- はじめに
- 序章 1年生の国語指導知っておきたい基礎・基本
- 1 1年生の子どもたちの実態を知ろう─1年生だからこそできること
- 2 「国語の授業」と「学級経営」を並行して子どもを鍛えよう
- 3 授業は「区切って」構成&「使い分けて」デザインしよう
- 第1章 まずはここからスタート!「話すこと・聞くこと」の指導
- 1 ショックを与える「聞くこと」の指導
- (1) 単語を聞き取る指導─ひらがな帳やカタカナ帳を使った「聞き取り」指導─
- ・単語の聞き取り学習
- (2) 一文を聞き取る指導─一文をつくる単元と関連させて─
- ・「一文」聞き取り活動
- (3) 教師の話を最後までしっかり聞く指導─「ひっかけ指示」と「再生」がカギ─
- ・「ひっかけ指示」で注意深く聞こう
- ・お話再生
- (4) 友達の話を最後までしっかり聞く指導─話し合いの中で育む─
- ・友達のお話再生
- ・友達のお話途中再生
- (5) まとまった文章をしっかり聞く指導─「教科書暗唱」をみんなでチェックする─
- ・「教科書暗唱」のチェック
- (6) 「話の聞き方」の指導は、聞いている自分を見るのが効果的
- ・「聞き方」ビデオでチェック
- 2 「自主性」と「即興性」を意識した「話すこと」の指導
- (1) しっかり声を出させる指導─すべての基礎は返事から─
- (2) 自分の意見・考えをもたせる指導─まずは「二択で挙手」から─
- (3) 自分の意見・考えを発言させる指導─大きな声でしっかり言い切らせる─
- (4) 自分の意見・考え+理由を言わせる指導─理由を言うことのよさを感じさせる─
- (5) 即興で話す指導─「今日の感想」を帰りの会で言う─
- 3 ペアでの話し合いを徹底し、聞いている子にも意思表示をさせる「話し合い」の指導
- (1) 他者意識を育てる
- ・隣の友達の意見が言えるかな?
- ・ペアトーク─簡単な話題でのペアでの話し合い─
- ・赤白トーク─意見の違う人と話そう─
- (2) はっきり意思表示をさせて全員参加を目指す
- 第2章 表現する楽しさを知る!「書くこと」の指導
- 1 「書くこと」の基礎の徹底
- (1) ひらがな帳で言葉あつめ─とにかく書いてみることの重要性─
- ・ひらがな帳で言葉あつめ
- ・変化をつけた「主語くじ」短文づくり
- ・一人書きリレー(暗唱書き)
- 2 書きたいことをもたせる「クラス内文通」の取り組み
- (1) 入門期におススメの「クラス内文通」
- (2) 「取材」の難しさも「クラス内文通」でクリア
- ・「クラス内文通」のやり方
- (3) 「クラス内文通」のメリット
- (4) 実例で見る「クラス内文通」
- (5) 停滞しそうなときに打つ手だて
- (6) 手紙の質を高める指導
- (7) 「クラス内文通」の効果─2人の成長を通して─
- 3 つけたい力を明確にした日記指導
- (1) 日記指導を通して育てたい力とは
- (2) 進級制度で基準を見える化する
- (3) 力がつく日記の紹介の仕方─題名を考えさせる・空欄に入る言葉を考えさせる─
- ・日記の題名を考える
- ・日記の肝となる部分を考える
- (4) 子どもたちの日記の具体例
- 4 「書く力」を他教科に転移する
- (1) 生活科での転移
- (2) 図画工作科での転移
- (3) 算数科での転移
- 第3章 音読と発問でつくる!「読むこと」の指導
- 1 「スラスラ」を目指す音読指導
- (1) 低学年にはなぜ音読が重要なのか
- (2) 音読好きの子どもをつくる「切り捨て」術
- (3) 指導には順序性をもたせて
- (4) スラスラ読みを目指して─個人指導編─
- (5) スラスラ読みを目指して─全体指導編─
- (6) 教科書暗唱のススメ
- (7) クラスが盛り上がる音読レパートリー
- 2 「読むこと」の単元はどのようにつくるか
- 3 文学は「面白い」からこそ「論理的」に問う
- (1) 「はなのみち」の指導
- (2) 「おおきなかぶ」の指導
- (3) 「ゆうやけ」の指導
- (4) 入門期後(「たぬきの糸車」や「だってだってのおばあさん」)の指導
- 4 自分の考えをもちながら「感情的」に読む説明文の指導
- (1) 「くちばし」の指導
- (2) 「うみのかくれんぼ」の指導
- (3) 「じどう車くらべ」の指導
- (4) 入門期後(「どうぶつの赤ちゃん」)の指導
- 第4章 入門期にこそ徹底したい!「言語事項」の指導
- 1 正しく、きれいに字を書かせる方法
- (1) とにかく、お手本を真似て書かせる
- (2) 「個人指導」で「理詰め」する―ひらがなは「長短」を意識する―
- (3) スモールステップで取り組む「理詰め文字指導法」
- ・「理詰め文字指導法」
- ・「理詰め文字指導法」応用 ひらがな間違い探し
- 2 教科書暗唱を活用した「て・に・を・は」指導
- (1) 暗唱しながら書かせる指導
- (2) 苦手さのある子に対する個人指導法
- 3 子どもが主体的に学ぶ漢字指導法
- (1) 「漢字ドリル音読」で、まずは「読み」を確実に
- ・「漢字ドリル音読」
- (2) 「漢字ドリル音読」の効果─驚異の「未習漢字読み正答率98%」─
- (3) 「漢字ドリル音読」がもつフラッシュカード効果
- (4) 「漢字ドリル音読」のレパートリー
- (5) 漢字ドリルのチェックは徹底的に厳しくする
- (6) 学年末まとめ漢字テストで主体的に学ぶ子を育てる
- (7) 子どもを漢字好きにする指導法
- ・自分だけの漢字ドリルをつくろう!
- ・連絡帳オール漢字にチャレンジ!
- ・テストを漢字だらけにしよう!
- おわりに
- 主な引用文献・参考文献
はじめに
1年生は国語の授業で育てる!
私は、教師になって3年目に1年生をはじめて担任しました。はじめは「つらい」のひと言でした。話を聞いてくれない、指示は通らない、集中ができない……。ところが、そのような状態から、年度終わりには、次のような姿にすることができました。
・やむを得ず私が遅れて教室に行ったときは、自分たちで授業を始めている。
・空いた時間が少しでもあれば漢字練習をしたり、音読をしたりしている。
・帰りの会で「今日の感想を言える人?」と突然聞いても、ほぼ全員の手が挙がる。
・漢字まとめテストを抜き打ちで行い、クラスの平均点が98点を超える。
・全員が国語の教科書をしっかりした声で諳んじることができる。
・朝会の後、突然「校長先生はどんなことを話しましたか?」と聞いても全員の手が挙がる。
・年度の後半には、2時間通して物語について話し合ったり、自分の考えを書いたりする活動を行うことができる。
私が何をしたか。それは「国語の授業に力を入れた」ということだけです。本当にこれだけです。
高学年を受け持っていたときは、子どもたちは自分のことは大体自分でできました。一方、1年生は「何も知らない」まま学校に入ってきます。トイレの使い方や下駄箱の使い方、ロッカーの使い方、給食の配膳の仕方など、「学校生活」のことをすべて「一から」教えなくてはいけません。それらの知識は、その後の小学校生活を通じて、ずっと子どもたちが使う知識です。それらのことは、書店で「1年生」と名のつく本を買ってくれば、書いてあり、教えることができます。
しかし、「一から」教えなくてはいけないのは、学校生活のことだけではありません。
教科の学習に関してもすべて「一から」教えなくてはいけないのです。子どもたちが学校にいる間の時間のほとんどは、「授業」です。子どもたちは小学校に入学し、卒業するまでに、5645時間もの授業を受けます。その中でも言葉の力をつける「国語科」はすべての教科の「基盤」となると私は考えます。他教科も言葉によって学ぶからです。そして、入門期の1年生に、国語科で何をどう教えるか、ということは、すべての教科の「基盤」である国語科の「基盤」を形成することに他なりません。つまり、入門期の1年生への国語の授業は、「子どもの学習面でのすべての基盤を形成する」役割があるということになるのです。
これは、何も「学習内容」に限ったことではありません。教師や友達の話をしっかり聞く、集中して書く、自分の考えをもち、進んで発言する、など、「学習規律や学習に向かう姿勢」も、1年生では他教科に比べて圧倒的に時間数の多い「国語の授業」で培うべきなのです。そんな「極めて重要」な入門期の1年生の国語科指導法を「一から」知っていただけるのが本書なのです。
国語の授業で子どもたちを鍛えしっかり教科の力をつけ、学習規律や学習に向かう姿勢を育てることができれば、対1年生指導はほぼOKだというのが、私の実感です。つまり、「学級づくり(経営)」も、授業の中で同時に行っていくのです。ここが重要です。「学級を円滑に進める」ためにも「国語の授業」をしっかりつくるのです。別々に考えてはいけません。なぜなら、先に挙げた「教師や友達の話をしっかり聞く」姿勢などは、そのまま学級の風土や人間関係に直結していくからです。
本書では、1年生への「教科の力を伸ばしながら学級経営もうまくいく」国語科の指導法を提案します。すべて私が実践し、効果があったものばかりです。「話すこと・聞くこと」、「書くこと」、「読むこと」、「言語事項(ひらがな、カタカナ、漢字)」と領域別に述べましたが、基本的にどこから読んでいただいても結構です。1年生なので、非常に基礎的なことばかりですが、それゆえ、2年生、3年生でも、「本当に基礎的なことから手をつけていきたい!」という場合などにも活用可能だと思います。また、目次のマークは学習活動を示していますので、具体的な方策を知りたい方はこちらをお読みください。どの指導においても、「教科の力をしっかりつける」「同時に学習への姿勢、授業規律などを身につける」という2点を念頭に置いて、お読みいただければ幸いです。
/土居 正博
この本の内容は、子どもたちを愛し、子どもたちの力を最大限に伸ばそうと考えられたものだと思います。良い本をありがとうございました。
全学年分揃えます。5年生のは書き終えられたと聞いたので、6年生のも早く出してほしいです。
コメント一覧へ