- 前書きにかえて
- 3年の教室環境・壁面の工夫
- 1 4月はじめの教室設営と壁面
- 2 正面にはりたいものあれこれ
- 3 3年生のコーナーづくり
- 4 6月の教室づくりと壁面
- 5 ゲームコーナーをつくる
- 6 机・台・棚を活用して
- 7 7月の教室づくりと壁面
- 8 オープン教室で移動壁面をつくる
- 9 図工の作品でつくる壁面
- 10 8月始業式の学校では
- 11 9月の教室づくりと壁面
- 12 学習の約束をはる
- 13 がんばりカード
- 14 11月の教室づくりと壁面
- 15 書写をはる
- 16 理科の問題を投げかける壁面
- 17 作文でつくる壁面
- 18 壁面づくりに便利な文房具
- 19 12月の教室づくりと壁面
- 20 位取りを示す
- 21 冬休みの作品の展示と掲示
- 22 音符や記号を覚えるうまい掲示の仕方
- 23 2月の教室づくりと壁面
- 24 ヒマワリの観察と掲示
- 25 読ませたい本を紹介する壁面
- 26 ねえ,こんなのどう?
- 4年の教室環境・壁面の工夫
- 1 4月はじめの教室設営と壁面
- 2 子どもがつくる壁面
- 3 5月の教室づくりと壁面
- 4 廊下に作品をはる
- 5 グループからのお知らせコーナー
- 6 問題を投げかける社会科の掲示
- 7 学級通信でつくる壁面
- 8 7月の教室づくりと壁面
- 9 学級文庫と壁面の活用
- 10 生活目標を工夫する
- 11 環境教育に関する掲示をする
- 12 壁新聞をはる
- 13 10月の教室づくりと壁面
- 14 ローマ字表の工夫
- 15 係の掲示と仕事の表示
- 16 社会科見学の事前・事後の壁面
- 17 クラブの掲示とコーナー
- 18 12月の教室づくりと壁面
- 19 話し合いのコーナー
- 20 敬体文・語句などの掲示
- 21 栽培植物の観察と掲示
- 22 水や川の流れを背面の上部に
- 23 2・3月の教室づくりと壁面
- 24 問題提示の小数・分数・用語の表示
- 25 漢字一覧表の上手な活用
- 26 わたしの話を聞いて
前書きにかえて
■教室はガレージではない
ときどきガレージのように殺風景な教室を見かけます。作品1枚はってなく、あちこちにゴミまでたまっています。そんな教室では,子どもたちがすぐ「むかつき」,切れます。環境がどうあろうと,「悪いのはすべて子ども自身だ」とでも思っているのでしようか。先生もいっこうに教室環境を整えようとはしません。この無神経さでは,心がすさむのも当然です。
★教室は倉庫ではありません
■環境が人をつくる
家庭環境や社会環境と同じように教室環境はとても大事です。1日の大半を学校で過ごす子どもたちにとって,教室はわが家です。このわが家の人間関係や住みよさなど環境のよしあしが,人格の形成に大きくかかわります。整然と整った美しい部屋とよごれてきたない倉庫のような部屋と,どちらに住みたいと先生はお考えですか。
★掃除の時間は先生もいっしょに
■投げかけの場であるように
教室の環境は「生きて働く」ものです。1年中,同じ環境のままでは能がありません。掲示物も変化が必要です。常に,教室のどこかが,子どもたちへメッセージを発信し,呼びかけている,そんな環境にしたいものです。子どもの作品1枚でも,問題を投げかける力があります。工夫して,教室環境の整備に努めましよう。
■作品のはり方2
作品を壁面にはるときは,いろいろ工夫しましょう。
1 整然と等間隔で曲がらないようにはる。
絵や習字などの作品
2 模造紙などに,図案を入れてはる。
紙工作など小型の作品
3 移動掲示板にはる。
展覧会入賞作品など移動の必要な作品
◎子どもの作品を重ねてのり貼りするのはやめましよう。作品は痛むし,おざなりな展示の仕方の一つにあたります。作者である子どもの立場を考えて,ていねいにはりましよう
■作品のはり方3
色紙テープを工夫して使いましよう。
1 掲示物の縁どりに
左のイラストのように掲示物の縁どりに使うと,美しくすっきりとします。
緑色が一番のおすすめです。
2 掲示物と掲示物をつなぐ
社会科の掲示物などを関連づけるときに使うと効果的です。
★テープにも文字がかけます
■イラストや色,文字を工夫して
黒一色で書かれた文字も読み易くていいものです。しかし,いつもこれでは変化がなさすぎます。イラストを入れたり,切り抜いたり,文字の形を変えたり,色を変えたりと工夫しましょう。イラスト集や文字の本などを1冊持っておくと役立ちます。立体的になるような工夫もしてみましよう。雰囲気がまるで変わるものです。
★立体的な物も工夫して
■子どもが自由につくる壁面
教室や廊下の壁面の一部分を、子どもたちの自由な発想にまかせてみましょう。その際、よほど変な物でない限り口出しはしないで、好きにさせます。それが子どもたちの着想と意欲につながります。どうしてもだめな場合には、ヒントを与えたり助言や援助をしましょう。話し合いをさせるのも方法です。
★子どものコーナーをつくりましょう
■作品のはり方1
教師がはるべき作品を子どもにやらせる先生がいます。子どもでは、はり方の難しい作品があります。習字などすぐはがれて、ひらひらしますし、あちこち曲がってしまいます。こんな仕事を子どもがするのを自主とはいいません。手伝いはさせても教師がやりましょう。
★展示の仕方に教師の人格があらわれる
教師の意図でつくる壁面
壁面のほとんどは、教師の指導のねらいや意図によって作成されるのがたてまえです。問題のなげかけや学習の予告、復習や学習効果の確認など、さまざまな意図があります。それをいかに効果的に子どもたちに伝えわからせるか、そこが教師の腕の見せどころです。
★展示の仕方に教師の人格があらわれる
■月単位・学期単位で替えよう
4月の掲示物が2学期の後半になってもそのまま残っている、というような学級経営はいけません。自分のことを「わたしはこんなに意欲のない教師です。」と宣言しているようなものです。
月単位で替える掲示物もあれば、学期毎に替えなければならない掲示物もあります。最低でも、子どものコーナーや月行事に関する物は、ひと月毎に替えましょう。教室の隅々に目の届く感性が大切です。
★掲示物の交換は子どもの心を豊にします。
■季節や時事がわかる壁面を
4月の桜の絵が、秋になってもはってある教室を見ました。何だか悲しくなります。こんな教室で豊な心が育つのでしょうか?教室は子どもと教師の城です。その城が暗黒の洞窟であってはなりません。いつも、子どもを見つめる明るい愛の光に満ちあふれていなければなりません。季節を意識した掲示物や作品、時事が理解できるような働きかけの壁面などを工夫しましょう。
★季節の雑草一本でも教室が潤います。
■正面はこうして
教室の正面は、すっきりしたものにしましょう。ごちゃごちゃといろんな物を置いたり掲示するのはよくありません。子どもたちが注意散漫になります。色使いも落ち着きのあるものにしましょう。
■廊下は教室の顔
廊下の掲示物をみると、その学級の様子がだいたいわかります。まず、掲示物のはり方でわかります。次に、はってある物や作品できで見当がつきます。また、先生のコメントのありなし、コメントの仕方でわかります。だから、廊下は教室の顔なのです。「じゃあ、なにもはらずにおこう。」と壁のままにしておいても、それはそれで教師としての姿が見えてきます。廊下は、保護者や部外者の目にも、よく触れるところです。それを意識した展示が必要です。例えば、失敗した作品や他人の欠点が書いてある作文などは、人権の立場からも、廊下に掲示するのはやめなければなりません。逆に、学級のよいところや広報に利用するのは効果的です。
■学年共通の掲示はほどほどに
いつも廊下は学年共通の掲示にするところがあります。学年会で話し合って、たまに共通の物を掲示するのはいいとしても、年中これでは学級の独自性がなくなってしまいます。学級減で、単学級や2学級の学校がたくさんあります。「学級数が少ないから一緒にしましょう。」というのではなく、学級が少ないからこそ、それぞれの学級の特色を大切にしなければなりません。
■掲示物を協同でつくり、共同で掲示する
共通の掲示物(教育目標とか学年スローガンなど)は、学年で協力して作成するとたいへんよい物ができます。それぞれのアイディアを活かしていくと傑作が誕生します。高いところへの掲示など、一人では無理なことでも、学年共同だと楽にできます。
★表示板を工夫して
■作品の評価と展示
◇習字の清書の作品に朱を入れて、それを掲示してあるのを見かけます。これはあまりよくありません。練習の作品に朱を入れて指導するのはいいのですが、清書は汚さずそのまま展示しましょう。
◇図工の作品や作文にも、「よくできました」のゴム印を押すだけですましてしまうのは怠慢です。どんな作品にも、評価やコメントの欄をつくり、一人一人に言葉を与えていくのが教師の勤めです。
■これはやめましょう
1 乱暴なはり方☆作品の片方がはがれ、ひらひらしているようではこまります
2 子どもを傷つける作品の掲示☆子どもの人権を考えて
3 誤字や脱字の掲示物☆先生の人格にかかわります
4 嘘の表示☆嘘はいけません
5 はったまま放置する☆はったままでは子どもがかわいそう
6 作成上の注意☆マジックなどの使い方に気をつけて
東京都学級教育研究会・顧問 /中嶋 公喜
東京都学級教育研究会・会長 東京都港区立青山小学校校長 /加藤 八郎
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