- はじめに
- 〈第1話〉 納得のいく授業 納得のいく日とは
- *自尊感情をはぐくむ対話
- *ふたりきりの会話と「紙媒体」
- 〈第2話〉 「いいですか,わかりましたか?」は禁句
- *教師が授業という土俵で勝負するために
- *先生らしくない話し方のすすめ
- 〈第3話〉 魂のゆれうごくような授業づくりの方法
- *子どもと「からだでしゃべる」先生
- *シャープな感受性と現実想像力
- *心にくいこむ話をする方法
- 〈第4話〉 子どもに素直に頭を下げられる教師
- *「わからんことは,わからん」と言える教師
- *子どもは教師の内省を見届ける伴侶
- 〈第5話〉 あなたには子どもが見えていない
- *同僚からの厳しい批判を実践のバネに
- *学級には自由なフンイキが重要
- 〈第6話〉 子どもと愉しみながら生きる教師
- *子どもの意欲を引き出す術
- *教師のスタンスが大切
- 〈第7話〉 手づくりの教育実践を心から愉しむ
- *コミュニケーション力を育てる方法
- *思いつきを生かす教育実践
- *「けっさくの卵」というノート
- 〈第8話〉 教師の強みは「実践的裏付け」をもつこと
- *本音が率直に交差する授業を
- *小西先生のバランス感覚
- 〈第9話〉 子どもの「おくゆかしい内面」が美しい
- *子どもの受信力と再生力の確かさ
- *言葉で教え込まない教育
- *生活を見つめる子どもの眼
- 〈第10話〉 教師が子どもにホレるとき
- *瞬時の好機というものを生かす達人
- *その,ひとことの向こう側に子どもの世界がある
- *子どもの奥深さを知ること
- 〈第11話〉 面倒見のよ過ぎる教師になるな
- *子どもの気持ちを通訳できるのは子ども
- *ためらわずに子どもに「頼む」「頼る」
- 〈第12話〉 書けば書くほど子どもが観えてくる
- *小西先生から良文への恋文
- *良文は「もう大丈夫だ」と直観しつつ
- 〈第13話〉 指導の手掛かりは「子どもの中」にある
- *現代の学級集団づくりの原型を見る
- *「良文攻略三段階アプローチ法」をひらめく
- 〈第14話〉 子どもに寄り添う名人になるには
- *あえて自分から行動しない教師
- *自治的な学級の風土をつくるために
- *子ども自身が生活の中でリアルに学ぶ
- *多様なワザをもつ「なかなかの仕掛け人」
- 〈第15話〉 学級づくりの基盤は「あたたかい愛情」
- *確信をもって子どもに迫れる教師
- *「憤りの感覚」と「よろこびの感覚」の統一
- 〈第16話〉 小西先生流 学級づくりのストラテジー
- *暮らしの中で起こった問題を大事に話し合う
- *子どもとの決定的瞬間は突然やってくる
- 〈第17話〉 まず「この子」に焦点を そして全面展開
- *話し合いのステージを組み立てる
- *「だいじな人を忘れていませんか」
- 〈第18話〉 保護者の気持ちをギュッとつかむ方法
- *仲間意識の形成と自尊感情の高まり
- *ひたすら実践に磨きをかけ続ける教師
- 〈第19話〉 学級づくりで「市民性」を育てる
- *問われるのは学級集団の成熟度
- *教師の指導法を徹底批判する子どもたち
- 〈第20話〉 実践は「事実をして語らしめる」もの
- *「踏み込み」と「押し」が試される局面
- *興奮モードと冷静モードの絶妙な切り替え
- 〈第21話〉 授業の質を高めるチャンスは
- *授業レベル向上のきっかけ
- *「先生について,なにかありませんか。」
- 〈第22話〉 教師の感情のはざまで子どもが育つ
- *小西先生が担任と判明した瞬間
- *鍛えられ,たたえられ,自信力を高める
- *鬼の小西先生が一気に豹変するとき
- 〈第23話〉 温もりと醍醐味のある実践の根っこ
- *小西先生の「親子日記」という手法
- *生の事実を子ども・親・教師が共有
- 〈第24話〉 「子どもを愛するが甘やかさない」先生
- *核心的自尊感情がはぐくまれる瞬間
- *ドラマは子どもの中から生まれる
はじめに
子どもの顔が見える,声が聞こえてくる。教師の表情や息づかい,実践の方法や方向性まで,こちらにまっすぐ伝わってくる。そのため,読めば読むほど元気が湧き上がり,実践意欲を無性にかき立てられる──。
そんな不思議な力をもつ本。それが小西健二郎著『学級革命』である。
小西先生は子どもが生活を綴ることを重視する一方で,自ら子どもの事実を小まめに書き綴っている。その表現力,とりわけ図抜けた現場再現力のおかげで『学級革命』を読んでいると,自分がいま小西学級に入り込んでいるような錯覚に陥ってしまい,小西先生と子どものやりとりや,声のかけ方,作文指導の方法,保護者への啓発の仕方などなどが,直接つかみとれる。つまり,敬愛する先輩教師に影のようにくっついて学ぶシャドーイングという手法に似て,教師小西健二郎の仕事の実際と生き方をそっくりそのまま具体的に学ぶことができるのである。
いま,私の手元にある『学級革命』は『新装版教育実践記録選集』(新評論)第三巻の中に収録されたもの。購入して以来ほぼ30年近くの間,机上のすぐ手に届くところに置いている。黄緑色の表紙カバーはかなり色せてしまい,ページの随所には手書きのアンダーラインが走っている。
ところが,本文に目をやると,ついつい引き込まれて,またしても新たな発見と感動が得られる。そのためアンダーラインはいまも増え続けている。
『学級革命』はまさに教育実践のバイブルと呼ぶにふさわしい本である。
実を言うと,いつの日か私は『学級革命』を超える教育実践を成し遂げて『現代の学級革命』なる本を書きたい,と心密かに決め込んでいた。その思いは果たせていないものの,今回このようなかたちで小西先生の教育実践の一端を独断的解釈によって紹介できることがうれしくてならない。
若い教師も,そうでない教師も,学級づくりや授業づくりに悩みを抱えている教師も,そうでない教師も,教師という仕事に行き詰まりを感じている教師も,そうでない教師も,「しんどい子ども」(=その子ども自身が最もしんどい思いをしているのだが)を前にして日々努力を重ねている教師も,そうでない教師も,ぜひ一度,この小西ワールドにひたってほしいものである。
そうすれば,必ずや自分の日々の仕事の価値を改めて見つめ直すことができるはず。同時に,意味あるスキルとエネルギーを存分に得られると思う。
きっとそれは,明日からすぐに活用できる技であったり,子ども理解の基本的な視点であったり,学級づくりの具体的な方法であったり,はたまた子ども観や教育観に大きな転換をもたらすものであるに違いない。
いずれにせよ,時代を超え,世代を超えて,教師としてのワーク&ライフに重要な「元気の素」をたっぷり得ていただけるものと確信します。
最後になりましたが,この本を上梓するにあたり,多くの方々からご支援とご理解を賜りました。『学級革命』の本文引用・転載を快諾してくださった小西健二郎先生のご夫人和歌子さん,ご子息純一郎さん,そして株式会社新評論の武市一幸代表取締役社長に心よりお礼申し上げます。同時に,関西大学文学部教授玉田勝郎先生,大阪教育大学教授森実先生に一方ならぬご協力をいただきました。
また,今回も明治図書出版の編集者仁井田康義さんに幾多のお骨折りをいただきました。
深く感謝申し上げます。
2010年7月 /園田 雅春
-
- 明治図書
- きめ細かく、具体的。教育について改めて考えさせられる好著。2016/1/2360代・小学校管理職