- はじめに
- 序章 入門期の物語の指導について考えよう
- 1 入門期の子どもって、どんな特徴があるの?
- @ もっている語彙が少ない
- A 全体をとらえずに部分的に読んでしまう
- B ことばだけではよく理解できない
- 2 文学の入門期にどんな力をつけたらいいの?
- (1)文字のまとまりを語や文としてとらえる力や、ことばの響きやリズムを感じる力
- (2)文脈から様子や状況、気持ちなどを想像する力=《イメージする力》
- @ 〈イメージをつくる力〉
- A 〈イメージを広げる力〉
- 3 《イメージする力》をつけるには?
- (1)〈イメージをつくる力〉を育てるためには?
- (2)〈イメージを広げる力〉を育てるためには?
- 4 入門期の文学教材の特徴とは?
- @ 挿絵のつながりで話の大体がわかる
- A 短文によって構成されている
- B 人物の行動が順を追って書かれている
- C リズムのある文体で音声化が快い
- 第1章 教材を分析・解釈する力を高めよう
- 1 読者として教材と出合おう
- 2 教材「おおきなかぶ」を読んでみよう
- (1)「おおきなかぶ」はどのようにして生まれたの?
- (2)「おおきなかぶ」が教科書教材になったのはいつ?
- 3 「おおきなかぶ」の魅力を発見しよう
- (1)魅力1 繰り返しと変化
- しかけ@ 人物が増えていく
- しかけA 意外な登場人物
- しかけB 効果的な接続詞・副詞
- (2)魅力2 リズムのよさ
- (3)魅力3 物語が感じさせるテーマ性
- 4 教材「おおきなかぶ」の特性を分析しよう53
- (1)訳の違いを比べよう
- @ 「たねをまく?」「かぶをうえる?」
- A 育ったかぶはどんなかぶ?
- B 語りの順序の違いは?
- C つなぎことば
- (2)挿絵の違いを比べよう
- @ かぶを植える場面
- A かぶを引っぱる場面
- B かぶが抜けた場面
- 第2章 指導方法を構想する力を高めよう
- 1 学級の実態と教師の力量に応じた指導方法を設定しよう
- 2 教材の特性に応じた活動を設定しよう
- (1)音読・朗読
- (2)ペープサート
- (3)紙芝居
- (4)劇・動作化
- (5)日記・絵日記
- (6)吹き出し
- (7)手紙
- (8)続き話の創作
- 3 単元を構想しよう
- (1)子どもたちの状況をとらえよう
- (2)学習のゴールである目指す子どもの姿を明確にしよう
- (3)学習課題と学習活動を設定しよう
- 第3章 板書と思考の流れで展開がわかる 実践!「おおきなかぶ」の授業
- 〈第1次〉初読の感想を交流し、学習の見通しをもつ。
- 第1時 範読を聞き、物語の大体をとらえる。初読の感想を発表し合う。
- 第2時 繰り返し出てくる表現について話し合い、場面分けをする。音読発表会の計画を立て、音読練習をする。
- 〈第2次〉音読や動作化、吹き出しへの書き込みを通して、場面の様子や登場人物の気持ちについて想像を広げる。
- 第1時 一から三場面について、かぶの種をまき、育てるおじいさんの様子や気持ちを動作化しながら想像し、気持ちを吹き出しに書く。
- 第2時 四から七場面について、呼んでくる人物と呼ばれる人物の会話や、かぶを引っぱる様子と抜けなかったときの気持ちを動作化しながら想像し、気持ちを吹き出しに書く。
- 第3時 八・九場面について、かぶを引っぱるときとかぶが抜けたときの様子から登場人物の気持ちを音読や動作化しながら想像し、吹き出しに書く。
- 〈第3次〉場面の様子について想像を広げながら、音読発表会をする。
- 第1時 場面の様子について想像を広げながら、音読発表会の練習をする。
- 第2時 音読発表会をする。
- おわりに
- 〈注〉教科書の引用箇所に出典表記がないものに関しては、平成27年度版光村図書一年上を使用しています。
はじめに
今、日本の教育は激動の時代にあります。知識基盤社会化、グローバル化に対応すべく、世界に照準を合わせた教育改革が行われ、未来に生きる子どもたちの資質・能力の育成に向けて様々な政策が打ち出されています。学校現場では、新たな教科等の実施やICT教育設備の活用など、従来の授業のあり方の見直しが求められています。
しかし、どんなに教育を取り巻く状況や授業の方法が変化しても変わらないものもあります。それは、学習者としての「子ども」、指導者としての「教師」、両者を関わらせる学習内容としての「教材」という三つの要素が授業の成立には不可欠だということです。
そして、子どもたちが主体的に学習する原動力となるのは、やはり課題意識です。教科の本質や内容に迫る子どもたちの問いをいかにしてつくり出すか、教師の力が問われています。
では、どのようなものが価値ある問いであり、その問いをつくり出させるために教師は何をすればいいのでしょうか。
それには、まず何よりも教師の教材を分析する力が必要です。授業を構成する要素である教材を分析し、その「価値」を教師が見出すことができなければ、授業の中で子どもたちに気づかせたり、考えさせたりすることはできません。
現在、使用されている国語の教科書には、長い間掲載されてきた文学教材が数多くあります。
なぜ、これらの文学教材は、多くの教師や学校現場で支持され続けてきたのでしょうか。それは、その教材で子どもたちを学習させる「価値」を多くの教師が感じてきたからに他なりません。そして、多くの先達が、その「価値」に子どもたちを迫らせるための読ませ方を研究・実践してきました。
本シリーズでは、そのような教材を国語科における「重要文学教材」と位置づけ、教材分析・解釈を通してそれらの教材の「価値」に迫るとともに、どのようにしてその「価値」に迫る読み方を子どもたちにさせていくか、授業づくりのステップに合わせて構成しています。
本シリーズは、基本的に次のような三つの章で成り立っています。
第一章 教材を分析・解釈する力を高めよう
第二章 指導方法を構想する力を高めよう
第三章 板書と思考の流れで展開がわかる授業
本シリーズを読み、読者のみなさんにもいっしょに考えていただくことで、今後の授業づくりの一助になれば幸いです。
/立石 泰之
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- 明治図書
- 教材研究をするのに購入しました。授業の組み立て方や、板書もよくわかりました。他の教科書のものと比べるよさを知りました。本書を見ていると、光村図書のおおきなかぶがいいなと思いました、2016/7/1750代・小学校教員