- はじめに
- 刊行にあたって
- T よくある親からの苦情
- 1 消しゴムを取られたり、ノートにいたずら書きされています
- 2 図工の持ち物など、急に言われてもすぐには用意できません
- 3 先生が怖くて学校に行きたくないと言っています
- 4 連絡帳に書いてある字が読めません
- 5 放課後に遊んでいて、カードを取られたようです
- 6 我が子の成績、納得がいきません
- 7 宗教上の理由で行事に参加できません
- U 友達とのトラブル
- 1 仲間はずれにされたと、泣いて帰ってきました
- 2 けがをさせられたのにそのまま帰ってきたのはなぜでしょう?
- 3 遊ぶ友達がいないようで心配です
- 4 席替えをしてほしいのですが…
- 5 身体的な悪口を言われて泣いています
- 6 うそつきとずっと言われ続けています
- 7 陰で友達に命令されています
- V 学習の相談
- 1 音読のたどたどしさに愕然としました
- 2 九九を覚えきれていないようです
- 3 宿題がやりきれないのです…
- 4 毎日、日記に書くことがありません
- 5 体育が嫌で、朝おなかが痛いと言い出します
- 6 図工の仕上がりが遅れているので困っています…
- 7 水泳を嫌がっています。休ませてもいいですか?
- 8 感想文の宿題が出ていますが書けません
- 9 夏休みの宿題ができていないのですが…
- W その他の相談
- 1 給食が嫌だと言っています
- 2 学校の学習が分かっていないようです
- 3 教科書が見当たりません
- 4 用がありますので早く帰してください
- 5 家の中に買った覚えのないカードがあります
- 6 離婚するのでしばらく不安定になるかもしれません…
- 7 やる気がなく、親にあたりちらします
- 8 漫画ばかり見て読書や宿題をしません
まえがき
家庭と学校を結ぶ連絡ノートがあります。低学年、とりわけ、入学した翌日から、一学期の間はたくさんの連絡ノートが届きます。
それらの中には、子供の欠席届や病気のこと、教科書がなくなったこと、友達とのトラブルまでさまざまなことが書かれてきます。とりわけ厄介なのが、教師の指導不足、配慮不足からくる親からの苦情です。このような問題の連絡帳に出合うと、私も朝からすっかり落ち込みました。考え込みました。授業しながらも、
「あ……どうしよう。どう返事を書けばいいんだろう。このお母さんの苦情はどう解決したらいいだろう。まず、何をしたらいいのだろう」
と悩みました。悩んだあげく、やっと時間を見つけて返事を書くと、また次の日には、もっと長いお返事をいただくこともありました。そのうち、私は
「連絡帳に書かないで、すぐ電話してみよう」
「そうだ、こう書けばおうちの方も安心するだろう」
というような、知恵、工夫、書き方のノウハウを見つけてきました。おかげで今では、連絡帳でおうちの方とトラブル、というようなことはすっかりなくなりました。また、そのような連絡帳が届いても、あわてないで冷静に対応できるようになったのです。
この本には、そのような連絡帳の返事の書き方、問題がおこった時の子どもへの指導の原則、手順を丁寧に書きました。それが教師の指導事例編です。
(こちらは、外川さんが担当して書きました。私の16年もの教師友達です)
また、私が親になり、1人の保護者となると、なぜそのような苦情を教師にしたくなるのか少し分かるようになりました。
「先生がもうひとこと、我が子に声をかけてくれたなら」
「先生が、もう少し、詳しく保護者会でこのことについて、話してくれたらもっと、先生のことを信頼するのに」
と思ったものです。親の本音がとてもよく分かったのです。
そのような親の本音、親の気持ちが分かることは、自分が担任してみると、大変な武器になったのです。
「教師がそのように言っても、お母さんだって家でそこまで勉強を助けることなどできないだろうな」「持ち物は、早めに言ってあげないと準備ができなくて困るだろう」
これらのことが、分かると、子どもにも親にも小さな配慮ができました。それが、きっかけとなり保護者から信頼されたのです。
そのような親の気持ち、意見をまとめたのが、親のホンネ編です。
(こちらは、私が担当して書きました)
どうか、保護者会、個人面談、親からの相談に活用してみてください。
これからの教師は、個人の力量がいつでも試されます。保護者から信頼される教師になれるかが、最大のテーマです。
授業が楽しく、おもしろく、基礎学力をしっかりつけてくれる先生を親たちは望んでいます。
そうして、できれば、自分の子どもの悩み・相談に明るく、頼もしくのってくれる先生ならもっとうれしいはずです。
親からの苦情や、連絡帳でのお願いをもらったときこそ、
「よくあることだ、いい機会だ、これでまたうまくいけば、親が味方になってくれる」
そう信じて、この本を活用してくださると、うれしいです。
教師であること、親であることに真剣である方に読んでもらえたらうれしいです。
/大場 寿子
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- 明治図書