- はじめに
- 神様が国土を生む日本神話 万物に命を感じた古代人
- 楽しい日本神話 八岐の大蛇の尾から出てきた三種の神器
- 神様でさえ働く勤勉な日本人 西洋人にとって労働は罰
- 世界最古の縄文土器文明 土器の発明は味覚革命
- グルメでおしゃれな縄文人 遠くから舟で運んだヒスイ
- 縄文都市三内丸山 巨大建物・大人数の定住
- 森の文化を守り稲作文化をつけ加えた日本人 *日本にはげ山がない理由
- 弥生人の高度な土木技術 ミリメートルの段差をつくる技術
- 生きた文化遺産・伊勢神宮 古代の伝統を継承・素朴な美しさ
- 神様も仏様も共に生きる国日本 共存共栄の知恵が人類を救う
- 対等外交を行った聖徳太子の気概 大帝国隋と対等に渡り合う
- 古代人の技がさえる世界最古の木造建築法隆寺 *2000年のヒノキを生かす
- 日本人の誇りを示した世界一大きい奈良の大仏
- 自然に逆らわない日本建築の強さ 自然を受け入れ自然を生かす
- 身八口は着物の通気孔 なぜ着物をつくったのか
- 世界最古の印刷物は日本で刷られた なんと100万部も印刷
- 日本の成功を支えた留学の伝統 学びじょうずの日本人
- 遣唐使は買い物旅行 大量に書物を買って徹底的に勉強
- 和魂漢才・菅原道真の遣唐使廃止の意義 *日本の心を失うべからず
- 世界で最古の小説『源氏物語』 平安朝は世界史上最高の文明
- 百人一首で日本の伝統文化を受けつぐ 和歌の前の平等
- 日本人の美学をつくった『平家物語』 *恥を知る・名を後世に留める
- 日本を救った英雄北条時宗の胆力 元の侵略に敢然と立ち向かう
- 元寇における鎌倉武士の奮闘 暴風が吹いたのは武士の奮闘のおかげ
- 短期間で高めた鉄砲づくりの技術 *なぜ日本だけ大量生産できたのか
- 世界一美しい日本の花火 鉄砲を捨てた日本人は花火をつくった
- 浮世絵は日本が誇るべき芸術 美人画はアイドル写真
- 世界で大人気日本アニメは現代の浮世絵 *ヒーローは日本アニメから
- 漆はジャパン 古代から漆を使いこなしていた日本人
- 速い情報の秘密は世界最大の望遠鏡 大坂から江戸まで8時間
- オランダ人も感心した清潔な台所 豊かな水に恵まれた岩清水の国
- しょうゆはフランス王の宮廷料理のかくし味 *昔から世界の調味料
- 日本独自の精密技術でつくった和時計 * 江戸時代の高度な機械技術
- 西洋人もまねできない刀づくりの優れた技法 *鍛えて焼きを入れる
- 江戸は世界一水道の発達した大都会 暮らしやすかった江戸の庶民
- 寺子屋で世界一高い識字率 江戸時代ほとんどの農民は字が読めた
- 江戸の本づくりは世界一 昔から読書好きの日本人
- 数学は江戸の庶民の手軽な娯楽 天才数学者関孝和により和算が発達
- 努力と工夫の人二宮尊徳 今も受けつぐべき大切な心
- イギリス人もびっくり正確な伊能忠敬の地図
- 黒船を見たとたんつくったのは日本人だけ *なぜ自作できたのか
- 植民地を防いだ情報力と判断力 白人の手の内を読んでいた日本人
- 伊藤博文の日の丸演説・誇るべき廃藩置県 武士の自己犠牲
- 福沢諭吉・独立自尊の精神 国の独立は学問をした個人の独立から
- 世界の流れをかえた日露戦争 白人による世界制覇を防いだ日本人
- 人種差別撤廃の先進国日本 有色人種の星日本人の画期的な提案
- 日本は世界一の発明国 特許世界一が示す日本人の独創性
- 参考文献
はじめに
数年前,私の友人が,外国で日本語学校の講師をしていました。好奇心旺盛なおじさん生徒に日本の文化について細かいところまで質問され,答えられないことが度々あり,泣きたくなると言っていました。
日本語を知っているだけではだめで,日本の文化について深い理解がないとそのおじさんたちを満足させられないというのです。
そう言われてみると,私たちはどれだけ日本の文化を外国の人に語れるでしょう。国際化の進展に対応する教育は大きな課題の1つです。異文化理解を進めようとすれば,当然自国文化をもっと理解していなければなりません。
日本という国を外国の人たちに分かってもらうためには,もっと日本の文化をよく知らなければなりません。そのためには,日本の歴史の勉強が必要です。
私は,子どもの頃から歴史が好きでした。人間の行動に興味があったので,歴史人物の行動がおもしろかったのです。
学生時代に司馬遼太郎に出会い,ますます歴史が好きになりました。司馬遼太郎の作品は,歴史人物に対する温かいまなざしがあり,血沸き肉踊るものです。だから,読んだ後,何ともいえず元気が出てきます。司馬遼太郎の作品を読み始めたらおもしろくて止められず,気がついたら夜が明けていた,ということも何度かあります。
また,渡部昇一氏や樋口清之氏の作品にも私は励まされました。彼らは,日本人のすばらしさを歴史上の事実を通して鮮やかに示してくれます。今まで曖昧にしか思っていなかった日本文化の意義を明快に説明してくれるのです。それを読むと,日本という国に生まれた喜びを感じます。
このような思いを子どもたちに少しでも味わってもらいたいという願いを込めて,この本を書きました。
日本の伝統技術や特質のすばらしさを伝えられるような内容をたくさん載せました。
また,日本人として,ぜひ知っておいてほしいすばらしい先人も紹介しています。
本書は,様々な形で活用できます。学級文庫として教室においておけば,調べ学習の資料になります。授業で発問という形で使ってもよいし,先生が適宜エピソードとして話してやるのもよいでしょう。
本書の企画の段階から,明治図書の樋口雅子編集長には適切なアドバイスをいただき,勇気づけられました。ありがとうございました。
2000年6月 /安住 順一
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- 明治図書