- はじめに
- 本書の特色と使い方
- Ⅰ 中学地理「活用・探究力」習得ワーク
- 1 【アジア州】 日本とアジアとのかかわりを見てみよう!
- 2 【ヨーロッパ州】 トルコのEU加盟はどうする?
- 3 【アフリカ州】 チョコレートを食べなくなるとどうなる?
- 4 【北アメリカ州】 アメリカ合衆国と移民
- 5 【北アメリカ州】 アメリカ合衆国で黒人が多い州はどこだろう
- 6 【南アメリカ州】 南アメリカ州と関係の深い地域は?
- 7 【オセアニア州】 オセアニア州の国の文化はどんな文化?
- 8 【日本の範囲】 日本はどこまで行けるのかな?
- 9 【九州地方】 からし明太子はどうして○○県の特産品なの?
- 10 【中部地方】 ガンプラはなぜ静岡県で作られているの?
- 11 【気候の特色】 この地形図の場所を探せるかな?
- 12 【気候の特色】 夏・冬の降水量が多い県少ない県
- 13 【人口の特色】 人口が多い県少ない県
- 14 【産業(稲作)の特色】 お米をつくる県つくらない県
- 15 【地域間の結びつきの特色】 外国に行く人が多い県少ない県
- Ⅱ 中学歴史「活用・探究力」習得ワーク
- 16 【時代を大観し表現する】 時代を表す四字熟語
- 17 【時代区分と人物調べ】 歴史人物調査のまとめ
- 18 【人類の誕生】 ヒトになる条件とは
- 19 【律令国家】 律令国家の農民のくらし
- 20 【平安仏教】 救いを求めて
- 21 【鎌倉幕府の成立】 鎌倉時代の武士
- 22 【元寇】 竹崎季長の要求
- 23 【南北朝の動乱】 天皇家も戦に出陣?
- 24 【島原・天草一揆】 勝利より崇拝…
- 25 【元禄時代】 武士から町人へ
- 26 【江戸時代の財政政策】 江戸時代の財政危機を救え
- 27 【フランス革命】 フランス国歌の印象は?
- 28 【産業革命】 産業革命の影で…
- 29 【大日本帝国憲法の制定】 憲法の誕生
- 30 【日本の近代化と世界】 日清戦争後の日本
- 31 【高度経済成長】 高度経済成長と新たな問題
- 32 【これからの日本と世界】第二次世界大戦後の70年間でもっとも大切な年は?
- Ⅲ 中学公民「活用・探究力」習得ワーク
- 33 【対立と合意】 家族の納得弁当を考えよう
- 34 【社会権】 最低限度の生活に何が必要?
- 35 【私たちが生きる現代社会】 何がよくて何がいけない!著作権
- 36 【人権,裁判】 死刑制度を廃止するとどうなるの
- 37 【家族,個人の尊厳】 中学を卒業したら1人暮らし?
- 38 【平等権,家族】 夫婦は別の名字じゃいけないの
- 39 【選挙】 投票率UP(秘)大作戦
- 40 【無罪の推定,三審制】 心中か殺人事件か?
- 41 【地方自治】 条例をつくって,自分のよりよい「まち」を考えよう!
- 42 【世界平和の実現をめざして】 今でも地雷が埋まっている国はどこなの?
- 43 【身近な販売形態】 エッ! こんな自動販売機があるの?
- 44 【契約,消費者保護】 中学生のケータイでの買い物を考える
- 45 【直接金融と間接金融】 あなたの1000万円をどう使う
- 46 【国民の生活と政府の役割】 祝日は何のために休むのか?
- 47 【よりより社会を目指して】 海外旅行者数から見えてくる出来事
はじめに
ある夏の研究大会のことである。私は授業実践を発表する機会をあたえられ,演題近くで発表の準備をしていると,最前列に座っている若い教師たちの声が聞こえてくる。
A:「よう久しぶり。今日はどうしてこの研究会に来てるの」
B:「夏休み明けに,選挙や国会のことを教えるんだけど,ここって難しいじゃない」
A:「そうだよな。いつも板書と説明ばかりで生徒も眠そうにしているもんな」
B:「だから生徒に考えさせる授業のヒントがもらいたくって聞きに来たのよ」
その後も授業について真剣に話しこんでいる様子をみているうちに,私は思わず準備を中断して,何の面識もないこの2人に近づいていき,何が一番聞きたいのかを尋ねることにした。その後,私の発表が終わり,質疑の時間になると,この2人が口火を切り,それ以外の多くの若い教師からも質問を受けることになる。授業改善のために,「少しでも何かを学びたい」という若い教師のやる気と切実な思いが感じられる出来事であった。
教育現場は今,新規採用者が増え,経験年数の浅い教師が増えている。これらの教師はやる気があっても,活用・探究型の授業実践について学ぶ機会に恵まれていない。また,ベテランの教師であっても,多忙な毎日に追われ,こうした実践にふれる機会は意外に少ない。本書はこうした教師の期待に答えるためにつくられたものである。
活用・探究型の授業は難しい。生徒がワイワイガヤガヤと表面上楽しそうに活動するのではなく,資料から何かを発見し,そこから考え,自分たちで判断するような活動が求められる。そしてこれらの活動には,学習指導要領に示されている内容もふまえておく必要がある。
教師は学習指導要領の内容を深く理解したうえで,様々な教材を集め,それを様々な手法と組み合わて授業をつくっていかなけらばならない。これはかなり大変な作業である。
私はこの十数年,「活用・探究」という言葉がさけばれる前から,生徒が主体的に考え,活動する授業を開発するために,多くの研究会に足を運んできた。自分自身の拙い授業を少しでも改善して,生徒にとって魅力的な授業を行える教師になりたいと思っているからである。
「ディベート」「メディアリテラシー」「法教育」「金融教育」「キャリア教育」「よのなか科」など社会科教育に関係の深い研究会からは,多くの学習手法や内容を学ばせていただいた。本書はこれらの研究会で得た成果を組み合わせ,実際に行ってきた授業や,それを応用した授業から選りすぐったものを集めている。どのような方に使っていただいても,生徒が目を輝かせ,時には楽しく活動し,時には真剣に考えながら,学習内容の本質にせまれる実践ばかりを載せたつもりである。ぜひ手にとって試してもらいたい。そして本書をもとに,新しい活用・探究型の授業を開発されることを心より願っている。
編著者 /北村 明裕
私の経験から言って、「考えさせる社会科」をするためのポイントは、①考えるためのスキルを身につけさせる事②考える事を好きにさせること である。
前者について言えば、資料の読み取りや、知識と知識の結び付け等。
後者としては、作業的な面白さ、子供たちが食いつきそうな話題を取り上げる事、考えぬいた後のなるほど感等。
この本はその両者を兼ね備えている。
私はこれからこの本を活用していきたいと考えているが、子供たちの反応が楽しみである。