- はじめに
- T章 プロの学級経営の条件とは何か
- §1 プロの教師とは
- 1 教師はプロであることを自覚していますか
- 2 プロ教師としての力をつけていますか
- 3 自己の教育活動をPDCAで自律的に改善していますか
- 4 自己研修を計画的に行い他者から学んでいますか
- §2 プロの学級経営への取り組みのポイント
- 1 学級経営の方針をはっきりさせていますか
- 2 学級経営案を作成して意図的・計画的に経営していますか
- 3 子ども理解と人間関係づくりを積極的に進めていますか
- 4 わかりやすい楽しい授業を進めていますか
- 5 学校の教育課程に基づいて教育・指導を展開していますか
- 6 学年経営や専科教師との連携を円滑に進めていますか
- 7 保護者とのコミュニケーションづくりを工夫していますか
- 8 学校評価に積極的に参加しその結果を活用していますか
- 9 校務分掌の処理と遂行の責任を果たしていますか
- 10 学級事務を早めに確実に遂行・処理していますか
- U章 若手教師のための学級経営の基本10箇条
- §1 子どもに好かれ尊敬される関係づくり
- 1 子どもに好かれ尊敬される教師の条件とは
- 2 5つの条件を満たすための方策とは
- 3 予測しておきたい子どもの反応とは
- §2 学級の効果的な生活組織づくり
- 1 効果的な生活組織づくりの条件は何か
- 2 生活組織づくりの基本は何か
- 3 おすすめの対応のアイディア
- §3 学級生活で事故をださない工夫
- 1 学級での安全対策の進め方
- 2 各分野における教育と管理の実際
- §4 保護者との友好な関係づくり
- 1 保護者とのかかわりが難しくなった背景
- 2 保護者の思い
- 3 保護者対応の基本
- 4 保護者との友好関係づくりの工夫
- 5 教育への情熱を忘れずに
- §5 子どもの悩みや相談への対応の工夫
- 1 悩みは成長の糧〜『悩みは財産』〜
- 2 悩みや相談対応の前提〜『雰囲気』〜
- 3 悩みや相談対応の基本1〜『アンテナ』〜
- 4 悩みや相談対応の基本2〜『大人の論理と姿勢』〜
- 5 悩みや相談対応テク1〜『いつ どこで』〜
- 6 悩みや相談対応テク2〜『フォロー』〜
- §6 明るく居心地のよい教室環境づくり
- 1 教室環境とは
- 2 掲示物の工夫
- 3 潤いのある環境
- 4 居心地のよい環境づくり
- 5 教室環境づくりのポイント
- §7 素早い学級事務処理の工夫
- 1 学級事務処理のねらいとは
- 2 学級事務にはどのようなものがあるか
- 3 学級事務処理の工夫
- §8 学年や専科の先生との連携・協力の工夫
- 1 同学年や専科の先生との連携・協力することの意義
- 2 同学年や専科の先生との連携・協力の進め方
- 3 自分の課題を整理して指導を請うこと
- §9 信頼される校務分掌処理の工夫
- 1 若手教師が担う分掌,任かされる分掌
- 2 初任者・2年次教師の分掌処理の工夫
- 3 3・4年次の分掌処理の工夫
- 4 是非経験しておきたい分掌
- §10 つくりたい学級の姿を表現する学級経営案づくり
- 1 理想の学級をイメージする
- 2 個々の子どもの実態,集団としての機能の仕方をリサーチする
- 3 学級をつくっていく過程をシミュレーションする
- 4 学級経営案づくりの実際
- V章 若手教師の学級経営365日のキーポイント
- §1 初めの1週間の出会いづくりのキーポイント
- 1 「知る」「知られる」「知り合う」
- 2 初日は…
- 3 その後は…
- 4 一番伝えるべきもの
- §2 子どもが納得する席決め・席替えのキーポイント
- 1 席決めの意味
- 2 席順の持つ役割
- 3 発達段階に即したポイント
- 4 人権に配慮した席決めを
- §3 結束を固める学級の約束づくりのキーポイント
- 1 理想とする学級のイメージを共有化する
- 2 みんなの総意で学級目標をつくりあげる
- 3 「学級目標」の具現化を図る学級活動の展開
- §4 主体性を育む係活動編成のキーポイント
- 1 係活動スタートにあたって
- 2 係活動の実際
- 3 次の意欲につながる係活動の振り返り
- §5 一人ひとりが自分を出せる朝と帰りの会演出のキーポイント
- 1 一人ひとりが自分を出せる朝と帰りの会とはどのようなものか。
- 2 一人ひとりが自分を出せる朝と帰りの会にするために
- 3 一人ひとりが自分を出せる朝と帰りの会の指導の実際
- §6 楽しいクラスをつくる学級会指導のキーポイント
- 1 学級会をスタートさせるために
- 2 学級会を充実させるために
- §7 真剣に学ぶ授業の約束づくりのキーポイント
- 1 真剣に学ぶ授業
- 2 真剣に学ぶ学習活動にするために
- 3 子どもの身に付けさせたい学習態度
- 4 家庭との連携を図る
- 5 教師の指導力の向上こそ
- §8 コミュニケーションを深める休み時間・放課後活用のキーポイント
- 1 子どもたちにとっての休み時間とはどんな時間なのか
- 2 さあ,どんどん子どもたちと関わっていきましょう!
- 3 放課後は一番リラックスしている時間ですね
- 4 コミュニケーションを深めること
- §9 自主性を育む長期休業事前指導のキーポイント
- 1 どんな力を身に付けさせたいかを明確にする
- 2 自由研究をどのように指導するか
- 3 復習に自主的に取り組ませるにはどうするか
- 4 読書に親しませるにはどうするか
- 5 手伝いを通して家族の一員の自覚を育てる
- 6 コンクールに挑戦させる
- 7 学習を振り返る機会をもつ
- §10 成長を確認する学校行事指導のキーポイント
- 1 学校行事の特質を知ろう
- 2 学校行事の指導計画を立てよう
- 3 中心行事を見てみよう
- §11 個々の育ちの認め合い活動展開のキーポイント
- 1 個々の育ちの認め合い活動の意義
- 2 個々の育ちの認め合い活動のキーポイント
- 3 個々の育ちの認め合い活動例
- §12 1年間の振り返りを確かなものにするために
- 1 活動に当たって
- 2 学級活動 活動内容(1)
- 「忘れないよ5年2組集会をしよう」
- W章 若手教師の学級経営チェックの仕方・生かし方
- §1 集団分析法の仕方・生かし方
- 1 学級集団をどのようにとらえるか
- 2 チェックリストの活用の仕方・生かし方
- 3 学級集団を分析するための具体的なチェックリスト
- §2 学級の作品分析の仕方・生かし方
- 1 学級の作品をどのようにとらえるか
- 2 学級の作品をどのように分析するか
- 3 チェックリストの活用の仕方・生かし方
- 4 学級の作品分析をするための具体的なチェックリスト
- §3 映像記録の仕方・生かし方
- 1 映像記録にはどのような器具が活用できるか
- 2 映像記録にはどのような活用場面があるか
- 3 チェックリストの活用の仕方・生かし方
- 4 映像記録を生かすための具体的なチェックリスト
はじめに
子どもたちは,朝が待ち遠しく学校に向かい,楽しくわかり面白い授業を受け,友達や先生と思い切り遊び,かかわり,生活し,満足して家に帰る。
このような学校生活を子どもはもちろん,保護者や地域の人々も期待しています。保護者や地域の人々は更に,子どもたちの安全・安心のある学校生活を願っています。信頼される学校の姿です。
教師・学校は,子どもたちがこのような学校生活を送ることができるような学校経営,学年・学級経営を推進し,教育・指導を展開することに全力を傾けています。プロを意識する教師は,学校教育の信頼の確立に向けた確かな教育実践を示すことに自信と誇りをもっています。
今日,教育改革が次々と打ち出されています。各学校はそれらを具体化し,新しい時代を拓き心豊かにたくましく生きる日本人となる子どもたちの育成を目指した教育を進める使命を担っています。一人ひとりの教師が,その重みを受け止め,新たな教育を,意図的,計画的,組織的,継続的,発展的,そして徹底的に行い,その成果をしっかりと示し,説明していかなくてはなりません。それのできる教師・学校がプロの教師・学校と言えるでしょう。
一方で,子どもたちの学習や生活にかかわる課題は増大の傾向にあります。基本的な生活習慣の未熟,自然や社会体験の不足,切れたり暴力を振るう子どもの増加,学習意欲の不足などが,教師の一層の教育力・指導力の向上を必要としています。その背景には教育力が低下したり悪化したりしている家庭の増加,地域の教育力の向上の未だ不十分などが上げられます。様々な手だてが講じられつつありますが,これらを待っていたのでは間に合わないでしょう。プロとしての教師・学校がこれらも含めて教育の向上を担うときです。教師・学校の教育が核となり先端となるときなのです。
学級経営は,信頼され期待されると同時に,子どもたちに生じている諸課題が解決される学校教育推進の核となる教育の営みです。また,学校長の学校経営目標や方針,学校運営の指針,教育課程実施の方針,子どもの思いや願いと実態,保護者や地域の人々の願いや要望などをもとに経営案が立てられ,その案のもとに見通しのある教育,毎時の指導が展開されるものです。
本書では,これからの我が国の教育を担う若手教師が,学級経営をしっかりと行い,教育を実らせ,自信と誇りをもつプロ教師となることを期待し,学級経営に必要・十分な条件や配慮事項を取り上げています。
第T章では,プロとしての教師について,「自覚」「力」「評価」「研修」の視点から必要な資質・能力を論じています。また,プロの学級経営の取組のポイント10点を示してみました。これを評価項目,評価規準にして,自分の学級経営や教育力を評価してみてください。
第U章では,プロ教師に接近する若手教師のための学級経営の基本について10箇条を示しています。具体的な手だての姿を列挙していますので,そこから取り入れられるものをどんどん活用していただけたらと思います。
第V章では,学級経営365日のキーポイントとして,日々の学級経営上の指導のポイント,指導の工夫や配慮事項の実践例を豊富に取り上げています。日々の学級経営や指導において,困ったときなどにも活用してください。
第W章では,学級経営の評価とその生かし方について示しています。評価なくして改善なしです。チェックリストとその仕方・生かし方に学んで,学級経営を向上・発展させていきましょう。
本書の執筆者は,学級経営について実践を深め,確かな理論をもって子どもたちの教育に当たられた方々です。お忙しい中にもかかわらず,玉稿をお寄せいただきましたことに深く感謝いたします。
2005年10月 編者 /寺崎 千秋
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- 明治図書