- まえがき
- 一 子育て期の授業術:基礎基本の力をどの子にもつけたい 安定感のある、無理のない授業を続ければ大丈夫
- 1.予定より三時間早目の進行を常にキープしよう。
- 2.どんな時もチャイムが鳴ったら授業をやめる。この一点だけで勝負しよう。
- 3.勉強ができるようになる、努力できる子を鉛筆五本で育てよう。
- 4.本をそろえ、追試できそうな情報さえ集めれば、どんなに忙しくても授業は八割大丈夫。
- 5.プリントよりノート。いつでもノートで子どもに力をつけよう。
- 6.学期の終わりには、漢字・計算テストをして、自分の指導の評価をしよう。
- 7.基礎基本徹底システム・音読
- 8.教科書が一番。教科書で子どもに力をつけよう。
- 9.低学年は、教科別、一時間のパターン化。高学年は、単元を通して学習のやり方をパターン化して、授業を安定させよう。
- 10.宿題なし。大事なことは全部授業でしますからと思いきって宣言しよう。
- 二 子育て期の学級経営:大事なことだけ、続けてやれば大丈夫
- 11.独身時代から子育て期へ、シフトをかえよう。
- 12.一人一人名前を呼んで、声をかけ、微笑いかけよう。
- 13.向山先生のように、びっくりして、感動して、本気でほめよう。
- 14.ほめるために、あの手この手を工夫しよう。
- 15.あたり前のことが、あたり前にできることだって、いっぱいほめてあげよう。
- 16.朝の会では、テキパキ連絡、帰りの会では、あっさりさよなら。
- 17.親は味方。親と闘ってはダメ。
- 18.一人一人に明確な仕事をつくって、きちんと確認。軌道にのせよう。
- 19.子どもが何かをする時には、必ず理由がある。子どもの気持ちによりそって、いつも同じ対応をしよう。
- 20.月ごと、集中キャンペーンで男女仲良しクラスをつくろう。
- 三 やっぱり教師 育児中もちょっぴりがんばれ修業術
- 21.やりたいこと・なりたい自分と正直に向き合おう。させられていると思う心は、ちっとも元気にならない。
- 22.研究授業からは、逃げない。今より授業が下手にならないで、現状維持の五つの方法
- 23.いつそのことをするか、時間を考えて予定をたてよう。
- 24.ノート作りこそ、修業の始まり。書いて、書いて、思いつきを作り出そう。
- 25.本当のことを話して、自分を応援してくれる人を大事にしよう。
- 26.我が子の保護者会は、大いに利用しよう。
- 27.賢い時間の使い方、子育て期にもってこいの修業だね。
- 28.一人になってゆっくり歩こう。そんな時間でリフレッシュ。それも修業のうち。
- 29.今しかできないことだけに夢中になろう。
- 30.教師をやめない覚悟なら、やっぱり本は読み続けよう。
- 四 さわやかに仕事をこなし、前向き元気の仕事術
- 31.時間の中で仕事をし、時間がきたら仕事をやめよう。
- 32.仕事の内容を分類して、いつやるか決めよう。
- 33.こまごました仕事を、ざっとでいいから片付けよう。
- 34.自分のしたい授業のことは、無理してもやってみよう。
- 35.我が子が病気になったら、自分も休もう。
- 36.工夫ある知恵ある仕事で、時間を手に入れよう。
- 37.毎日の自分の動きに、マニュアルをつくろう。
- 38.一枚の紙の中に、欲しい情報を全部入れよう。
- 39.情報が集まる所には、しっかり時間をかけよう。
- 40.自分にとって大事な楽しみから、予定に入れよう。
まえがき
私は教師になりたくても、採用試験に合格できず、四年間静岡で、一年間横浜で講師をした。
教師にもなれないのに、結婚し長男を出産した。二十九歳でやっと、東京で新採として教壇に立ったが、すでに三歳の子持ち、子育て期の女教師だった。その上、新採研修の途中で、冬には二男を出産し、一年間育休に入った。
一度目の育休は、人生初めてのイベントで、心が不安定でピンチだった。二度目の育休あけは、もっとピンチで、二か所の保育園に別々に子どもを預けることになり、時間に追われた。
それでも、なんとか無事仕事を続けられたのは、とりわけクラスの子ども、職場の同僚、私のかわりに子育てしてくれた保育園の先生達、のおかげである。励まされ、許され、甘えることで乗り越えてきた。本当に感謝である。
また、忙しい母に振り回された我が子も自ら育ち、父親、我が夫ももはや、家のことをしない日はない、といったような時が山のようにあって、思えば季節が、知らぬまに通り過ぎた。
多くの先輩、女教師がそうであったように、私も人並みに仕事と子育てをうまくやろう、なんとかやろうと、あせり、悩み、それでもたくましく生き延びた。両親も遠く、自分のかわりをする人がいない中で、仕事と子育てよくやったなと思っている。
そんな子育て期ではあったが、教師になった頃からずっと興味を持って追っかけをしていた「向山先生の授業実践・教育技術の法則化運動」にも、まだ未練があった。「授業の上手な先生になりたい」という、遠い憧れから、ただの忙しいだけの母さん先生には、なりたくなかった。
友達と二人で作ったサークルも、なんとか続けたし、本も読み続けた。
毎日、授業の準備をすることをやめたら、この仕事はおもしろくない、無理して続ける意味もない。子どもに力をつけられない教師でいたら、かっこよくない。私は頑固に二十代のまま思い続けていた。
それを知ってか、我が母は、
「教師ともあろうもの、自分の子どもが人様の迷惑になったら、すぐ教師なんてやめなさい。自分の子もちゃんと育てられないのに、偉そうに、親はあなたを信用するはずもない」
と、そう言った。早い話が「教師の子育て失敗は、説得力がない、見苦しいからやめなさい」という忠告だった。
片手に、大事な息子が二人。
片手に、ずっと憧れている授業の上手な教師
私は、そのどちらもしっかりつかんだまま、十年間、保育園への送り迎えを続けた。
そのために、時間を大事に使い、うまく仕事をこなし、大事な所にはエネルギーをさき、元気に暮らすことが、何より大事だった。この本はそんな、ささやかな知恵のかたまりである。
私は、子育てをするという貴重な体験を、本を読みながらという知性にのせて、楽しんでみたかった。
子育て期の教師ではあったが、今、出会っている子ども達と知的な授業とあたたかい人間関係をつくりたかった。
子育て期の女教師のみなさん、頑張っている多くの女の先生達。少しでも元気に、明るく、自分の大好きな仕事と自分と家族に、役立つ情報がこの本にあったと言われたら嬉しいです。
/大場 寿子
本音の部分が感じられてよかったです。私もまた頑張ろう。という気になってきました。もう一回読みます。