- まえがき
- 1 子どもを動かす言葉の心理作戦
- ■サブ・ゴールの効果
- 1 読書目標は,10冊,30冊……とだんだん目標を上げよ
- 2 まず,本人の達成しそうなサブ・ゴールまで下げよ
- ■心理目標の原則
- 1 「はがき」を1人4枚出してもらうには割り算で示せ
- 2 47都道府県名を覚えてもらうには6等分せよ
- ■フット・イン・ザ・ドアの効果
- 1 動かない子は,「フット・イン・ザ・ドア法」で動かせ
- 2 長距離走の距離は,はじめは短めにせよ
- ■ドア・イン・ザ・フェイスの効果
- 1 まず,無理な目標を提示せよ
- 2 家庭学習時間も,まず,無理な目標を提示せよ
- 2 やる気を育てる"ニンジン言葉"の効果
- ■宣伝効果
- 1 目標は,みんなの前で発表し,「宣伝効果」を生かした掲示をせよ
- 2 夏休みの目標は,夏休み前と登校日に発表させよ
- ■目標への接近勾配の法則
- 1 終わりに近づけば,「ラスト○問」と言え
- 2 草ひき作業,「後3分で終わり」と言え
- ■報酬効果 31
- 1 漢字テストは「目標+ほうび+具体的な方法」で行え
- 2 読書も「目標+ほうび」で行え
- ■ピグマリオン効果
- 1 子どもに期待の声をかけれ
- 2 「○○の得意な△△さん」と言い続けよ
- ■権威ある第三者の言葉効果
- 1 「禁煙教育」に権威者の言葉を登場させよ
- 2 ほめるとき,校長先生・教頭先生を登場させよ
- 3 効力・効果の出る強迫的言葉
- ■肩書き効果
- 1 成長を見つけ,プロに任命せよ
- 2 子どもの好きなことでプロに任命せよ
- ■締切り効果
- 1 夏休みの提出物は締切日を分割せよ
- 2 問題ではなく,「タイム締切り」をせよ
- 3 前もって「締切日」を言っておけ
- ■失敗効果の原則
- 1 失敗談を語れ
- 2 時にはわざと失敗せよ
- ■制限効果の原則
- 1 帰りまでの時間があまりないとき,制限効果を生かせ
- 2 連絡帳を点検する時間のないときも,制限効果を生かせ
- 3 「制限点」で,ある合格点を示して,ノートをていねいにさせよ
- ■威光効果
- 1 努力の大切さをスポーツ選手の話をして教えよ
- 2 著名人は,こうしていると話せ
- 4 モノやタッチも"有効な言葉"
- ■道具の動機づけ効果
- 1 新学年には新しい道具を購入させよ
- 2 新しい道具の効果的な使い方を教えよ
- ■握手の効果
- 1 学級開きのとき,積極的に握手を取り入れよ
- 2 帰りのときも,握手して別れよ
- 3 テストを返すときにも握手せよ
- 5 競争心をモトデにする言葉
- ■天の邪鬼心理の原則
- 1 「天の邪鬼心理」を生かして本を紹介せよ
- 2 算数プリントをたくさん配って,「1枚しかしない」と言え
- 3 「四字熟語カード」の紹介の後,「さわっては駄目だよ」と言え
- ■同調性の心理
- 1 「マイナスの同調性の心理」が現れたとき,第一声が勝負
- 2 「プラスの同調性の心理」が現れたとき,その場で広げよ
- 3 「同調性の心理」を生かした指名の追い込みをせよ
- ■成功体験の効果
- 1 なわとびはスモールステップで跳べるようにせよ
- 2 テストでトップを取れば,人はガラッと変わる
- 6 選ぶチャンスで育てる言葉
- ■前提情報の効果
- 1 選出の前に「前提情報」を与えよ
- 2 「前提情報」を与えてから,子どもたちに決めさせよ
- ■印象表現の原則
- 1 名前を先に言って,結果を後に言え
- 2 名前を先に言って,評価を後に言え
- ■前提すりかえの原則 76
- 1 国語がいいか,算数がいいかと言った後,どちらにすると聞け
- 2 グリーンピースと肉,どちらを食べると言え
- 3 雑巾,それとも掃除機,どちらがいいと聞け
- 7 スキンシップのある言葉
- ■接触回数の効果
- 1 学級通信に保護者感想欄を設けよ
- 2 気になる子には接触回数を増やして親しくなれ
- 3 夏休みは「読書はがき」で接触回数を増やせ
- ■援助途中終了の原則
- 1 国語辞典の引けない子には,載っている頁まで援助せよ
- 2 補助数字をまあるく囲むところまで援助せよ
- ■繰り返しの効果
- 1 子どもの名前を繰り返して呼び,距離感を近づけよ
- 2 同じ言葉を繰り返して算数好きにせよ
- ■残存効果
- 1 「悲観的な見方」→「楽観的な見方」という順に話しかけよ
- 2 通信簿の所見は,マイナス面を書いてもプラス面で終われ
- 8 ダレた教室を引き締める言葉
- ■予告の効果
- 1 終了時刻の「予告」で集中力を高めよ
- 2 「予告」してから授業をはじめよ
- 3 行事の予告をして,子どもに期待をもたせよ
- ■ゼルガニック効果
- 1 時には,計算ドリルをわざと途中でやめさせよ
- 2 「ゼルガニック効果」を生かした授業をせよ
- 9 子どもに自信をつける言葉
- ■プラスの観客効果
- 1 「学習発表会」は練習で自信をつけさせよ
- ■強調の法則
- 1 公式は,丸暗記させるのではなく,覚え方を考えさせよ
- 2 濃く太く書かれている言葉は大切だよと強調せよ
- ■暗唱の効果
- 1 持ってくるものは,全員書いた後,もう一度読ませよ
- 2 アウトラインを忘れないように,最後にもう一度読ませよ
- あとがき
まえがき
「学級崩壊」がマスコミに取り上げられ,大きな問題になっている。
この「学級崩壊」に打ち勝つには,向山洋一先生が述べる,教師の「知的な授業」と「統率力」が必要である。
その二つに,さらに心理学のアプローチがあればなお強固になる。
心の動きを知った上で子どもに対応することができるからである。心理学を応用すれば,学級面ばかりでなく,知的な授業にも生かせるのである。本書は,その意味も込めて書き上げたのである。
本書の特徴は,つぎの3点である。
1.まず,「心理学用語」の説明を具体例をあげて行った。
2.次に,その現場での応用例を2,3例入れた。
3.各心理学のエキスごとに3頁でまとめた。
<1について> 心理学と言えば,得体の知れないわかりにくいものという印象がある。
それを,身近な例をあげることで親しみやすいものにした。
<2について> 教室での応用例を「追試」できるように,できるだけわかりやすく平易な文章で描写した。
<3について> 各心理学のエキスごとに3頁にまとめたことにより,読者諸氏の関心のあるところなら,どこからでも読めるようにした。
本書が学級を統率する一助になれば,望外の幸せである。
2000年5月 /柏木 英樹
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- 明治図書