- はじめに
- T 自己実現とわたしたちの求める授業
- §1 自己実現をめざす教育
- 1 子どもが生きる原点
- 2 個性がひびき合う創造的自己実現活動
- §2 自己が生きる授業を求めて
- 1 自己が生きる授業
- 2 自己が生きる授業と授業集団の創造
- §3 自己を出しきり個性が生きる授業
- 1 明確で強い課題意識がある
- 2 学び方,追求のしかたがわかる
- 3 豊かな発想・活動がある
- 4 みがき合い,高め合いがある
- 5 よろこびがある
- 6 自己を見直し,ねり直せる
- §4 自己を見つめ自己を高める
- 1 自己を出しきるから自己をみつめるへ
- 2 自己の見直しから,新しい自己へ
- U 個性が生きる授業集団を創る
- §1 励まし助け合い,練り直しのある授業集団
- 1 わたしたちの求める授業集団 ――個性が生きる授業集団とは――
- 2 励まし助け合い,練り直しのある授業集団へ
- §2 授業集団を創る四つの手だて
- 1 磨き合って伸びる子
- 2 四つの手だて
- §3 授業集団を創る教師のあり方
- 1 その子のもちあじを生かす
- 2 誠実に努力する風土をつくる
- 3 認め合い,確かめ合い,励まし合う風土をつくる
- 4 子どもから学ぼうとする
- V 課題づくりに個性が生きる
- §1 自ら問い,読みすすめる子どもたちに<国語科>
- 1 「?」からの出発
- 2 追求の方法づくり
- 3 ひとり読みと磨き合い
- §2 算数ゲームからの出発<算数科>
- 1 ゲームの位置づけ
- 2 打ち込んでやる学習に個性が生きる
- 3 ゲームからの課題づくり
- §3 めあてをもって問いかけうなずき合う子どもに<理科>
- 1 追究意欲を高める自然事象との出会い
- 2 子どもの発想・課題意識でつなぐ指導計画
- 3 試行活動を通しての課題づくり ――試行活動Tを中心にして――
- 4 その子なりの問いかけから見直し,練り直しする姿へ
- §4 生活経験をみつめる教材は個性を生む<図画工作科> ――描画指導――
- 1 生活の中から感じとる心を
- 2 共に学び合う課題
- 3 自己課題づくりに個性が生きる
- 4「たのしかった夜店」の実践
- §5 家族の笑顔を想起しつつ全力をあげてつくる子どもに<家庭科>
- 1 教材との出会いの中で
- 2 子ども一人ひとりの課題を強力なものにするために
- 3 友だちから学びよりよいものを
- 4 自己をみつめつつ完成をめざす子ども
- コラム1 子どもの目“先生!! どちらがうまいの”
- コラム2 教師の目 あれ! こんなメニューがあったかな?
- W おいもとめる活動に個性が生きる
- §1 自己を出しながら豊かな読みの創造を<国語科>
- 1 教材との出会いから追求が始まる
- 2 関わりを深め,より確かな読みへ
- 3 自己の読みの発展を
- 4 「たんぽぽ」(2年上)の実践から
- §2 人間の営みへの共感を促す活動に個性が生きる<社会科>
- 1 予想や資料の活用に,その子なりの解釈を述べる
- 2 課題を深めるプロセスに,多様な追求の仕方が見られる
- 3 多様な追求の仕方をささえるなかま
- §3 自らの発想にもとづき探究する子どもに<理科>
- 1 発想を生み,生かすために
- 2 活動の充実のために
- 3 生活への発展のために
- §4 一人ひとりの発想が生きるリズムアンサンブルの学習<音楽科>
- 1 音楽する心を育てる体感的学習
- 2 手作り楽器で豊かな表現を
- 3 意欲を高め主体的に追求する
- 4 豊かな表現を生みだすアンサンブルの追求
- §5 多様な発想が生きるアンサンブル学習<音楽科>
- 1 個を生かすために
- 2 イメージの耕しは表現の多様性をうむ
- 3 ききあい,くり返すことによって表現を高める
- 4 だれでもが共感できる表現へ
- §6 「眼と手と心」で描く子どもに<図画工作科>
- 1 豊かな表現のできる子どもに
- 2 「やればできる」という自信
- 3 豊かな表現はよろこびを生む
- §7 「つくる楽しさ」を味わうことのできる体育学習<体育科> ――中学年の実践から――
- 1 「つくる楽しさ」を味わう授業に
- 2 「わたしたちの体操」の実践から(3年生)
- コラム3 子どもの目“ちょっと 先生”
- コラム4 教師の目 “うちの父さんえらかった?”
- X ふり返りのプロセスに個性が生きる
- §1 出しあいふり返る中でより確かな社会認識を<社会科> ――低学年の実践を中心に――
- 1 取り組みのプロセスが,目にも見えるものにしていくために
- 2 授業へいかす「はっけんノート」
- 3 見直し,深めあう「ごっこ活動」
- 4 学習のあしあとをみつめる「わたしの本」
- §2 自己変容を促す算数の学習<算数科>
- 1 算数における変容
- 2 自身の努力で発見や創造の気持ちを味わうために
- 3 「対称な図形」の指導を通して
- §3 追求意欲を高める見直し活動<理科>
- 1 提示された事象を見直す
- 2 追求結果を見直す
- 3 ふりかえりカードによる自己の見直し
- §4 しっかりしたイメージを持ち合って<体育科>
- 1 イメージ調査から ――単元「○○の料理」――
- 2 事実の観察やそれにもとづく感じをとらえてイメージを具体的に
- 3 テーマ別のグループで,ふり返りつつよい表現運動に
- コラム5 子どもの目“やった! 泳げたぞ!”
- コラム6 教師の目 ――誰の子どもかなあ――
- W より個性が磨かれるために
- 1 学習課題の再吟味
- 2 イメージと動的学習(dynamic learning)の成立
- 3 見直しをする
- おわりに
はじめに
本校では,自己実現をめざす人間性豊かな子ども、自ら伸びる子ども,生き生きとした子ども像をもとめており,子どもたちが,本当に意欲をもって生き生きと学習し,自分の力で伸びていくことができるようにするためにはどうしたらよいかについて研究討議を重ねてきた.その結果,目己表現のできる子,心を開き,個々のもち味を出させ,そのよさを授業に生かすこと,個の見方,感じ方,考え方を授業の場で生かし,ねりあげてよりよいものをみつめさせるよう授業を組織化すること,自己をみつめ,自己変容を確かにする白己評価,相互評価を授業に位置づけ,意欲をもたせて学びとらせること,授業を中核にしながら個が生きる教育に着目し,個性が生きる授業と授業集団の創造などに重点を傾けてこれまで取り組んできた.
本書は,わたしたちが,ここ数年研究主題としてきた「創造的自己実現活動」の発想に基づく授業のあり方のまとめとしてみることができ,未来を創造する人間性豊かな子どもの育成について研究,実践を重ねてできた一端である.わたしどもは,この成果を一つの土台として,さらに研究を進めていきたいと考えでいるので,忌憚のないご批判とご教示をお願いしたい.
最後になったが,この研究を進めるにあたって,懇切なる指導・助言をいただいた玉川大学文学部教授上原輝雄先生,本書にご寄稿いただき,研究・実践の指導・助言をいただいた広島大学学校教育学部教授黒田耕誠先生はじめ多くの先生方,および,わたしたちの研究・実践の一端を問う機会を与えて下さった明治図書の樋口雅子編集長に心からお礼申しあげる次第である.
昭和58年1月 広島大学附属三原小学校長 /水岡 繁登
-
- 明治図書