぶんに発揮できていないように思われます。
なぜでしょうか。
一つには,「道徳授業は,難しい」という思いがあるからではないでしょうか。
そんなことは,ありません。
難しいと思うのは,「モデル」がないからです。
まずはこの本にのっている「すぐできる」授業をそのままやってみることから,はじめましょう。自分なりの工夫は,その後にすればいいのです。
二つめには「道徳授業は,ワンパターンで,子どもたちが飽きてしまう」という思いがあるからではないでしょうか。
そんなことはありません。
昔と違って今は,道徳授業には,さまざまな新しいやり方があります。ぜひこの本を参考に新しいやり方を見つけられてください。
三つめには,「すごくいい道徳授業なんて,自分にはできない」という思いがあるからではないでしょうか。
そんなことはありません。
この本には,「すぐできる」「とびっきりの授業」が紹介されています。
まずはそのまま,やってみて,後で自分なりの工夫を加えてみましょう。
そして四つめには,「自分は,まだ,若手だ。なのに,いい道徳授業なんて,できない」という思いとか,「これまで,あまり道徳,一生懸命やってこなかったから,無理だ」という思いがあるからではないでしょうか。
そんなことはありません。
マネ(模倣)するいい「モデル」さえ,手にすれば,若手の先生にも,また,これまで道徳授業にあまり熱心でなかった先生方にも,いい授業はできます。
そしてこの本は,その「モデル」を提供してくれる本です。
とくに,都市部の小学校では,近年,若い先生が急激に増えていますが,そんな先生方にも,この本をぜひ手にとっていただきたいと思っています。
あなたが道徳主任だったら,この本のなかから「これはいい!」と思える実践を選んで,学年の教師全員で,同じ授業にいっせいに取り組んでもらうのもいいでしょう。
道徳授業は,楽しい授業です。
教科と違って,「答え」がありませんから,どんな子でも,自分の意見をもち,発表することができます。
教師自身も楽しむことができるし,子どもたちも楽しんでくれる。それが,道徳授業です。
しかも,「道徳」は,子どもたちを変える「すごいパワー」をもっています!
さぁ,この本を「モデル」にして,「とびっきり」の道徳授業を,明日からでも,はじめてみましょう。
これで,あなたも,私たちの仲間入りです。
この本で,「道徳のプロ」になるための,最初の一歩を踏み出すことができるのです!
明治大学文学部教授 /諸富 祥彦
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