オピニオン叢書30
「いじめ」カウンセリング―臨床のプロが明かす対応技術

オピニオン叢書30「いじめ」カウンセリング―臨床のプロが明かす対応技術

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いじめ問題をどう捉え考えるか,教育現場にみる実態レポート,学校という教育システム下のいじめ,いじめ心理のルーツ等,超ベテランが論説


復刊時予価: 2,728円(税込)

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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-166001-X
ジャンル:
授業全般
刊行:
対象:
小・中
仕様:
B6判 184頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

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まえがき
T いじめ問題をどう捉え考えるか
1 心的外傷後ストレス後遺症とは
2 まずは身体の変化に注目せよ
3 何とかしようと焦ってはいけない
4 時には何もしないことが助力のポイント
5 生徒に不平等感を植えつける「いじめ対策」
U 教育相談に見る実態レポート
1 いじめ現象の背後にあるもの
2 いじめ報道がもたらすもの
3 異質なものを排除したくなる心理
4 やみくもな規制と管理はいじめを助長させる
5 怨念的感情を引きずった子に手を焼く
6 点数主義的な受験文化がもたらすもの
V 学校という教育システム下のいじめ
1 「無視」によって拡大する不安感情
2 子どもの世界にも嫉妬と羨望はつきもの
3 いじめ現象を誘発する構造上の仕組み
4 テスト潰けがもたらす後遺症
5 見えにくい正体に注視する
W いじめエネルギーの発散と行き場
1 児童の怖さを知る教師、知らない教師
2 いじめ四つの基本タイプ
3 帰国子女がぶつかる「枠」的いじめ
4 歪んだ攻撃欲求装置
5 「圧」をはねのける工夫と努力
X いじめ心理のルーツ―お母さんに語りかける講演から―
1 夜のホームの過塾生≠スち
2 親の期待過多はいじめに通じる
3 アインシュタインの卵をつぶす
4 親の先どりが子の自主性を奪う
5 対人関係の「訓練」は家庭がベース
Y いじめと家庭、そして親と子
1 いじめに負けない体験学習
2 子どものタテ関係とヨコ関係
3 独自の集団ができる端緒
4 子どもへの信頼と賭け
Z いじめ集団と傍観者群
1 いじめ克服に欠かせない社会のバックアップ
2 仮面をつけた子どもたち
3 グループから抜けられない理由
4 行き先は少年鑑別所
5 傍観者群の立場と役割
6 いじめ集団は肥大化し加速化する
[ いじめと青少年期の自我形成
1 子どもに心で接するむずかしさ
2 生徒に「仕掛ける」教師の存在
3 いじめを受ける側の共通因子
4 促成栽培的な自我はもろい
5 未熟性を助長する「骨抜き」教育
6 いじめ克服の要は「教育の原点」への回帰
あとがき

まえがき

 「いじめ」が見えにくいといった教師の声に較べ、児童・生徒は「ほとんどの先生」が知っている筈、と思っている。

 ある私立の中学校男子生徒のいじめ観の調査にかなりの数で、いじめられる子は生きていく適性・能力をすでに欠いてる人間だ、と答えているという。

 いじめ防止策として、「いじめられた」と感じた被害者の「主観」で「いじめ」の存在が認められるべきといった考えが教育界に定着しつつあるのに、それでも「いじめ」の現象はますますふえているのが現状である。

 今日「いじめ」の学校内心的力学ともいうべき緊張が、子ども以上に教師の側、教育委員会で高まっているのは結構なことであるのだが、「いじめ」をめぐってのコンセンサスがいまだ判然としないでいるのも実状である。

 「いじめられた」即「いじめ」といった概念だけで「いじめ」の判定がOKともいい難い。

 地域差・学校差・個人差・集団差・文化差などある種の「異文化」的見地で「いじめ」を見る限り、いじめ的現象といじめそのものとの間には相当な幅があるのではないか。

 このさい、教師は徹底的に「いじめ観」の吟味・分析・検証・仮説・試行等の認識作業の積み重ねを意図的に息長くしてほしいのである。

 これからの「少子時代」に生きる子どもたちの「対人関係能力」の未熟化に備え本格的に取組む姿勢がいま求められているのではないだろうか。

 本文はジャーナル各誌に掲載した拙文をもとに書き下した教育エッセーである。

 まずはご拝読頂ければ光栄である。

著者紹介

井上 敏明(いのうえ としあき)著書を検索»

1935年京都市生まれ。 1963年立命館大学大学院文学研究科哲学専攻,修士課程修了。研究分野・教育臨床学。

現在,神戸海星女子学院大学教授,六甲カウンセリング研究所所長 他に,兵庫県青少年問題協議会委員,兵庫県警察本部心理相談顧問,尼崎市・芦屋市両教育委員会教育相談担当,スーパーバイザーなどでも活躍中,とりわけテレビ・ラジオ・新聞等の教育問題コメンテーターとしての発言に定評あり。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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