- はじめに
- 第1章「子どもの主体性を伸ばす」とは
- 1 「子どもの主体性を伸ばす」ことの必要性
- (1) 社会の変化に応じた教育
- (2) 子どもたちに求められるもの
- 2 「主体的に活動する」とは
- (1) 「主体的に活動する」ための基盤
- (2) 主体性を支える『判断』や『意志』
- (3) 主体的に活動する場面のとらえ方
- 3 「主体的に活動する」子どもの姿
- (1) 「主体的に活動する」子どもの姿とは
- (2) 「主体的に活動する」子どもの姿の相互の関連
- (3) 障害の程度が重度の子どもの主体的に活動する姿
- 4 「主体的に活動する」ためには
- (1) 主体性の構造
- (2) 『判断』や『意志』の関係
- @ 『判断』の役割
- A 『意志』の役割
- (3) 主体性の構造の果たす役割
- 資料:『主体性の構造』に関する用語の定義
- 第2章 「子どもの主体性を伸ばす授業」とは
- 1 一人ひとりの「能力・適性」に応じた支援
- (1) 子どもの主体性を伸ばすために
- (2) 一人ひとりの「能力・適性」に応じた支援の必要性
- (3) 「能力・適性」を把握する視点
- (4) 「能力・適性」を把握する視点の作成
- @ 「能力」を把握する視点の作成
- A 「適性」を把握する視点の作成
- B 「能力・適性」を把握する視点の具体化
- 2 子どもの主体性を伸ばす授業の構想
- (1) 子どもの主体性を伸ばすための支援の立場
- (2) 子どもの主体性を伸ばす授業の構想の仕方
- (3) 一人ひとりの子どもが主体的に活動する姿
- @ 題材(単元)目標の具体例
- A 主体的に活動する姿の設定にあたって
- (4) 子どもの主体性を伸ばすための支援の工夫
- @ 題材(単元)計画
- A 学習活動
- B 学習環境・教師の働きかけ
- 第3章 実践事例
- [1] 進んで活動する子ども
- 〔小学部・日常生活の指導〕
- 机のふき方を理解させ,自分で机ふきに取り組ませる指導
- 〔小学部・日常生活の指導〕
- 献立表から今日の献立を見つけやすくする工夫をし,一人で係仕事をすすめさせる指導
- 〔小学部・日常生活の指導〕
- 半ズボンのはき方を工夫し,自分で腰まで引き上げさせる指導
- 〔中学部・日常生活の指導〕
- 廊下のモップのふき方を理解させ,自分で取り組ませる指導
- 〔高等部・作業学習〕
- 型枠の四隅に目を向けさせ,決まった仕方で作業を進めさせる指導
- 〔高等部・音楽科〕
- 鍵盤の押さえ方を理解させ,電子オルガンの演奏に進んで取り組ませる指導
- 〔高等部・作業学習〕
- 牛乳パックの切り始めや終わりを理解させ,自分でパックの解体に取り組ませる指導
- 〔高等部・作業学習〕
- 決まった回数や塗る箇所などを理解させ,決まった仕方で作業に取り組ませる指導
- [2] 楽しんで活動する子ども
- 〔小学部・算数科〕
- 一対一対応の学習に興味を持たせ,余りを理解させる指導
- 〔小学部・遊びの指導〕
- 的に興味を持たせ,的の方に手を向けてボールを投げ入れて遊ぶための指導
- 〔小学部・遊びの指導〕
- 乗る順番を理解させ,電車に乗って楽しく遊ぶための指導
- 〔小学部・遊びの指導〕
- 教師に目を向けさせ,教師とかかわって楽しく遊ぶための指導
- 〔小学部・遊びの指導〕
- 友だちに目を向けさせ,友だちと楽しく遊ぶための指導
- [3] 意欲を持って活動する子ども
- 〔小学部・遊びの指導〕
- 的や教師とのかかわりに興味を持たせ,自分からボールを投げて遊ぶための指導
- 〔中学部・生活単元学習〕
- 舞台道具からセリフを思い出させ,劇発表に取り組ませる指導
- 〔中学部・保健体育科〕
- 時間を意識させ・サーキットに意欲を持って取り組ませる指導
- 〔中学部・数学科〕
- 数の階段をイメージさせ,数の大小を正しく答えさせる指導
- 〔高等部・作業学習〕
- 作る相手を意識させ,最後まで作業を続けさせる指導
- 〔高等部・作業学習〕
- 作業の仕方を理解させ,意欲的に作業に取り組ませる指導
- [4] 自信を持って活動する子ども
- 〔小学部・算数科〕
- 数字から個数をイメージさせ,数字の数だけそろえさせる指導
- 〔小学部・日常生活の指導〕
- 絵表示やカギで学習場所を判断させ,自分で移動させる指導
- 〔小学部・遊びの指導〕
- 電車を止める合図の必要性を理解させ,合図を送って遊ぶための指導
- 〔中学部・生活単元学習〕
- 予算内での買い物の仕方を理解させ,クリスマスツリーの飾りを買うための指導
- 〔高等部・作業学習〕
- 作業の仕方とよさを理解させ,自信を持って作業に取り組ませる指導
- 〔高等部・作業学習〕
- 使う道具や刻印を打つ回数などを判断させ,自信を持って作業を進めさせる指導
- 〔高等部・作業学習〕
- 作業の仕方を理解させ,自信を持って取り組ませる指導
- [5] 責任を持って活動する子ども
- 〔中学部・生活単元学習〕
- 目的意識を持たせ,任された係の仕事に最後まで取り組ませる指導
- 〔中学部・日常生活の指導〕
- 仕事の大切さを意識させ,係仕事に取り組ませる指導
- 〔中学部・生活単元学習〕
- 役割意識を持たせ,お楽しみ会の準備に取り組ませる指導
- 〔高等部・作業学習〕
- 仕事の大切さを意識させ,作業を続けさせる指導
- 〔高等部・作業学習〕
- 自分の役割の大切さを意識させ,責任を持って作業に必要な物品の管理をさせる指導
- [6] 活動を工夫し,発展させる子ども
- 〔小学部・遊びの指導〕
- ブランコを大きくゆらす方法を工夫させ,箱を倒して遊ぶための指導
- 〔小学部・遊びの指導〕
- ボールをカゴに入れられないように逃げ方を工夫させ,うまく逃げて遊ぶための指導
- 〔中学部・教学科〕
- [0],[00]の表示の違いに目を向けさせ,代金をそろえさせる指導
- 〔中学部・国語科〕
- 書く視点を考えさせ,一人で作文を書かせる指導
- 〔高等部・国語科〕
- 尋ねられたことの意味を理解させ,適切に答えさせる指導
- 〔高等部・作業学習〕
- 作業の仕方を工夫させ,効率的に作業を進めさせる指導
- 〔高等部・家庭科〕
- 握りやすい方法を考えさせ,一人でおにぎり作りに取り組ませる指導
- 〔高等部・生活単元学習〕
- 影絵人形の操作を工夫させ,劇発表に取り組ませる指導
- [7] 見通しを持って活動する子ども
- 〔小学部・日常生活の指導〕
- 朝の活動に見通しを持たせ,自分から取り組ませる指導
- 〔中学部・日常生活の指導〕
- 自分で次の活動を判断させ,朝の活動に自分から取りかからせる指導
- 〔中学部・日常生活の指導〕
- 係仕事に移るタイミングを判断させ,自分からトイレの点検に取りかからせる指導
- 〔中学部・作業学習〕
- 作業に必要な道具や作業の仕方などを自分で判断させ,作業に取り組ませる指導
- 〔高等部・日常生活の指導〕
- 時間を意識させ,時間内で掃除を済ませる指導
- 資料1:「能力・適性」表の利用と記入の仕方
- 資料2:「能力・適性」表
- 資料3:「能力・適性」表の記入例
- おわりに
- 引用・参考文献
はじめに
1973年に本校が正式に附属養護学校として発足した。以来20余年,その時どきに在籍した教師たちが県内の障害児教育の草分けとして,今後に続く教師たちへの指針や研究のあり方,教育方法の実践等に役立つものを作ることを目標に様々な研究や出版物を世に送り出し,試行錯誤を繰り返してきた。そのシリーズの一環としてこの「主体的に活動する子どもを育てる支援の工夫」を三年間の歳月をかけて作り上げてきたものである。授業や実習等の間を縫っての執筆は苦労の連続であったが,なにか実のあるものにしようとする担当者の努力によって,ここに出版できることを共に喜びたい。
これは将来,子どもが自立しなければ生きていけない社会において,子ども自らが自立していくための訓練や学習をどのように行わせるかを(前半はその理論的な考え方を,後半は実践例,具体例を挙げて)それぞれの学校や現場で使いやすいように,わかりやすく「こう工夫すればこうする」といった手法を紹介してある。これはあくまでも一例であり,知的障害の程度に応じた工夫と再調整は必要であるが,その基本的な考え方は同じである。それ故,それぞれの現場と障害の実態に合わせてご使用下さればより効果的であると確信している。また,さらに充実したものとするために,本書についてのご意見やご感想を頂ければ幸いである。
末稿ながら,本書を作成するにあたり,数々の貴重な助言や示唆を頂きました本校同人や関係者に心よりお礼申し上げる。
また,出版に際しまして明治図書編集部の方々,とりわけ三橋由美子氏には全ての原稿をご高覧頂きましたことを付記し,厚く感謝する次第である。
平成9年8月 大分大学教育学部附属養護学校校長 /軸丸 勇士
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- 明治図書