- はしがき
- 第一章 学級通信は「見える化」する
- 1 「学校の見える化」は「対話」を作る
- (1) 四つのものを「見える化」する/ (2) 学級通信が「対話」を取り戻す
- 2 学校の中を「見える化」する
- (1) 見えないことを見えるようにする/ (2) 見えないけれども知ってほしいこと
- 3 クラスの様子を「見える化」する
- 4 担任の頭の中を「見える化」する
- (1) なぜそうするのか趣意説明/ (2) 本を引用する/ (3) 生徒の日記から考えたことを伝える
- 5 生徒の心の中を「見える化」する
- (1) 生徒の心の中を「見える化」するとは/ (2) クラスで起こった事件の意味を語る
- 第二章 クラスの中を「見える化」する
- 1 「いじめ」という現象の意味を伝える
- (1) 学校生活の中で起きる現象の意味を伝えよ/ (2) 「いじめ」という現象を伝える/ (3) ものがなくなるという事件
- 2 ものがなくなるという現象の意味を伝える
- (1) ものがなくなるには理由がある/ (2) 誰かに隠された時/ (3) 不注意でものがなくなる/ (4) 生徒が申し出ることに意味がある
- 3 良いノートで学びのモデルを伝える
- (1) TOSSノートをプレゼントする/ (2) 学力を付けるには「ノート指導」は欠かせない/ (3) 美しいノート、良いノートは必ず紹介する/ (4) 良いノートとは/ (5) 美しいノートを書くと、賢い子になる/ (6) 授業の中でノートチェックを行う/ (7) 提出ノートにコメントを書き続ける/ (8) ミスを減らすコツを伝える
- 4 行事をネタにする
- (1) 成長を伝える/ (2) 辛い気持ちも共有する/ (3) 行事を通して伝えること三つ(ア目の前のことに誠実に、全力で イ何もしないことが悪 ウ思うようにならない時)/ (4) 音楽会のエピソード
- 5 卒業という最大の行事
- (1) しんどい思いを共有する/ (2) あきらめない/ (3) 何を卒業するのか/ (4) 受験は団体戦
- 6 授業を学級通信に書く
- (1) 授業を学級通信のネタにする/ (2) 授業の記録は長編となる/ (3) 生徒の感想を書く
- 7 生徒の感想から
- (1) 我が子の感想が保護者に安心感を生む/ (2) 生徒に学力を保障する「向山型数学」
- 8 宿題を学級通信に載せる
- 9 生徒会活動で「友情」を学ぶ
- (1) 様々な生徒会活動/ (2) 協力させようとしているのか/ (3) 協力しない生徒を取り上げる
- 10 生徒の日記はネタの宝庫
- (1) 生徒の日記はネタの宝庫/ (2) 生徒の日記から読み取れる学校のフレームワーク/ (3) 日記で良さを認める/ (4) 保護者へ手紙を書く
- 第三章 担任の頭の中を「見える化」する
- 1 伝え続け、言い続け、関わり続ける
- (1) 十年前に言ったことが本当になった/ (2) 「量」が「質」を凌駕する/ (3) 伝え続けるネタはいくつもある/ (4) 言い続けること/ (5) 関わり続ける
- 2 学級通信の価値
- (1) 書き続けることで見えてきたもの/ (2) 学級通信の価値
- 3 自分の実践記録として
- (1) 実践記録/ (2) 教師も保護者と共に歩む同志であることを伝える/ (3) 四十代のころ、保護者を支える
- 4 続けること 続けること 続けること
- 5 他人事にしないこと
- (1) 全員を巻き込むこと
- 6 小さなことを続ける
- 7 ただ、ひたすらに生きる
- 第四章 学級通信のお手本はこれだ
- 1 思春期の四つの特徴
- 2 必ず紹介する学級通信
- 3 文体へのこだわり
- 4 圧倒的な事実へのあこがれ
- 第五章 学級通信が「対話」を生む(保護者は語る)
- 1 担任の人となりを知った
- 2 そこからコミュニケーションが生まれる
- 3 家族も巻き込まれた学級通信
- 4 先生生徒親を繋ぐ学級通信
- 5 先生の喜怒哀楽から、一生懸命な姿を感じる
- 6 書いている先生の姿が目に浮かぶ
- 7 信頼関係を築き上げた学級通信
- 8 始まりは「えっ?何これ」
- 9 親も人間として成長しようと考えさせられる
- 10 プラスの見方考え方を親が学ぶ
- 11 学級通信の中に「出会い」がある
- 12 「出会い」の意味を知った学級通信
- 13 親と子をとりもつ学級通信
- 14 最強にして「最響」の学級通信
- 15 保護者から保護者へ「口コミで」
- 第六章 保護者が愛読する学級通信のポイント
- 1 自宅でも、空き時間でも
- (1) 書く時間と場所を決める/ (2) なぜ脳に良いのか?/ (3) 学校ではネタを集める
- 2 縦書き、横書き、B4一枚、手書き
- (1) 何に書くのか(ファックス原稿用紙)/ (2) 縦書きの時/ (3) 横書きの時/ (4) 連絡など
- 3 手書きには、力強さ、柔らかさ、頑固さがある
- (1) 鉛筆書き手書きへのこだわり/ (2) 鉛筆の濃さは「B」
- 4 春休み、辞書を引き、学級通信の名前を探す
- (1) 自分の好きな言葉を選ぶ/ (2) 辞書を引く/ (3) 書籍を参考にする
- 5 学級通信の紙のサイズはB4横一枚
- (1) Bサイズの良さ/ (2) 裏表印刷/ (3) 紙のサイズにもこだわれ
- 6 文章と写真
- (1) 保護者が喜ぶ「写真」/ (2) 写真は載せない/ (3) 多目的の学級通信で量産
- 7 学級通信の書き出しをどうするか
- (1) 伝えたいことが一文で分かる書き出し/ (2) 「おや? 何のことだ」と思わせる書き出し/ (3) すぐれた文章を読む
- 8 学級通信は誰に向けて書くのか
- (1) 学級通信は、誰に読んでもらうのか/ (2) 同僚に読んでもらう
- 9 学級通信のチェックをどうするか
- (1) 学級通信のチェック/ (2) 教頭に見てもらうことで/ (3) 同僚に見てもらう
- 10 学級通信を発行するペースをどうするか
- (1) 一学期に五〇号、年間一〇〇号を目標にする/ (2) 一学期が勝負/ (3) 何のために学級通信を書くのか
- 11 文体をどうするか
- (1) はじめはとにかく書きまくった/ (2)「常体」と「敬体」を区別する/ (3) 「主語」と「述語」を意識する/ (4) 向山氏の豊かな文体
- 12 連絡事項はどうするか
- (1) 連絡は欄外に書く/ (2) 連絡事項は何度も載せる
- あとがき
はしがき
「毎晩、娘と学級通信を読んでいます。学級通信を通して子どもとクラスのことを話し、我が子がどんなことを考えているのか知ることができます。ありがとうございます」
保護者からいただいた手紙の一文である。
学級で子どもたちが特定の子に「あだ名」を付けバカにしているという事件があった。
クラスでどんなことが起こっているのか。そのことについて担任は何をしたのか、生徒たちは、そのことについてどんな風に思っているのか、担任は何を考えているのか……。B4のファックス原紙に六枚ほどの学級通信を発行した時にいただいた手紙である。
学級で起こっていることを保護者にも知ってほしいと思った。
学級というのは問題の集合体で、毎日何か問題が起こっていること、その問題は、時に取り上げられず、見過ごされていくようなものもある。
知らないのは学級担任だけ、ということもある。あとから知ることもある。
その事件一つ一つに意味があり、それを受け入れ、克服していくことで一人一人の生徒も学級も、そして担任自身も成長していくということを知ってほしいと思った。
保護者の多くは、我が子の態度や言葉に悩むこともある。我が子が、なぜこんなことをするのか理解できない時もある。そんな時にその現象の意味を私なりに伝えることもあった。
生徒たちの態度や行動や言動からは、読み取れない思春期の生徒たちの心のひだに触れ、現象の意味を知りホッとする保護者も多かった。
保護者と共に、生徒の成長を願う大人の一人として、私は学級通信を書き続けてきた。
教師になってから毎年一〇〇号を越える学級通信を書き続けている。
少しずつ保護者から感想をもらえるようになってきた。
生徒たちの起こす様々な事件・日記から、生徒と共に保護者も学級も、そして教師自身も成長するチャンスをもらっている。その様子を伝えてきた。
生徒の成長を知り、保護者も共に成長する。
同時に学級も教師も成長できる学級通信の書き方・出し方、少しでも今後の教師人生にお役に立てることを祈っている。
/垣内 秀明
本の中では活字になっていますが、
垣内先生のあったかさは充分伝わってきます。
それでも、垣内先生から手書きの学級通信を直接見せていただける
幸せを感じました。
まだまえがきとあとがきしか読めていませんが
「がんばって学級通信書くぞ」という気持ちになれる本です。
しかし、ここまで書き続けたことはありませんでした。
生徒の起こす様々な事件に振りまわされ、事件の意味など考えたこともありませんでした。
この本のお陰で、生徒と過ごす日々の視点が見えてきました。生徒との関わり、生徒同士の関わりを学級通信に綴ってみたいと思いました。
また、保護者から寄せられた感想や手紙にも圧倒されました。学級通信ってすごいんだなと感じました。
私も再び学級通信を始めようと思います。
中学生を担任する一人として、大変勉強になりました。
何を言っても動かない。言えば言うほど文句が返ってくる。「うざい」「きもい」「つかれた」が口癖で、話にならない子どもたちの姿をどうとらえ、家庭に現象の意味をどう語るのかとても参考になりました。
教師が辛抱強く関わり続けると、どんな生徒も可能性を持っていて、教師がそれを信じて学級通信を書き続ける。
そんな姿が目に浮かんできました。
また、保護者から寄せられた手紙や感想にも圧倒されます。「教育は手品じゃないから」という言葉が印象的です。地道に関わり続け、書き続けることで、保護者も生徒も成長してゆくことを学びました。
私も、再び学級通信を書き始めようと思います。