- はじめに
- T 最近の学校教育の状況と『授業崩壊』という深刻な現象
- 一 『授業崩壊』という深刻な危機的状況の要因と遠因
- 1 最近の緊急解決課題としての『授業崩壊』
- 2 『授業崩壊』を引き起こしている子どもの要因
- 3 『授業崩壊』を引き起こしている間接的な遠因
- 二 これまでの教育改革諸施策と『授業崩壊』の解決策
- 1 『授業崩壊』を救うための教育改革諸答申および調査
- 2 「新学力観」の定着状況を調べる「新学力テスト」の結果
- 3 『日本教職員組合』の教師の悩みに関する調査
- 三 『授業崩壊』を解決するための教師側の方略
- 1 『授業崩壊』の直接的な要因としての教師
- 2 教師の「指導力不足」という決定的要因
- 3 教師一人一人の力量向上の必要性
- U 「支援システム」と「自学システム」に基づく『授業崩壊』の解決策
- 一 教師側の活動に基づく「支援システム」による解決策
- 1 「生きる力」をはぐくむ授業への改革
- 2 硬直した学力から流動的な学力に
- 3 子どもの活動を支援する「支援システム」
- 二 子ども側の活動に基づく「自学システム」による解決策
- 1 子どもが主体的に活動する「自学システム」
- 2 「自学システム」を構成しているエレメント
- 3 「支援システム」と「自学システム」の連動
- 三 「支援システム」と「自学システム」による「総合的な学習の時間」の支援
- 1 「総合的な学習の時間」と実践上での留意点
- 2 「支援システム」と「自学システム」の連動による支援
- 3 「自学システム」における「総合的学習」の評価
- V 二つのシステム論を適用しての『授業崩壊』解決のための実践例
- 一 評価を重視して生徒の豊かな心と実践力を高める授業実践
- 1 「評価エレメント」の評価活動を重視した『授業崩壊』の改善
- 2 「評価システム」を活動するというユニークな試み
- 3 「評価システム」の核となる形成的評価
- 二 「自学」による生徒の自ら学ぶ力を育成する授業実践
- 1 生徒自ら学ぶ能力・意欲を育てる「自学」の実践
- 2 教育課程における「自学」の位置づけとその評価活動
- 3 本校の「自学」と「総合的な学習の時間」との関連
- 三 「自学」による学生の自ら学ぶ意欲を育成する授業実践
- 1 『授業崩壊』が著しい最近の大学
- 2 「自学システム」による「自学」の具体的な姿
- 3 「自学」に対する受講生の意欲と自由記述の分析
- W 「学力」と「人格」を統合したシステム論による『授業崩壊』の解決策
- 一 「学力支援」のシステムから「人格支援」のシステムへ
- 1 「学力」の育成と「人格」の育成の融合論
- 2 学力および人格育成のための「人格支援システム」
- 3 「人格支援システム」のサブエレメント
- 二 それぞれの支援者の具体的支援による『授業崩壊』の解消
- 1 教師の支援による子どもの人格育成と『授業崩壊』の解決策
- 2 カウンセラーなどの支援による子どもの人格育成と『授業崩壊』の解決策
- 3 「人格支援システム」による『授業崩壊』の解消
- 三 『授業崩壊』を解消するために必要な教師の支援力量
- 1 「人格支援システム」の実行に必要な教師の力量
- 2 「個性理解」と「評価・指導」の力量と『授業崩壊』の解決策
- 3 「認知的力量」と「情意的力量」の重要性と『授業崩壊』の解決策
- おわりに
はじめに――『授業崩壊』の現象、これほど深刻な問題はない
本著は、いまわが国の教育界で最も深刻な現象の一つである『授業崩壊』を解消するために、教育評価学の視点からその解決策を模索し、それにある一定の回答を与えようとの意図で著されたものである。
そう言えば、数年前から、『学級崩壊』というコトバが、新聞やテレビ、教育雑誌などを賑わしている。なんでも、教室という学習をすべき集団の場がなんらかの理由で崩壊しているというのである。それは、とりわけ小・中学校での現象らしい。いまでは、『授業崩壊』が再び起こっているという。確か、一九八〇年代校内暴力が横行していた時代に頻発していたものが、いま再燃しているという。
『授業崩壊』は、義務教育の学校のみの問題ではなく、いまや小学校から大学にいたるまで蔓延した現象である。小生の勤務する大学でも、授業の開始時間に遅刻したり、授業中の居眠りや私語などは、日常茶飯事だ。大学は、『授業崩壊』どころの問題ではなく、いまやレジャーランド化してしまっている。そこで、本著では、
『授業崩壊』に教師はどう対応すべきか。
という問題を意図した。
ここで書かれた内容は、筆者自身の独断と偏見によるところがないでもない。しかし、それはあくまでも教育評価学の学問的な歴史やその理論的な基盤に基づいていることは言うまでもない。手前味噌の得手勝手な理論であっては、読者の皆様方の顰蹙を買うことにしかならない。
最後になったが、このような本を出版することができたのは、明治図書出版企画開発室の江部満氏のこれまでのご熱意とご支援の賜であることは言うまでもない。ここに感謝の意を表する次第である。
著 者
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- 明治図書