- まえがき
- 第1章 本当に今までの漢字指導法でいいの?
- 漢字は書いて覚えるもの?
- 先生の自己満足なのでは?
- 宿題はどうやっているのかな?
- 子どもたちの迷いを見つめましょう
- 従来の書かせる学習法からの転換
- 読みの指導をしていますか?
- 授業で読みの実力がわかりますか?
- 宿題の定番「音読カード」で読む力が付きますか?
- 第2章 読み書きが苦手な子どもへの漢字指導の手立て
- クラスにいる苦手さのある子への目線
- 苦手なのには理由がある
- 子どもをとことん観察しよう
- 教師の理解の範囲外に苦手さは存在する
- 不得手さを補うには指導の工夫が必要
- 合う方法を見つけたら、最低限の努力はさせるべき
- 苦手さのある子に合わせた指導方針をもつ
- 鉛筆を持たない、書かない指導がある
- 下学年に戻って復習する必要性
- 家庭学習を別メニューにする時期があってよい
- 「できた!」の自信が何より大事
- 第3章 全員参加!全員熱中!大盛り上がりの漢字指導の「しかけ」
- 4年生以降にがくんと落ちる漢字習得
- クラスみんなで「助け合い・教え合い・学び合い」
- 教師も「発見・納得」がいっぱいの漢字学習を楽しもう
- 教師のつぶやき指導法
- 漢字を個人の学習にしない、みんなで盛り上がろう
- 学習を盛り上げる「しかけ」を練る
- 〈低学年のしかけ〉漢字のルール発見・成り立ち調べ
- 〈中・高学年のしかけ〉班の活用・競い合い
- 〈中・高学年のしかけ〉ひいきじゃない特別扱いの「みっち班」
- 〈中・高学年のしかけ〉すきま時間で「漢字集めゲーム」
- 〈中・高学年のしかけ〉使う力がアップする「聞き取り漢字作文」
- 〈高学年のしかけ〉語彙力がアップする「熟語加点システム」
- 〈全学年のしかけ〉 好奇心をくすぐる「漢字クイズ」
- 〈全学年のしかけ〉ドキドキ感をもたせる「まちがいの伝え方」
- 〈全学年のしかけ〉やる気がアップする「がんばり度」
- みんなが伸びる!みんなで伸びる!
- できたらいいな……全校統一方式の漢字学習
- 第4章 「書く」指導のために知っておきたい漢字のしくみ
- 漢字は「部品」でできている
- 漢字にはカタカナがいっぱい
- カタカナの形がちょっと変化して、名前が付いてる
- 偏になるには規則性がある
- 偏になる規則の例外だけをインプットする
- 書き順には規則性がある
- 書き順通りに唱えれば正確に書ける
- 部首の書き順で例外は五つだけ
- 第5章 「読む」指導のために知っておきたい漢字のしくみ
- 読めない原因に「ひらがなの連続・つながり」
- 訓読みは楽だが、送りがなに注目
- 読めない原因の多くが「音読み」にある
- 音読みはカ行・サ行に集中している
- 同音で大混乱、音読みの指導時期が悪い
- 音読み一つを覚えればよい
- 漢字を読むための秘策「漢字のタイトル」
- 音読みは親密度の高い熟語とセットで覚える
- 教科書の巻末はすごい!
- 「これまでに習った漢字」一覧表の活用術
- 新出漢字の時に「音訓セット」で覚えよう!
- 二つある音読みは、代表音読みから覚える
- 教科書に惑わされてはいけない
- この先、中学・高校で習う漢字をみすえよう
- 第6章 読み書きが苦手な子どもへの指導ポイント
- 最初のポイントは「カタカナ」の導入
- 書き順は、初登場の基本漢字と部品の中でおさえる
- 初登場の部品は名前と形をおさえる
- 取り組みやすい字から覚えていく
- 第7章 「混乱・迷い」を正す覚え方の具体例
- しきがまえとほこがまえの形と区別
- ほこがまえの書き順
- ほこがまえの字がいっぱい
- 特別な書き順はほんの少し!
- 「しめすへん」と「ころもへん」
- ひつじ
- 「宮」と「官」
- 衣の下と長いの下
- たて、よこ、何本?
- こんな部品も作っちゃいました
- 微妙に間違える字もいっぱい
- 思い出せない字もいっぱいあるよね
- 部品の意味から多くの漢字が結びつく
- あとがき
まえがき
私には今、とっても伝えたいことがあります。「漢字は書いて覚えるものだ」と思い込み、苦行のように子どもたちに漢字を書かせる多くの教師や大人たちに言いたい!
子どもたちは漢字学習が大嫌いになっています。書いて覚えられる子はほんの一握り。一方で、読み書きが極端に苦手な様々な特徴をもつ子どもたちが苦しんでいます。学校教育のどこかでつまずいて学習をあきらめぎみの子たちも悩んでいます。それを「努力が足りないからだ」と叱咤激励して無理やりやらせているだけでいいのでしょうか。
日本人として学ぶことの第一歩は漢字の読み書き。避けては通れない学習課題です。そこで「漢字はおもしろい。簡単に覚えられるよ。あきらめないで!嫌いにならないで!」と伝えることの重要性と指導法を、固い頭を柔らかくして、自分がやってきた方法にとらわれずに、知ろうとしてください。
漢字学習から知的好奇心を大いに刺激して“学ぶ楽しさ”を知ることができます。読み書きに自信がもてたら、様々な所で受信・発信ができるのです。そして、興味・関心が広がります。それは一人一人の努力に任せるだけでなく、友達と一緒に楽しんで、助け合い学び合って、達成できるのです。そのことを学校教育の中で気づかせてあげてください。漢字嫌いな子たちを、学習をあきらめぎみの子たちを、漢字学習で復活させてください。
私は教師でした。長い間盲学校に勤めていて、そこでは通常の指導法にとらわれない個々に合った学び方が必要でした。その中で盲児への漢字指導に挑戦し、15年の歳月をかけて徹底的に漢字のしくみを調べ上げ、中学校までの漢字教材を完成させました。その結果、漢字学習の最も弱者である視覚障害者がわかりやすく学べるようになったのです。
その後小学校に転勤となり、漢字学習を嫌がって逃げ回る子、どんなに努力しても覚えられない子など、漢字の読み書きにつまずいている多くの子たちに出会いました。そこで「小学校6年間を見通した指導法、義務教育9年間をつなげる学習法」で友達と一緒に楽しく学んだ結果、多くの子たちが「学ぶ楽しさ・知る喜び」に目を輝かせました。
退職後、この学習法と経験を先生たちに伝えたいと各地を回っています。しかし、伝える機会や伝えられる内容は限られています。この本を出版することにより、新しい漢字学習法をさらに広く知ってもらうことが可能になります。「目からウロコの学習法だ!これだったら漢字を楽しく学べそうだ!漢字大好きな子どもを育てられそうだ!もっと知りたい!」と漢字学習法の転換を図っていただけることを願っています。
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