自己を磨く子どもを育てる
探究型学習のススメ

自己を磨く子どもを育てる探究型学習のススメ

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小倉小が提唱する誘導論と融合させた「探究型学習」を収録

「探究したい!」と問題解決に自ら子どもが動き出す授業はどのようなものか。例えば、社会科であれば、単元を「つかむ→つくる→いかす」という段階に分け深めていく授業など、各教科で探究型学習のポイントと具体例を紹介。探究型授業をつくるうえで必読の一冊。


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ISBN:
978-4-18-205314-6
ジャンル:
授業全般
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 240頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

はじめに
T 理論編
[1] 今こそ求められる子ども像,教師像
(1) 私たちが育てたい子ども像〜自己を磨く子ども〜
(2) 私たちがめざしている教師像
(3) 私たちがめざしている学習
[2] なぜ,探究型学習か
(1) 今こそ求められる探究型学習とは
(2) 探究型学習が求められる背景
[3] 「単元」の意味を問い直す
(1) 学習の主体者はだれなのか
(2) 「単元」とは
[4] 探究型学習をデザインする
(1) 探究する「問題」を吟味する〜「中心問題」と「分析問題」〜
(2) 子どもの変容の姿を具体的に思い描く
(3) 探究のストーリーをつくる
(4) 子どもの問題解決を支える
U 実践編
[1] 国語科(「書くこと」)における授業の実際
[2] 国語科(「読むこと」説明的な文章)における授業の実際
[3] 社会科における授業の実際
[4] 算数科における授業の実際
[5] 理科における授業の実際
[6] 生活科における授業の実際
[7] 音楽科における授業の実際
[8] 図画工作科における授業の実際
[9] 家庭科における授業の実際
[10] 体育科(器械運動―跳び箱運動)における授業の実際
[11] 道徳における授業の実際
[12] 特別活動(学級活動)における授業の実際
[13] 総合的な学習の時間における授業の実際
[14] 外国語活動における授業の実際
おわりに 誘導の教育と探究型学習

はじめに

 わが福岡教育大学附属小倉小学校は,平成23年に創立100周年を迎えることになりました。いま,ここ,附属小倉小学校の校長室には,教室から運動場から体育館から,昼休みの子どもたちの元気に遊ぶ声が響き聞こえています。校内各所から様々な距離をおいて,幾重にも層をなした音となってここまで届いてくる子どもたちの歓声は,その一つ一つの内容まで聴き分けることはできませんが,この響きは,私には今日もまた子どもたちが健やかであり,学校が安寧であることの喜びの声であります。これは,100年前から今日まで附属小倉小学校で聞かれてきた響きでもあることでしょう。

 附属小倉小学校は,昭和21年に藤吉利男・元校長によって提唱された「誘導の教育」の理念を,今日まで60余年にわたって実践して参りました。現代に生きる我々は,先人の創ってこられたこの理念のもとでの実践と研究の伝統を踏まえながら,つぎの100年に向けて新たな歴史を構築してゆかねばなりません。歴史は,様々な学校行事,あるいは研究発表会等の大きな行事によってのみ構築されるものではありません。日々,日常の教育営為の中にこそ,歴史はつくられてゆくものと認識しております。本書は,そうした営為の積み重ねの上にできあがってきた日々の実践と研究の結晶です。

 本書は,平成20年1月の中央教育審議会答申において示された新たなキーワード「習得」「活用」「探究」を,本校が提唱する誘導論と融合させた「探究型学習」を研究の柱に据えたものです。それは,先導的・実験的な取り組みを実施し,調査研究を推進し,国の教育政策の推進に寄与するという国立大学法人附属学校としての役割を自覚したものでもあります。本書が現代日本の教育現場に少しでも寄与することができれば,大変うれしく存じます。

 なお,本書の上梓に寄せたさらなる夢もあります。それは,本書が現在の日本の教育のみならず,25年後,50年後の未来の日本の教育発展に向けた一つの踏み石となれば,と願っていることです。現在,福岡教育大学は,多くの外国人留学生や客員研究員を招へいし,また協定大学との国際学術交流などが活発になされておりますが,本書を通じて,世界各地の教育現場に日本の新しい教育の在り方についての知見を提供することができるならば,これもまた大きな喜びとするところです。それぞれの時代やそれぞれの国によって,社会的状況や文化的状況,教育システムや学校制度,Legal Basis of Education(教育諸法規)やCourse of Study(学習指導要領)等,その教育営為を支える枠組みは異なっておりますが,教え子の成長を願い,その歓声に励まされて自らの職務への活力を得ていく姿は,世界中すべての教員に共通するものと確信いたします。私は本校校長として,本書に掲げたテーマ「自己を磨く子どもを育てる」は,現在の日本国内のみならず,時代や国境を越えて,世界のあらゆる教員において共有することができ,かつ将来にわたって深めてゆくに値するテーマであると考えています。

 2007年のユニセフの調査によれば,世界で学齢期を迎えた12%の子どもが,戦乱や貧困のために初等教育に就学することができませんでした。アフリカのサハラ以南の地域では,その数は平均30%にまで達するといわれています。そのことに思いをはせるとき,子どもたちの健やかな歓声を聞きながら,子どもたちの学習する姿を研究し,その成果をこうして上梓できることに感謝の念を抱くとともに,一層の研鑽を重ねなければならないという責務を感じます。

 最後になりますが,本書の刊行にあたり,ご支援とご指導を賜りました福岡教育大学の諸先生方と本校「誘導の会」の諸先輩に,また本書の発行をご快諾くださいました明治図書編集部長の樋口雅子氏,そして私どもの福岡教育大学附属小倉小学校に在籍する483名の子どもたちに感謝の意を捧げます。

 読者の皆様の忌憚のないご高評をお願いいたします。


  平成22年2月   国立大学法人福岡教育大学附属小倉小学校校長 /飯田 史也

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      明治図書

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