- はしがき
- いま学校が問われている★教師にその意識ありや?
- 学校大変の時代―今のままだと消滅?――
- 豊かさと少子化のツケ
- 不易か流行か――変わらないものにこそ価値がある?――
- “敵と味方”のカベで関心は“敵”――学校にベルリンの壁はまだ健在――
- 親方日の丸の居心地と思考様式――“逆を言って”変えることへの抵抗は空し――
- “やれない理由”を挙げればきりがない――いま,この子をどうするか――
- 減点主義の発想から抜けだそう――教え上手で学び下手のままでよいか――
- 子どもが行かない学校でよいか――客が来ない店はつぶれる――
- いまや横並びの学校ではない――同じような品物ばかりで客は来るか――
- 叱られるだけの学校でよいか――小言をいわれて客は寄りつかない――
- 子育ては学校だけの専売特許ではない――学校と家庭と地域社会と――
- なぜ変われないか
- あなたの胸のうちを診断する
- だれかがやってくれる思考の克服――先陣を切る人がいてこそ事は始まる――
- 意識改革が求められている
- あなたの総合的学習の納得度を検証する
- 始まった二十一世紀への学校づくり――ボトム・アップの教育改革――
- 総合化へといざなった生活科――そのコンセプトを検証する――
- なぜどうして総合的学習なのか――生きる力と特色ある学校づくり――
- 総合的学習を納得できるか――分化(分科)に対する総合――
- 総合的学習を納得できるか――あまりに多くのことを教えることなかれ――
- 総合的学習にどう取り組むか――自分たちにあった入口から入ろう!――
はしがき
我が国の学校が,いま多くの課題をかかえていることは,だれもが認めるところであろう。それは,例えば,校内暴力,いじめ,不登校,学級崩壊等を指摘するまでもないことである。
学校大変の時代である。我が国の学校は,これまで経験したことのない困難な課題に直面しているといってよい。いまの子どもたちをみて,だれもが実感していることである。とりわけ,毎日のように子どもたちに接している学校の教師にとって,その課題は重く,大きい。いまほど学校が問われているときはないといっても過言ではないのである。
もちろん,それは学校だけで片付く問題ではない。その根は深く,複雑である。それは,端的にいって,豊かさと少子化のツケなのかも知れない。それを見据えて,学校はどう立ち向かうかである。いや,どう立ち向かっているかである。
困難な情況の中で,懸命の努力と労苦をいとわない教師や学校も少なくないことを知っている。しかし,学校の大勢は容易に変わらないのである。変わっていないのである。何をもって学校は変わらないとするか。授業である。学校の仕事は授業だからである。この認識は不可欠である。
周知のとおり,平成八年七月に,中央教育審議会は,二十一世紀への学校づくりとして,「生きる力」を提言した。それに反対の声はほとんど聞かれなかった。では,その後,生きる力を育てるために,学校の授業はどのように変わったか。この一事で十分である。学校は容易に変わらないところなのである。 四年前に筆者は,「学校はなぜ変わらなくてはならないか」を書いた。多くの読者に感謝しなければならない。本書は,その続編であり,第二弾である。前著と同様にご叱正をいただければ有難い。
最後になったが,本書も明治図書の樋口雅子編集長のおすすめによるものである。書名から内容構成にいたるまで,多くの示唆をいただいた。記して感謝の意をささげる次第である。
平成十年十一月 /中野 重人
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- 明治図書