みすゞの学校と心の教育

みすゞの学校と心の教育

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みすゞの心を活かす学校経営/みすゞの心に学ぶ授業実践/みすゞの心に触れる交流活動


復刊時予価: 2,387円(税込)

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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-203056-7
ジャンル:
授業全般
刊行:
2刷
対象:
小・中
仕様:
A5判 136頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

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まえがき ―みすゞのふるさと、長門市教育のめざすもの
刊行に寄せて ―長門市発〜みすゞ教育へどうぞ! /矢崎 節夫
1 みすゞの心を活かす学校経営
みすゞさんの心を育む「みすゞ教育」 /仙崎小学校
2 みすゞの心に学ぶ授業実践
ふるさとを見つめ、豊かな感性を育む―みすゞの心にふれて 総合的な学習・音楽 /通小学校
「不思議」をさがして 理科・生活科 /青海島小学校
豊かな言語感覚を培い伝え合う力を育てる―自分の思いをはっきりと話せる子供 国語 /仙崎小学校
見えぬけれどもあるんだよ 見えぬものでもあるんだよ―ふるさと・みすゞ・自分創造の旅へ 総合的な学習 /深川小学校
みすゞの感性や温かいまなざしに学ぶ道徳教育 道徳 /向陽小学校
生徒が生き生きと主体的に取り組む学習の創造―みすゞさんの感性やまなざしを生かして 道徳・他 /通中学校
自ら主体的に学び、心豊かに、力強く生き抜く生徒が育つ活動をめざして―「みすゞ」の心を醸成する総合的な学習の時間への
取組を通して 総合的な学習 /仙崎中学校
豊かな心を持ち、生き生きと学び合う生徒の育成―みすゞさんの豊かな感性やまなざしに学ぶ教育 国語 /深川中学校
私が私らしく生きること―みすゞさんのまなざしを生かした
関連的・総合単元的な実践 国語・英語・道徳 /深川中学校大畑分校
「金子みすゞ」と教科指導―ひとりひとりを大切に 数学 /俵山中学校
3 みすゞの心に触れる交流活動
みすゞさんのまなざしを基盤として一人一人の心の根っこを育てる 文化祭・他 /大畑小学校
「みすゞのまなざし」を根底においた教育活動 教育相談・国際交流 /俵山小学校
資料 みすゞ児童作品コンクール優秀作品集から
金子みすゞの年譜
みすゞさんがうたった仙崎八景

まえがき

 ―みすゞのふるさと、長門市教育のめざすもの


長門市の概要

 長門市は、山口県の北西部、海上アルプス青海島に代表される北長門海岸国定公園の中心に位置し、清らかな音信川のほとりに広がる湯本温泉、山あいの俵山温泉、さらには萩焼の窯元を擁した、山海の恵みと四季の彩りに富んだ、詩情豊かなまちである。

 そして、本市は、幻の童謡詩人「金子みすゞ」のふるさとである。「みすゞ」が「木の間に広がる銀の海」とうたった港は、古式捕鯨の基地として栄えるとともに、戦後の引き揚げ港として、苦難の末故国の土を踏んだ人々には、感慨深い地である。

 人口二五〇〇〇人。「仙崎かまぼこ」に代表される水産業と商業、農林業のまちに小学校七、中学校四(分校一)。あたたかな心の触れ合う町づくりの中で、教育への思いにも熱いものがある。

長門市の目指す子供像

 長門市では、子供の「自分探しの旅」の柱「自立」と「共生」を視点に、目指す教育を具体的な子供の姿で表している。

 1 やさしさと思いやりの心をもつ子  2 生き生きと自分を発揮できる子

 さらに具体的な推進課題として、「地域文化を生かした教育活動の展開」「学びの発心をかきたてる授業構想」を掲げ、この長門の風土の中で生まれ育った「金子みすゞ」の感性とまなざしを基調とした教育課程の編成と研究実践を進めているところである。本書はその取組の一端を紹介し、広く情宣するとともに多くの方々から御示唆をいただきたいと思っている。

 「みすゞ」の感性とまなざしを基調とした心の教育

 「…/見えぬけれどもあるんだよ、/見えぬものでもあるんだよ。」

 「…鈴と、小鳥と、それから私、/みんなちがって、みんないい。」

などの作品に代表される「金子みすゞ」は、長門市で生まれ育った。まだまだ「個」の意識が十分に受け入れられていなかった大正から昭和初期、身の回りの小さく弱いもの、見過ごされているもの、さらには、見えないものに心を寄せ、生命を吹きかける言葉を静かに紡いだ。その描かれている世界の安らかさ、温かさは、長い間私たちが忘れていた感覚である。見えるものだけを信じ、求め続けてきた高度経済成長期。そのひずみを、とりわけ今、子供の姿の中に感じているのは私たちだけではないであろう。

 子供たちを「みすゞの心で包みたい」、「みすゞの心に触れさせたい」 ― ―これが私たちの考える「みすゞ学習」の原点である。

 「私たちは、たくさんの見えないものに支えられて生きている」「あなたも、そしてあなたの隣の一人もまたかけがえのない存在」と優しく語りかけ、「共に生きる」ことを見つめ続けた「金子みすゞ」。その感性とまなざしを生かした心の教育の推進を長門教育の柱として、教育実践を重ねているところである。

 平成八年、平成十四年には、市内の教職員の手によって、金子みすゞ読本『みんなをすきに』を刊行した。さらにこの読本を活用した各学校の教育実践は、毎年事例集を編んで交流し、共通の教育文化として積み上げてきた。

 今、各教科、道徳、特別活動、総合的な学習の時間の授業の中で、また、生徒指導、教育相談の基本理念として、各学校が「みすゞ」の感性とまなざしを基調とした特色ある取組を展開しているところである。

 また、近隣地域の児童を含めて実施している「みすゞ児童作品コンクール(感想画・感想文・自由詩)」には毎年八百点近い応募があり、今年で十五年目を迎えた。

 こうして今、この地の子供の心の中に、そして日常の生活の中に「みすゞ」の詩は息づき始めた。「みすゞ」生誕百年。矢崎節夫氏によって「みすゞ」の詩がよみがえって二十年。これからも、「みすゞ」の「共生」を基盤とした人間観・宇宙観を一つの学習材として、子供の「生きる力」の育成に努めたいと考えている。


   /山口県長門市教育委員会

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