- 特色ある教育活動をどう展開するか
- ◇編集のねらい (1)
- なぜ今,特色ある教育活動の展開なのか /児島 邦宏
- (1) 子どもからの教育改革
- (2) どこに学校の特色を求めるか
- (3) 学校の自主性・自律性
- 特色ある教育活動展開のポイントは何か /小島 宏
- 「特色ある教育活動」のねらいの把握/ 「特色ある教育(活動)」の現状/ 「特色ある教育活動」
- 展開のポイント
- 学校の特色を生み出す視点と方法 /羽豆 成二
- 授業づくりに特色を生み出す/ 「総合的な学習の時間」の実践に特色を生み出す/ 学校運営に特色を生み出す/ 学校・家庭・地域社会との連携に特色を生み出す
- 特色ある教育活動展開の実践プラン
- 1 子どもの実態に対応した教育の展開の工夫
- 小学校
- 子どもの生きる力を育む「総合活動」 /大尾 恵子
- <解説>毎年変わるカリキュラム /市川 博
- 中学校
- 生徒をあたたかく包む学び /藤岡 宏章
- <解説>週ごとに変える時間割 /市川 博
- 2 教育課程の弾力化に対応した展開の工夫
- 小学校
- 動的な「教育課程の弾力化」を /内山 隆
- <解説>「総合的な学習の時間」創設への対応のためにも弾力化は不可欠 /中元 順一
- 中学校
- 個を生かす教科間の連携 /小熊 千善
- <解説>選択授業,総合的な学習,弾力化はどれも生徒主体の意味をとらえ直すことから /中元 順一
- 3 個性を生かす教育に対応した展開の工夫
- 小学校
- 個性を生かし自己を高める /山内 哲
- <解説>個性を生かすことは「自由放任」を許すことではない /加藤 幸次
- 中学校
- 学習環境の構築をめざして /秦 文男
- <解説>個性は「選択肢」がある中でこそ育つ /加藤 幸次
- 4 「総合的な学習の時間」創設に対応した展開の工夫
- 小学校
- 児童の意欲を育てる総合学習 /竹原 章雄
- <解説>実感をもって自分の生き方を探る学習 /田中 博之
- 中学校
- リアルオーディエンスとの相互啓発 /井手 葆
- <解説>アジアとの交流を深める学習 /田中 博之
- 5 家庭・地域との連携を図った展開の工夫
- 小学校
- 顔が見える学校へ /宮崎 稔
- <解説>「自然体の学校づくり」をどう進めるか /葉養 正明
- 中学校
- 生徒の心でつなぐ地域と学校 /武市 尚政
- <解説>地域とオラが学校 /佐野 金吾
- 特色ある教育活動展開の研究情報 /有園 格
編集のねらい
教育とは、子どもの「自分さがしの旅」を扶ける営みであると、中教審の第一次答申は規定した。子ども自ら社会的自立を目ざし、それを後押ししていくのが学校であり、教師の役割だというわけである。
この規定から、今次の一連の教育改革は、「子どもからの教育改革」となって展開している。その子どもは、一人一人が「かけがえのない存在」であり、個性をもった存在である。一様に扱うわけにはいかない。
したがって、一人一人の子どもに寄り添いながら、「この子どもに、今、何を」というところから、全ては出発する。国民教育としての「共通性」に依拠しつつも、一人一人の子どもの問いにどこまで応えうるかが、今日の教育改革に求められるものである。
そのためには、この子どもの問いに応える教育活動を学校自身が用意しなければならない。子どもがわかっている学校でなければ、用意できないからである。霞が関からは、一人一人の子どもの心のひだまでは見えないからである。
いいかえれば、今次の一連の教育改革の成否を決めるものは、学校がどこまでこの特色ある教育活動を用意できるかにかかっている。「学校次第」なのである。したがって、やろうと思えばどこまでもやれるという体制を準備したわけである。
こうした「特色ある教育活動」の今日の重要性に着目し、学校がどう受けとめ、どう展開していくかという実践面から、一つの方向を明示しようと、編集したのが本書である。
広がりと深さのある課題だけに、重たい実践ではあるが、それだけに本気で、着実に、かつ大胆に取り組んでいくことが強く要請されているといえる。
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- 明治図書