- まえがき
- T 年に一度! 大きなイベントの実践
- [1] 夢を描き、策を練り、楽しい成功体験を通して集団は成長する /桜木 泰自
- 向山実践に学ぶ「イベント」の定義/ 「大きなイベント」は「解散」「送別」や、「達成記念」で行う/ 三時間を超すパーティープログラムの例/ 教師の描く「夢」から全てははじまる/ 大きなイベントには食べ物が持ち込まれる/ 方針案をつくることで集団は成長する
- [2] スタッフとして動く楽しさを実感させる /猿渡 功
- 知る/ 自分たちが楽しむ/ マクロな視点を投げかける/ 企画書を作成/ 全校を巻き込む/ スタッフを楽しむ
- [3] 伏線をはることで実践はダイナミックになる /青坂 信司
- 向山学級キーワード「イベント」/ 大イベントのためのキーワード/ 大イベントへの動機づけ/ 全員さかあがり達成のポイント
- [4] やりたい時こそ成長する /小林 亜津子
- ハードルを乗り越えさせる/ やりたい時こそ成長する/ 再び教頭先生のもとへ/ 最後のハードル
- U 休み時間に開催するイベントの実践
- [1] たまに教師が参加して、楽しさを提供する /渡辺 康夫
- 手つなぎ鬼で仕掛ける/ ドッジボールで仕掛ける/ 再度ドッジボールで仕掛ける/ まとめ
- [2] みんなで遊ぼう /永山 靖代
- 遊びの中で学ぶ/ 遊び係りを決める/ 二年生としての自覚を持つ/ ルールを決める/ みんなで楽しく遊ぶ
- [3] 「動的係り活動」で遊び文化を活発にできた /青木 勝美
- 「動的係り活動」とは/ 「動的係り活動」を学級に持ち込む/ 学級を飛び出すイベントへ
- [4] 「遊び」が「係り」になり、それがそのままイベントになる活動を組織しよう /馬場 慶典
- 「遊び」を「係り」にしてしまおう/ 係りをつくろう/ さぁ、活動しよう/ 係りは更に発展する
- [5] 細部まで煮詰めた計画ができれば、イベントは必ず成功し、子どもは熱中する /平田 純也
- 「係り」と「当番」を分離させる/ 係り活動の実践(一)イメージを描かせる(二) イメージを具体化させる(三)細部の細部まで煮詰める(四)実行に移す
- V 親を巻き込むイベントの実践
- [1] 今日の勝負、負けないぞ! /岡 惠子
- 挑戦状を送る/ プログラム/ 最短時間で語呂合せで一年間終りの会バージョンを練習/ 当日の隊形
- [2] 子どもたち大喜び! 熱狂お菓子の部屋! /平田 淳
- [3] この感動! やってみないとわからない親子チャレラン大会! /柳沢 やよい
- 「親を巻き込むイベント」はこれしかない!/ 教室で盛り上がる!/ 親子チャレラン大会企画開始!/ やっぱりチャレラン! ドラマを生む/ 普段の授業が大事
- [4] 少人数クラスのパーティーは保護者の参加で活気づく /川西 良治
- パーティーは保護者も一緒に楽しむ/ パーティーで子どもたちを育てる/ 子どもの事実をつくり出す
- [5] 楽しいだけじゃない。感謝の気持ちもこめた感動のイベント /和歌 千明
- イベントを仕組む/ イベントの方針をつくらせる/ 企画書を検討する/ イベント実施への準備をする/ そしてイベント実施
- W 学校全体で取り組んだイベントの実践
- [1] 「イメージを持たせ、子どもに任せ、大いに褒める!」
- 〜六年生を送る会〜 /小田原 誠一
- 教師がどこまで夢を描けるか/ 「六年生を送る会」のイメージを持たせる/ 何を、誰に「任せる」か/ 「立候補じゃんけん」で、チャンスは、誰にでも平等に!
- [2] 「子どもチャレンジランキング」を児童集会で実施する /松本 俊樹
- 一人一人が提案者で一人一人が仕事を担当する「参画」できるシステムづくり/ 「参画」型児童集会にはどのような種類があるのか/ 「何度も挑戦」「子ども熱中」子どもチャレンジランキングの種目を集会に導入する/ インターネット上の情報を集め活用する/ 児童の学びは教師の思いを越える
- [3] 普通学級の子どもたちとイベントでつなげる /佐藤 琢朗
- イベントを全校に広げる/ イベントを成功させるまでの準備/ イベントの効果
- [4] 年に一度は大きなイベントを /今野 邦治
- [5] イベントによって子ども集団を育てるのには教師の「夢」と「決意」が必要である /杉本 任士
- 新しい時代・新しい教育に対応したイベントの在り方を模索するしかない/ 総合的な学習の時間とのリンクを模索する/ 実践例 三年生「お年寄りとふれ合おう」/ シルバーチャイルドチャレランの可能性/ 夢を描ける教師のみが子どもの文化イベントを大きくすることができる
- X 活動させることで子ども集団をつくる基礎技術
- [1] イベントの仕掛け方 /福谷 崇
- [2] イベント:企画書の立てさせ方 /青坂 信司
- [3] イベント:企画書の話し合い方 /福谷 崇
- [4] イベント:役割分担の仕方 /福谷 崇
- [5] イベント:親の協力を得る方法 /福谷 崇
- [6] イベント:実施上の留意事項 /福谷 崇
- [7] イベント:後始末の仕方 /福谷 崇
- [8] 子どもの意欲の引き出すイベント例 /櫛引 丈志
- [9] 裏文化の取り入れ方 /和歌 千明
- [10] 動物を飼うときの留意点 /藤原 佳澄
- [11] 教室に遊びを流行させる方法 /小手森 良貴
- [12] 教室にマンガを置くときの留意点 /青木 勝美
- [13] 集団化を促す遊び・ベスト3 /青木 勝美
- [14] 集団遊びの効果的な仕掛け方 /青坂 信司
- [15] スキマ時間にできるミニゲーム /南川 敦子
- [16] 教師が知らなければならない応急処置法 /石川 雅昭
- [17] 五色百人一首のルールの教え方 /国友 靖夫
- [18] 五色百人一首のやり方 /国友 靖夫
- [19] 五色百人一首・マンネリしたときの打開方法 /馬場 慶典
- [20] 活動への意欲を引き出す教師の語り方 /山本 真吾
- 執筆者一覧
まえがき
楽しいイベントを実施すると子ども集団の力は倍増します。
楽しいイベントは、学級の全ての子が主人公になります。
教師の予想していた以上の効果を学級にもたらしてくれます。
学校週五日制になって、学級集会活動などの特別活動の分野が弱くなっていると言います。
授業時数確保のために、イベント的なことは倦厭されると言います。手間がかかると思われているからです。
教師は授業が本筋ですが、特別活動の分野にも教師としての醍醐味があります。
特にイベントは、一度その楽しさを子どもも教師も味わうと、もう一度やってみたいと思うようになります。それだけ心に残るものとなるのです。
しかしイベントは、ただ闇雲にやっても力はつきません。やはり指導のポイントがあるのです。
例えば、イベントをするとき、子どもたちに企画案を立てさせます。
企画案を立て、学級全体で話し合うことで、自治の精神が育っていくからです。
しかし、子どもたちは企画案を立てることができません。企画案とは何か。企画案そのものを知らないからです。
そこで、前の学年を担任したときの子どもたちの企画案や向山洋一氏の学級のイベントを実施するときの企画案を見せます。
「真似をして書いてごらんなさい。」
最初、真似をさせますが、子どもたちの立てた企画案では必ずと言っていいほど漏れが出ます。
教師は、そのことを指摘する必要はありません。
「よくがんばったね。すごい。最高だ。」
そして、子どもたちに話し合いをさせます。
話し合いをさせますが話し合いにはなかなかなりません。何を質問していいのかすら、わからないのです。
そこで、次のように教師が言ってみます。
「先生がいなくても、この企画案でイベントを実行できますか。どんなにつまらないことでもわからないことがあったら、質問してごらんなさい。」
「先生がいなくても」という言葉が、子どもの思考を促します。そして「つまらないことでも」いいと、教師が言うわけですから、子どもは安心して質問を出すようになります。
最低限、企画案には「何を(種目)」「いつ(日時)」「どこで(場所)」「誰が(担当者)」「どうする(準備等)」が書いてなければなりません。
最初の企画案では、それらのうちのどれかが抜け落ちてしまうのです。
しかし、学級全体で話し合うことで、それが見えてきます。気がつきます。
真似をするけど不備がある。不備な点を自ら気がつき、訂正していく。そこに学びがあるのです。
もしこれが最初から子どもたちにまかせていたら、そうはならないでしょう。
企画案そのものもわからないし、どんな項目で立てたらいいのかすらわからない。最初から子どもたちの意欲減退です。
イベントは、子どもたちの体験を豊かにしていきます。
しかし、放っておいても同じ事を繰り返すだけのこともあります。そこで、イベントがもっとダイナミックに展開していくために様々な体験をさせていくことも時には必要になります。
例えば、学級の裏文化として、剣玉、手品、お手玉を学級の中に教師が持ち込むこともあるでしょう。
教師が、子どもたちの前で演じて見せる。教師の姿を見て、子どもたちもやってみたい、真似したいと思います。
子どものやってみたい、真似したいと思う気持ちが次へのエネルギーとなります。
教師は、環境づくりに徹すればよいのです。
時折、「どうだ、こんな技はできないだろう」と挑発します。
真似させる。もしくは真似をしたいと思わせる。
そして、後は要所要所で指導する。
それ以外は子どもに任せる。為すことによって学んでいくのです。
それがイベントづくりを通して、学び合い育ち合う学級づくりをするポイントなのです。
最後に、この書の執筆の機会を与えてくださったTOSS代表の向山洋一先生と明治図書の樋口雅子様に深く感謝いたします。
TOSSオホーツク代表 /青坂 信司
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- 明治図書