- まえがき
- 第1章 再現!子どもたちを育てた学級のドラマ
- 1 バスの中での学級会 〜とっさの腕をみがく〜
- 2 靴かくし 〜3年B組の子どもたちのとったある行動〜
- 3 大縄跳び 〜乗り越えた後にあるもの〜
- 4 5年環境省VS飼育栽培委員会 〜話合いで解決する価値を学ぶ〜
- 5 ようこそ,転入生〇〇さん 〜たった2時間のお迎え準備〜
- 6 裏紙の表彰状 〜本当に大切なこと〜
- 7 運動会で聖火リレーをしよう 〜学校を動かす底力〜
- 8 ザ・プロジェクト 〜大人を巻き込むプロデュース力〜
- COLUMN1 遊び心を大切にしよう
- 第2章 子どもが主体的に活動し学級を活性化させる!学級づくりの原則
- 1 「ドラマ」をつくる学級の子どもたち
- 2 2つの指導の失敗
- 3 子どもたちにどのような「志」をもたせるか
- 4 まとまりのある学級とは,どのようなものか
- 5 どのような「ストラテジー」と「布石」があったのか
- 6 学級づくり成功の6つのキーワード
- キーワード1 自己決定
- キーワード2 相手意識
- キーワード3 集団思考
- キーワード4 個の存在感
- キーワード5 関わり
- キーワード6 誇り
- 第3章 学級の「ドラマ」をつくる教師のストラテジーとその布石
- ストラテジー1 エキサイティングな出会いを演出しよう
- ストラテジー2 学級目標をよりどころとして活用しよう
- ストラテジー3 クラスのシンボルを作り,活用しよう
- ストラテジー4 きまりを「縛る」ものから「創る」ものに変えよう
- ストラテジー5 朝の会・帰りの会で対話をしよう
- ストラテジー6 集団ゲームで学級を活性化しよう
- ストラテジー7 教師のパフォーマンス力を鍛えよう
- ストラテジー8 係活動を縦横無尽に活用しよう
- ストラテジー9 ミニ集会を企画して日常的に「みんなでする楽しさ」に触れさせよう
- ストラテジー10 ゲリラ的にメッセージを発信しよう
- ストラテジー11 学級の土壌を創る教師のメッセージを発信しよう
- ストラテジー12 節目で振り返りの活動を行い,小さなリセットをしよう
- ストラテジー13 学年・学級の子どもレベルのつながりをつくろう
- ストラテジー14 その学級独特の学級文化を創ろう
- ストラテジー15 イベントづくりで子どもたちの夢を実現しよう
- ストラテジー16 よりよい解決のための考えや手段を身につけさせよう
- ストラテジー17 学級通信では,教師の教育観を伝えよう
- ストラテジー18 キャンペーン活動を展開し規範意識を高めよう
- ストラテジー19 学級の足跡を共につくろう
- ストラテジー20 学級のフィナーレは「誇り」と「感動」で締めくくろう
- COLUMN2 「打ち上げ」をしよう 〜「乾杯」の効果〜
- 第4章 保護者や卒業生から見た学級のドラマ
- 1 保護者から見た学級のドラマ
- 2 卒業生から見た学級のドラマ
- COLUMN3 たまにはデータを分析しよう
- COLUMN4 移動黒板を活用しよう
- あとがき
まえがき
ここに1枚の手紙がある。数年前に卒業した女の子からもらったものである。
先生,お元気ですか?
私たちは,みんな元気に中学校へ通っています。勉強はめっちゃ難しいけど,先生にしかられながらがんばっています。先生も新しい学校で,いろんな楽しいことをしていますか?
今年も,またA君のお墓参りに行ってきました。A君のお母さんに行かせてもらってよいかどうかを聞いたら,「いつでもどうぞ」と言ってくれたので,ちょうど命日に行くことにしました。
B君,Cさんに連絡係になってもらって,みんなに伝えてもらいました。相談する時間がなかったので,お供え物は各自で持ってくることにしました。
命日の日はD君がサッカーの試合で来れなかったけど,後の人は集まったよ。私はA君が好きだったお菓子を持っていって,お墓の上にお供えしました。E君なんかは,A君の持っていた赤い車を作ってきて,お供えしました。みんな「いつの間に作ったん?」と驚いていました。
お線香をお供えして,手を合わせました。その後,A君のお母さんからお菓子とお茶をもらいました。
何か,6年生のときのみんなと久しぶりに話せて,楽しいというかホッとしたというか,そんな気持ちでした。
いつまでお墓参りに来れるかわからないけど,来年もみんな来れたらいいなあと思います。……
A君は4年生のとき,突然病気で亡くなってしまった。
大きな悲しみを乗り越えて,こうやって4回目のお墓参りをしている。修学旅行へ行ったときはお供えのおみやげを買ったり,卒業式の呼びかけではA君のことを話したりした。
だから,この子どもたちにとっては,このお墓参りも自然な流れかもしれない。子どもたちのつながりのすばらしさに心を打たれた。
このような学級のドラマは,内容や方法は違うが,どの学級にもあることである。このようなドラマを経験した学級の子どもたちは,心が豊かであったり,自立していたり,生き方がしなやかであったりする。
それは,ベースに「人と人のつながるすばらしさ」があるからである。「人の心を動かす経験」があるからである。
一方で,現実にはクラスの中でいじめが横行したり,「一生懸命」をばかにしたり,友だちの目ばかりが気になり自分らしさを出せない学級も存在する。
そのような学級から抜け出す方法を「子どもたちのつながり」「持ち味を育てる」「自分の力を他に生かす喜び」に求めたのが本書の実践である。
本書では,そのような学級に高めていくための布石や筋道を紹介する。もちろん,授業や学習場面も学級づくりの大きな要素ではあるが,あえてそのことは大きく取り上げず,主に特別活動の実践を中心に記述した。
それは,決して派手な活動でもなければ,目立つ取組でもない。日常の小さな取組を集めたものである。「ドラマ」の向こうにある子どもたちのすばらしい可能性を伸ばすための教師の挑戦である。
スマートな生き方もよいかもしれないが,人間同士の熱いつながりのすばらしさもまた捨てたものではない。
日本全国で,すばらしいドラマが生まれることを期待している。
/岸本 勝義
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- 明治図書
- わかる2023/12/1740代・小学校教員
- 具体的でわかりやすい2017/5/1340代・中学校教員
- 感動の裏には、著者の先生の学級づくりに対する並々ならぬ思いがあるからなのだと感じました。そんな思いをもち、学級づくりに取り組んでいきたいと思いました。2017/4/230代・小学校教員